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米ドル/円が150円に接近、11カ月ぶり高値更新

2023/09/28 08:52

【ポイント】
・米国の長期金利が一段と上昇するか
・鈴木財務相や神田財務官は円安をさらに強くけん制するか
・メキシコ中銀の金融政策スタンスは変化するか

(欧米市場レビュー)

27日の欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。米ドル/円は一時149.691円へと上昇し、22年10月以来、約11カ月ぶりの高値を更新。ユーロ/米ドルは1.04863ドル、英ポンド/米ドルは1.21088ドル、豪ドル/米ドルは0.63298米ドルへと一時下落し、ユーロ/米ドルは1月以来、英ポンド/米ドルは3月以来、豪ドル/米ドルは22年11月以来の安値をつけました。米国の長期金利(10年物国債利回り)の上昇が米ドルを押し上げました。

(本日の相場見通し)

本日は、引き続き米国の長期金利の動向に注目です。米長期金利は27日に一時4.64%へと上昇し、07年10月以来、16年ぶりの高い水準をつけました。FRB(米連邦準備理事会)は政策金利を高い水準に長期間維持するとの観測が、米長期金利の上昇要因となりました。

米長期金利がさらに上昇する場合、米ドル高が一段と進みそうです。米ドル/円は上昇し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルは下落すると考えられます。

米ドル/が150円に接近する中で本邦当局の反応にも注目です。鈴木財務相は26日、為替について「過度な変動は好ましくない」「高い緊張感を持って見ている」「過度な変動には、あらゆる選択肢を排除せず、適正な対応を取っていく」と語りました。鈴木財務相や神田財務官が円安(米ドル/円の上昇)をさらに強くけん制すれば、為替介入(米ドル売り・円買い介入)への警戒感から米ドル/円はいったん下落する可能性があります。

※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、150円超えとなるか&昨秋の為替介入のテクニカル検証]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

ドイツの9月CPI(消費者物価指数)速報値が本日発表されます(日本時間21:00)。CPIの市場予想は、EU(欧州連合)基準が前年比4.5%、国内基準が同4.6%と、上昇率はいずれも8月(改定値)の6.4%と6.1%から鈍化するとみられています。市場予想を下回る結果になれば、ユーロが下押しする可能性があります。

***

本日、BOM(メキシコ中銀)が政策会合を開きます。会合の結果は、日本時間29日午前4時に発表されます。

BOMは21年6月から23年3月まで15会合連続で利上げを実施。その後、5月・6月・8月の3会合連続で政策金利を据え置いており、現在の政策金利は11.25%です。

政策金利は今回も11.25%に据え置かれそうです。メキシコの8月CPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年比4.64%と、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が同6.08%でした。上昇率はいずれもBOMのインフレ目標(3%。2~4%が許容レンジ)を引き続き大きく上回ったものの、7月(4.79%と6.64%)から鈍化したことが、据え置きの根拠になりそうです。
メキシコのCPI(前年比)

BOMの声明で、金融政策スタンスの変化が示唆されるかどうかにも注目です。前回8月の会合時の声明では、「政策金利は現在の水準に長期間維持する必要がある」と表明され、また政策金利を据え置くとの決定は5人の政策メンバー全員一致でした。

市場では、BOMの次の一手は利下げになるとの見方が大勢です。声明が金融政策スタンスに変化はないことを感じさせる内容になれば、メキシコペソの支援材料になりそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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