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【株価指数】日米株価は底打ちから上昇基調を取り戻すか

2024/04/29 07:42

【ポイント】
・中東情勢は小康、米利下げ観測は一段と後退
・今週、株価は上昇基調を取り戻すか
・米FOMCや雇用統計が重要な相場材料となりそう
・引き続き決算動向にも要注目

先週(4/22- )のレビュー

4月に入って下落基調だった日米株価は先々週にいったん底打ちして反発した形となっているものの、方向感の定まらない展開。エネルギー関連やディフェンシブ銘柄のウェイトが大きいFTSE100は日米株価にやや遅れ気味だったものの、キャッチアップして先週末に最高値を更新。

イスラエルとイランの対立は、お互いが自制的な姿勢をみせたことでエスカレートを回避。「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数(S&P500の予想変動率)は大幅に低下、市場ではリスクオフが後退してやや安心感が広がりました。

一方で、米国の1-3月期GDP成長率はヘッドラインの数字こそ弱かったものの、中身は景気の堅調持続を示唆し、またデフレーターがインフレの根強さを示したことで、米利下げ期待が後退。米長期金利(10年物国債利回り)は一時昨年11月以来の水準まで上昇して株価の重石となりました。

先週は、米企業の1-3月期決算が本格化。大型テクノロジー銘柄「マグニフィセント7」のうち4社が決算発表。メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)の売上高見通しは冴えなかった一方で、マイクロソフトやアルファベット(グーグル)の決算ではAI投資の成長性が再確認されました。また、テスラの決算も芳しくありませんでしたが、低価格車販売の方針を打ち出したことが株価の上昇要因となりました。

日銀の金融政策決定会合では現状維持が決定されました。「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」は、2%物価目標の持続的・安定的達成にやや疑問符を付ける恰好となり、アグレッシブな利上げを想定していないことが示唆されました。また、植田総裁の記者会見では足もとの「円安」に対する懸念は示されず、米ドル/円はNY市場で一時158円台半ばまで上昇。ただ、26日の東京時間に156円台だったこともあり、日経平均の反応は限定的だったようです。

今週(4/29- )の相場材料

日本はGW(大型連休)で、東証の取引は4月30日-5月2日の3日間のみ。海外ではメーデー(5月1日)で休場の国もあるものの、米国は平常運転です。米企業の決算発表が続きます。とりわけ、「マグニフィセント7」のアマゾン(30日)、アップル(2日)などが注目されます。また、米利下げ観測が一段と後退するのか、あるいは前倒しとなるのか。小康状態の中東情勢や原油価格の動向にも注意が必要でしょう。

米国で相場材料となりそうなのが、30日-1日のFOMC。足もとで利下げ観測は大きく後退しており、26日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場のメインシナリオ(確率50%超)は「年内は9月の利下げ1回のみ」。FOMCの声明やパウエル議長の記者会見などで市場の観測がどう変化するか。日銀が緩和的政策の継続を示唆したことで、日米金利差は引き続き米ドル優位に働きそうです。日経平均にとっては、米ドル/円の行方や為替介入の有無もたいへん重要です。

3日の米雇用統計(4月分)も重要です。24年に入っても米雇用は堅調が続いており、利下げ観測後退の大きな背景となっています。失業率や平均時給なども含めて、要注目でしょう(雇用統計の一面を捉えて「雇用増の多くはパートタイマーや不法移民だから、労働市場の状況は良くない」との指摘もありますが、筆者はそうした言説に与しません)。

米雇用統計の前哨戦であるADP雇用やJOLT(労働実態調査)、そしてISM製造業景況指数(いずれも1日発表)なども相場材料となるかもしれません。その他、ユーロ圏のCPIやGDP(いずれも30日)、製造業PMI(2日)を受けて、ECBの利下げ見通しに変化は生じるか(引き続き6月利下げが有力視されています)。英国では全国住宅価格製造業PMI(いずれも1日)の発表があります。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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