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欧米市場はリスクオン!? 英ポンドや円が軟調

2023/11/16 07:54

【ポイント】
・主要中銀の利上げ観測後退で全般にリスクオン
・米ドル/円は一時150円割れから反発
・ユーロ/円、豪ドル/円、NZドル/円が前日の高値を更新
・米利下げ観測が後退すれば、米ドル/円は再び高値をうかがう!?

(欧米市場レビュー)

15日の欧米外国為替市場で、英ポンドや円が軟調。資源・新興国通貨が総じて堅調でした。日本を除く主要国中銀の利上げ観測が後退しており、NYダウが4日連続上昇するなど、全般的にリスクオン(リスク選好)の展開でした。

英国の10月CPIが市場予想を下回ったことで、BOE(英中銀)の利上げ観測が後退したことが英ポンドの重石となりました。英ポンド/米ドルは前日の上昇分の一部を帳消しにしました。一方、東京時間に発表された日本の7-9月期GDPが前期比年率マイナス2.1%と、市場予想(マイナス0.4%)に比べて大幅なマイナスとなったことが引き続き円安材料となったようです。

米国の10月小売売上高NY連銀製造業景況指数は市場予想に比べて上振れ、PPI(卸売物価指数)は総じて下振れでした。それらの発表を受けて、米ドル/円は直前に一瞬150円割れしたところ(149.969円)から反発し、151.379円をつけました。前日に大きく低下した米長期金利(10年物国債利回り)も反発しました。

ユーロ/円は一時164.192円と、前日につけた08年8月以来の高値を更新。豪ドル/円は一時98.519円と、14年12月以来の高値。NZドル/円は91.137円と、15年4月以来の高値をつけました。

(本日の相場見通し)

本日16日、米国では10月鉱工業生産指数、11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数などが発表されます。NY連銀指数が示唆した製造業の回復をそれらが裏付けるでしょうか。

10月鉱工業生産指数 市場予想 前月比マイナス0.4% (9月同0.3%)
11月フィラ連銀指数 市場予想 マイナス8.0 (10月同マイナス9.0)
 
15日の経済指標を反映して米アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)は、10-12月期GDPを前期比年率2.2%と予測しています。非常に強かった前期の同4.9%からの鈍化予想ですが、今のところ米経済は底堅いと言えそうです。

16日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場はFRBが24年5月までに利下げする確率を70%織り込んでいます。米景気の堅調さが市場で意識されれば、市場で高まっているFRBの利下げ観測が後退するかもしれません。

14日発表の米CPIを受けて、米ドル/円は151円台後半から150円ちょうど近辺まで下落しましたが、足もとで151円台に戻っています。上昇の勢いは以前ほどではないかもしれませんが、今後の経済指標や米長期金利の動向次第では13日につけた22年10月以来の高値151.872円を目指すかもしれません。

米議会アップデート:大統領選挙も視野に
米上院は、下院が可決したジョンソン議長の継続(つなぎ)予算案を15日中(日本時間16日午後2時ごろまで)に採決する方向。上院ではフィリバスター(少数派による採決妨害)が可能ですが、それもクリアできる見込みです。上院が下院と同じ継続予算案を可決すれば、大統領の署名を得て成立するでしょう。その場合、11月18日のシャットダウン(政府機能の一部停止)は回避されます。

次なる戦場は、本予算(12本の歳出予算)の審議。継続予算の期限は24年1月19日と2月2日。期限までに本予算か、少なくとも新たな継続予算が決まらなければ再びシャットダウンのリスクが生じます。24年1月には大統領選挙の予備選がスタートします。今以上に、共和党内の分裂や両党の対立が激化する可能性があり、予算審議にも影を落としそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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