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為替介入実施のタイミングは?

2023/06/30 07:01

【ポイント】
・米ドル/円はジリ高で、「介入警戒ゾーン」に接近
・22年10月の介入は日本時間金曜日深夜と週明け月曜日の早朝に実施
・3年目続投が決まった神田財務官はどんな手腕をみせるか

米ドル/円は29日の欧米市場で一時144.875円をつけ、「介入警戒ゾーン」とされる(市場が勝手に想定しているだけですが)145円~150円の目前に迫りました。いつ為替介入が入ってもおかしくないのかもしれません。<本稿執筆時点の日本時間30日午前7時時点で為替介入は実施されていないようです>

では、為替介入が実施される場合、どんな状況で、かつどんなタイミングなのか。昨年の3回の介入を振り返っておきます。同じ状況で実施される保証は全くありませんが、参考にはなるでしょう。<以下、時間はおおよそであって、必ずしも正確ではありません>

■28日付け「政府・日銀の為替介入はあるか。22年の経験」もご覧ください。

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9月22日:24年ぶりの円買い介入
8月上旬から円安が進行するなか、9月上旬ごろから鈴木財務相や神田財務官から円安けん制の口先介入が頻発していました。そして、22日午後(12時~1時半ごろ)に神田財務官が報道陣に対して、「相場が大きく乱高下している。過度な変動の場合はあらゆる手段を排除することなく適切な対応を取る。スタンバイな状態だ」と述べました(出典:朝日新聞)。神田財務官は、午前(11時40分ごろ)に米ドル/円相場が大きく変動したことに関して、「(介入は)まだやってない」とも語っていました。

そして、日銀が実際に為替介入に踏み切ったのは、日本時間の16時ごろでした。東京タイムの終盤であり、欧州タイムの始まりを狙ったのでしょう。

22年9月22日の介入


10月21日:5.6兆円の過去最大の介入

上記第1回目の為替介入以降は、それ以前と打って変わって神田財務官は介入観測に関してコメントを避ける方針だったようです。

21日、欧州タイムに米ドル/円が上昇し、日本時間21時半ごろ151.899円をつけました。日銀が為替介入を実施したのは同24時近くだったとみられます。金曜日深夜の介入は日本の投資家にとってまさに「寝耳に水」だったでしょう。介入実施後の22日も、神田財務官はインタビューで「コメントしない」と述べています。

10月24日:2営業日連続での3回目の介入
週明け24日、今度は日本時間8時半すぎ、東京タイムの序盤に日銀が為替介入を実施。少額でしたが、金曜日深夜の介入でサプライズを受けた本邦の投資家に追い打ちをかけるようなタイミングでした。

22年10月21-24日の介入

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6月27日、神田財務官の3年目の続投人事が発表されました。あまり例が多くない3年目続投は、昨年の為替介入の手腕が高く評価されたためだとも言われています。神田財務官が今度はどんな形での介入を日銀に指示するのか、それともその機会はやってこないのか。大変、興味深いところです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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