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エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※8月18日更新

2023/08/18 12:02

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[日経平均]
【当面の想定レンジ】 31,000~33,500円

[NYダウ] 
【当面の想定レンジ】 34,200~35,500ドル

[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 13,000~14,500

[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 134.000~147.000円


[日経平均]
世界金融危機の底値を付けた08年10月以降、日経平均はおよそ4年周期で底入れしており、現在の相場はコロナショック底(20年3月)を起点とする4年サイクルの中にあります。この4年サイクルは、二つの2年サイクル(2年+2年)で構成されています。22年3月からは後半の2年サイクルに入っており、さらに今年3月(彼岸底)からは現行2年サイクル後半(1年サイクル)に入っています。

現行1年サイクルのトップを付けるのは今年9月から10月頃とみていますが、それまで日経平均は上値追いの展開が期待できます。そして24年3月前後には4年サイクルのボトムを付ける見通しです。


【週足・エリオット波動分析】
21年9月からの第(2)波による調整は、今年の大発会安値(25,661円)を以て完了したとみています。
それはコロナショック底(20年3月)から34ヵ月後(フィボナッチ数)に付けた、重要な二番底に当たり、そこから日経平均は第(3)波に入った、というのが基本観です。

第(3)波自体が5波構成(1-2-3-4-5波)となります。足元は第(3)波中の第1波、その終盤戦に位置付けられます。

もう一つの見方(オルタナティブ・カウント、上図ではAltと記載)は、第(3)波中の第1波を経て現在第2波の調整にある、というものです。この見方だと、”➂波-(3)波-3波”のダイナミックな強気相場が始まるのはこれから、ということになります。

【TOPIX日足・エリオット波動分析】
6月下旬からのマルiv波全体のパターン構造は、3月にみられたマルii波の単純さとは打って変わり、非常に複雑な様相を呈しています。

先に結論から書くと、マルiv波のパターンは「ダブル・スリー」とみられます。
その内部構造についてですが、まずパターン前半の三波構成(スリー)調整は「エクスパンディッド・フラット」(6/22~7/12)でした。2215(7/12安値)から2337(8/1高値)にかけて三波構成の上昇(x)波を挟み、後半のスリーでは「ジグザグ」を形成しています。

8月17日には一時2227まで急落しましたが、75日MA水準でサポートされ、この日のほぼ高値で引けました。

そしてこの点が重要ですが、日経平均が2カ月半ぶり安値まで下げた反面、TOPIXは7月12日安値(2215)を下回っていません。今後もTOPIXが7月安値を維持する限り、日経平均と逆行する状態(強気ダイヴァージェンス)が維持され、それは日本株相場の強気相場再開を示唆します。

マルiv波は終わりつつあります。この見方が正しければ、TOPIXはマルv波の上昇により、9月-10月に2400処を目指す展開を期待できるでしょう。

[2417]…1989年高値(2886.50)から2012年安値(692.18)までの下落に対し、78.6%戻り水準



【時間足・エリオット波動分析】
注目されたサポートレベル(3万1800円処)が破られました(8月17日)。これにより、33,772円(6/19高嶺)からのマルiv波パターンを「シンメトリカル・トライアングル」としていた従来の波動カウントは無効になりました。

そこで今回より波動カウントを次のように見直します。
マルiv波は[ダブル・ジグザグ]であり、33,448円(8/1高値)からの下げを2番目のジグザグ(a-b-c)と読みます。

直近、日経平均は7月安値(31,791円)を下回りましたが─前述のようにTOPIXは7月安値を維持しています─ノーマルな下値メドとしての31,420円(6/8安値)付近には─マルiii波のレッサー・ディグリー(iv)波安値─既に下げています。

なおも下値模索が継続しても、[31,045円](マルiii波の上昇に対し38.2%戻り水準)付近は強いサポートレベルであり、ここからの下げは限られそうです。

マルiv波調整は終わったか終わりつつあり、マルv波の上昇スタートが近い、と思われます。
【8月18日 10:21更新】


[NYダウ]

【NYダウ日足・エリオット波動分析】 
NYダウは22年1月高値(36,952ドル)から、プライマリー級➃波を展開中とみています。
➃波はトライアングルやダブル・スリーなど、この波動位置ならではの「複雑なパターン」を形成する可能性が高いでしょう。

22年10月から大きなリバウンド局面・(B)波が進行中とみられ、この(B)波のフォーメーションとして三波構成(A-B-C)を想定しています。(B)波は修正波でありながら、NYダウを過去最高値に押し上げるポテンシャルを有しています。

31,429ドル(3/15安値)からの上昇は(B)-C波とカウントされます。
A波とC波が等しく上がる「N計算値」からは、(B)-C波のターゲットは[37,481ドル]が導かれ、この時点でNYダウは史上最高値を更新することになります。

【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
昨年10月安値(28,660ドル)以来の上昇(B)波において、A波は昨年12月高値(34,712ドル)で、B波は31,492ドル(3/15安値)で各々終了し、そこからC波が展開中とみています。

C波の上昇第(iii)波は35,679ドル(8/1高値)で終わり、そこからは第(iv)波調整に入った模様です。

ちなみに直近の下げにより、昨年8月(当時の高値は34,281ドル)から今年の7月にかけて1年近くにわたり、NYダウの上昇を悉く跳ね返してきた水準に近づいています。

テクニカル的に昔の上値抵抗レベルというものは、将来の下値支持レベルとして働く傾向が強いとされます。ここからのNYダウの下落余地は乏しいと思われます。
【8月18日 9:21更新】



[ナスダック]

【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
21年11月高値からの調整は、プライマリー級第➃波に位置付けられます。この第➃波の全体像としては複雑な、時間がかかるパターン(トライアングルなど)になることが見込まれます。

22年12月安値・10,207を起点とする上昇は、➃-(B)波に位置付けられます。(B)波は基本的に、三波構成(A-B-C)で展開していきます。

今年2月より筆者は、ナスダックが14,646(22年3月高値)を目指す展開を一貫して予想してきましたが、それはほぼ達成されました(7月19日には一時14,446まで上昇)。

米長期金利が上昇したことを嫌気し、直近ナスダックも値を下げていますが、1年前の高値(13,181)付近は強いサポートレベルとみられます。ここからの下げは限定的でしょう。

米長期金利の上昇も長くは続かず、遠からず低下基調に転じる可能性があります。

【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・エリオット波動分析】
昨年10月安値(2089)以来の上昇は➃波中(B)波の上昇に位置付けられます。

この(B)波は継続中とみています。その理由としては、米長期金利上昇が─これが直近のハイテク株下げの大きな要因です─近いうちに落ち着くとみられるためです。

3855(7/17高値)からのパターンは「エクスパンディッド・フラット」とみられます。このパターン中、3875(7/31高値)からはマルc波による下落に位置付けられます。

直近で75日MAを下回ったため、目先で下値模索が続きそうです。5月25日~26日に空いたマド[3347-3386]が、下げ止まる水準として注目に値します。
【8月18日 8:55更新】



[米ドル/円]

2011年10月に付けた75.570円を起点とする、(A)-(B)-(C)”ジグザグ”パターンによる円安は、151.899円(22/10/21)を以て終わったとみています。この先はおそらく2028年頃まで、米ドル/円はレンジ相場を形成していくでしょう。

【月足・エリオット波動分析】 
通算11年間の(A)-(B)-(C)円安は一括りでⓌ波とラベリングされ、10月以来の円高局面はⓍ波とカウントされます。このⓍ波が将来的に、例えば1ドル=100円を大きく下回る(米ドル安・円高)可能性は低いでしょう。

もっとも、Ⓦ波が通算で75円幅という大きなスケールの米ドル高・円安となった以上、それに対する反動としてのⓍ波のスケールも相応に大きなものになります。

具体的には2015年6月の[125.860円]、Ⓦ波の38.2%戻り水準である[122.741円]、これらはⓍ波のメドとして適当です。

ちなみに(A)波(2011年10月⇒2015年6月)はおよそ50円幅上昇し、2016年6月(英国国民投票でEU離脱決定)まで25円程度を引き返しています(半値戻り)。今回も(C)波の上昇幅はおよそ50円ですから、以前のように25円程度の円高が起きるとみれば125円辺りが適当なメド、ということになります。



【週足・エリオット波動分析】 
年初に立てた、筆者による年間想定レンジは[125円-150円](中央値137.500円)です。
1月16日に付けた127.158円は、レンジ下限に近いものでした。
翻って直近では、米ドル/円は9カ月ぶりの高値水準(146円台半ば)へ上昇し、想定レンジの上限に近づいています。

127.158円(1/16)からの米ドル高・円安B波の波形をみると、これまで波の重複(オーバーラップ)を伴いながら、[上昇ウェッジ]ⓦ-ⓧ-ⓨ-ⓧ-ⓩを形成しています。これは弱気パターンであり、B波の終了及びC波(米ドル安・円高)の接近を示唆しています。

ひとたびC波入りとなれば米ドル/円は、いずれ(今秋~年末頃にかけて?)127円~125円を打診することになるでしょう。

【時間足・エリオット波動分析】 
137.239円(7/14)から直近にかけて、リバウンドB波中ⓩ波が展開中とみています。
このⓩ波も「上昇ウェッジ」もしくは「ダイアゴナル」とみられ、B波全体と同じパターンが現れています(フラクタル)。

8月17日、米ドル/円は9カ月ぶり高値水準の146円台半ばを付けました。これにより、[146.604円](昨年10月から今年1月までの円高に対し78.6%戻り水準)まで来たことになります。

127.158円(1/16)からのリバウンドB波はいつ終わってもおかしくなく、ここから米ドル/円の上値追いは控えるのがベターでしょう。
【8月18日10:55更新】



エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。




宮田直彦

執筆者プロフィール

宮田直彦(ミヤタナオヒコ)

チーフ・テクニカルアナリスト、マネースクエアアカデミア学長

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