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為替介入への警戒続く!? 米雇用統計後の展開は?

2024/05/03 07:20

【ポイント】
・米ドル/円は日本時間3日早朝に153円ちょど近辺まで下落
・為替介入への警戒に加えて、米長期金利の低下が背景か
・米雇用統計の結果が米ドル/円や為替介入の有無に影響を与えそう

米ドル/円は日本時間3日午前4時ごろに153円ちょうど近辺まで下落。2日につけた152.920円に接近しました。日銀当座預金の状況から2日には約3.5兆円の米ドル売り円買いの為替介入があったと推測されています(4月29日は約5.5兆円の同介入があった模様※)。

※4月26日-5月29日の介入実績(総額)は、5月末に公表される財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」で明らかになります。日次の介入の有無については8月ごろの詳細公表まで待つ必要があるようです。

足もとの米ドル/円は日本時間2日午前10時30分ごろに156.248円でピークをつけた後にジリジリと値を下げてきました。これは新手の為替介入というよりは、市場が本邦当局の為替介入を引き続き警戒しているのかもしれません。

米ドル円

4月29日の為替介入が日本の祝日、5月2日の為替介入が(パウエル議長の記者会見直後のタイミングではあるものの)NY時間の終盤だったことで、再び日本の祝日や週末(あるいは週初)など市場が薄いタイミングでの為替介入の可能性が意識されたのでしょう。

もっとも、足もとの米ドル/円の下落は、米長期金利(10年物国債利回り)の低下とほぼ足並みをそろえています(※)。したがって、米ドル/円の行方について、為替介入に対する警戒が続くなかで、米長期金利の動向も重要なカギを握っているといえそうです。

(※)2日に発表された米国の1-3月期単位労働コストが前期比4.7%と市場予想(同4.0%)を上回ったことで、長期金利はいったん反発しましたが、その後低下基調に回帰しました。

米長期金利

22年10月の2営業日連続の為替介入の後、米ドル/円は下落基調となりました。本邦当局が円安阻止に向けて本気を見せたこともあるでしょうが、米長期金利が低下したことも大きかったと思われます。長期金利の低下は、11月10日に発表された10月CPI(消費者物価指数)が下振れし、FRBの利下げ観測が後退したからです。

日本時間3日午後9時30分には米4月雇用統計が発表されます(午後11時にISM非製造業景況指数もあり)。NFP(非農業部門雇用者数)だけでなく、時間当たり賃金や失業率、労働参加率なども勘案した上で、雇用統計が弱ければ、後退しつつあった米利下げ観測が前倒しとなり、長期金利は低下しそうです。そうなれば(その後の状況にもよりますが)、後々には4-5月の2度の為替介入が米ドル/円のトレンドを転換させたと記憶されるかもしれません。

逆に、雇用統計が強ければ、長期金利が上昇して米ドル/円にも上昇圧力が加わりそうです。その場合、本邦当局は米ドル/円の上昇を静観するのか、あるいは日本の4連休のタイミングで三たび為替介入に踏み切るのか。大いに注目されるところでしょう。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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