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円と英ポンドが軟調、米ドル/円は155円に一段と接近

2024/04/23 08:50

【ポイント】
・米経済指標でFRBの利下げ観測がさらに後退するか
・チーフエコノミストの講演でBOEの利下げ観測が一段と強まるか

(欧米市場レビュー)

22日の欧米時間の外為市場では、が軟調に推移。一時、米ドル/円は154.834円、豪ドル/円は99.846円、NZドル/円は91.621円へと上昇し、米ドル/円は90年6月以来およそ34年ぶり、カナダドル/円は08年1月以来およそ16年ぶりの高値をつけました。欧米の主要株価指数が堅調に推移する中でリスクオフ(リスク回避)の動きが後退し、そのことが円の重石となりました。

英ポンドも軟調。一時、英ポンド/米ドルは1.22991ドルへと下落して約5カ月ぶり安値をつけ、ユーロ/英ポンドは0.86391ポンドへと上昇して3カ月半ぶりの高値を記録しました。BOE(英中銀)の利下げ観測が強まっていることが、英ポンドに対する下押し圧力となりました。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の4月PMI(購買担当者景気指数)や3月新築住宅販売件数が発表されます。それらの結果が材料になる可能性があります。

市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・製造業PMI:52.0(51.9)
・サービス部門PMI:52.0(51.7)
・新築住宅販売件数(年率換算):67.0万件(66.2万件)

4月に入ってから、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが後ズレするとの観測が市場で強まっており、そのことが足もとの米ドル高の主な要因となっています。

PMIや新築住宅販売件数が利下げ観測を一段と後退させる結果になれば、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下値を試す展開になる可能性があります。ユーロ/米ドルは、1.05999ドル(4/16安値)が目先の下値メドです。

米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局の対応(為替介入に踏み切るかどうか)に引き続き注目です。

ラムスデンBOE(英中銀)副総裁のハト派的な発言を受け、市場ではBOEの早期利下げ観測が強まっています。ラムスデン副総裁は19日に「国内の持続的なインフレ圧力へのリスクが後退しているとの自信が深まっている」、「インフレ見通しに対するリスクバランスは、2月時点の予測と比較して下向きに傾いている」、「インフレ率は、予測期間全体を通じて2%近辺にとどまる可能性もある」と述べました。

本日、BOEのピル・チーフエコノミスト兼MPC(金融政策委員会)委員が講演します。ピル氏がBOEの早期利下げ観測を一段と強めるような発言をすれば、英ポンドへの下押し圧力はさらに強まりそうです。ユーロ/英ポンドは、0.87100ポンド(23/12/28高値)が上値メドです。

※ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/英ポンド、ボックス圏相場を上抜けブレーク!]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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