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米GDPを受けて米利下げ観測が一段と後退

2024/04/26 07:46

アップデート<26日09:00>:
東京都区部CPI    :前年比1.8%←予想2.5%
同上(除く生鮮食品) : 同 1.6%← 同2.2%
同上(除く生鮮・エネルギー):同 1.8%← 同2.7%

東京都による高校授業料の実質無償化が影響した模様。
特殊要因があったことで市場の反応は限定的。

【ポイント】

・米GDPは詳細をみれば比較的堅調。インフレ指標は加速
・市場が織り込むFOMCの利下げは「年内は9月1回のみ」
・日銀会合や総裁会見、米PCEの結果次第では米ドル/円が動きそう

米GDPの発表を受けて、米利下げ観測が一段と後退。米ドル/円はGDP発表直後に一時155.699円をつけました。本日発表の4月東京都区部CPI日銀の金融政策決定会合植田総裁の記者会見、そして米国の3月PCE(個人消費支出)デフレーターなどの結果次第では、日米金融政策見通しに変化が生じ、米ドル/円が大きく変動するかもしれません。

状況によっては本邦当局による為替介入の可能性もあるため、明日27日からのGW(大型連休)に向けて要注意でしょう。

■米ドル/円については、本日のテクニカル・ポイント「注目の日銀会合!米ドル/円の動向は?」もご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

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米国の1-3月期GDP(国内総生産)は前期比年率1.6%と、前期実績(3.4%)および市場予想(2.5%)を大きく下回りました。このため米長期金利(10年物国債利回り)は低下で反応しました。

しかし、すぐに、インフレ指標であるGDPデフレーターが前期比年率3.1%と前期(1.6%)から加速したことが意識されました。長期金利が反発して一時4.74%と、昨年11月以来の水準まで上昇。米ドル/円の上昇要因となりました。1-3月期のPCEコアデフレーター(※)は前期比年率3.7%と、前期(2.0%)から大幅に加速しており、本日26日に発表される3月のPCEコアデフレーターも上振れする可能性がありそうです(市場予想は前年比2.7%)。

※PCE(個人消費支出)はGDPの1項目。GDPと同時に四半期のPCEや同デフレーターが発表されます。通常、月次PCEはGDPの翌日に発表されます。コアは食料とエネルギーを除く。

なお、1-3月期GDPは伸び率が大きく鈍化しましたが、国内民間最終需要(=個人消費+設備投資+住宅投資)の寄与度(※)は2.6%と、前期(2.8%)とほぼ同じで国内景気の堅調さを示しました。GDPの足を引っ張ったのは、在庫投資と純輸出。とりわけ、純輸出(=輸出-輸入)のマイナス寄与は輸入が大きく増えたことが原因。輸入の増加はやはり国内景気の堅調さを示唆しています。

※GDPの伸び率のうち何%分を説明しているかを示したもの。

米GDP内訳

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25日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込むFOMCのメインシナリオ(確率50%超=政策変更0.50回超)は、「年内の利下げが9月1回のみ。25年1月に追加利下げ」です。GDP発表前と比べて「9月利下げ」は変わりませんが、確率は低下。また、追加利下げは今年12月から25年1月へと後ズレしました。

OIS


※GW中のファンダメ・ポイントの配信予定は以下の通り<予定および内容は変更になる可能性があります>

4/27 米PCE(&日銀会合に対する欧米市場の反応)<未定>
4/29 【株価指数】
4/30 通常通り
5/ 1 通常通り
5/ 2 通常通り(FOMC結果)
5/ 3 通常通り
5/ 4 米雇用統計<未定>
5/ 6 【株価指数】

西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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