米ドル高が進むか? 米GDPに注目!
2024/04/25 09:07
【ポイント】
・米GDPでFRBの利下げ観測が一段と後退するか
・本邦当局による為替介入は?
(欧米市場レビュー)
24日の欧米時間の外為市場では、円が軟調に推移。一時、米ドル/円は155.344円、ユーロ/円は166.199円、英ポンド/円は193.599円、カナダドル/円は113.326円へと上昇しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)の上昇に支えられて米ドル/円が上昇し、クロス円はそれにけん引されたと考えられます。
豪ドル/NZドルは東京時間に一時1.09782NZドルへと上昇し、23年6月21日以来およそ10カ月ぶりの高値をつけました。豪州の1-3月期CPI(消費者物価指数)は総合指数が前年比3.6%、トリム平均値が同4.0%となり、いずれも市場予想(3.5%と3.8%)を上回りました。それを受けてRBA(豪中銀)の利下げ観測が後退して、豪ドル/NZドルの上昇要因になりました。
市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、23日時点で市場はRBAが年内に利下げを行う確率を6割程度織り込んでいました。それが本稿執筆時点で年内の利下げの確率はゼロ%近くへと低下しており、政策金利は年内据え置きへと市場の見方が変化しました。
(本日の相場見通し)
市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが後ズレするとの観測が強まっており、そのことが足もとの米ドル堅調の主な要因となっています。CMEのFedWatchツールによれば、23日時点で市場が織り込む利下げの確率は、次回4月30日-5月1日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.1%、6月11-12日までで19%程度、7月30-31日までで47%程度、9月17-18日までで73%程度です。1カ月前(3月22日時点)では、6月までに利下げが行われる確率が75%程度織り込まれていました。
米国の1-3月期のGDP(国内総生産)速報値が本日発表されます(日本時間21:30)。その結果が材料になりそうです。GDPが市場予想の前期比年率2.4%を上回る結果になれば、FRBの利下げが後ズレするとの観測は一段と強まりそうです。その場合、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になると考えられます。
本邦当局の円安(米ドル/円の上昇)への対応に引き続き注目です。鈴木財務相は23日、外為市場について「市場の動きを高い緊張感をもって見ている」、「過度な変動にはあらゆるオプションを排除せずに対応する」と述べ、介入の環境が整った旨の発言もしました。仮に為替介入(米ドル売り・円買い介入)が実施された場合、米ドル/円が下落して、クロス円もそれに引きずられると考えられます。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は、[日銀金融政策決定会合の注目ポイントと為替介入]です。
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TCMB(トルコ中銀)の政策会合が本日開かれます。会合の結果は日本時間20時に発表されます。
TCMBは3月の会合で5.00%の利上げを実施し、政策金利を45.00%から50.00%へと引き上げました。
トルコの3月CPI(消費者物価指数)は前年比68.50%と、上昇率は2月の67.07%から高まりましたが、カラハンTCMB総裁の発言をみると、政策金利は据え置かれそうです。
カラハン総裁は16日に「インフレ率(CPI上昇率)は、今後数カ月のうちに75%程度でピークを迎える」との見方を示し、「24年末までに36%(※)へと鈍化する軌道に乗っている」と発言。「(TCMBの)利上げサイクルは終了した」と語りました。TCMBの3月の利上げはインフレ見通しの悪化が理由でした。
TCMBは本日の会合で政策金利を据え置くと市場は予想しています。その通りの結果になれば、トルコリラに大きな反応はみられないかもしれません。
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