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日欧の中銀会合、米中首脳会談に注目!

2025/10/30 09:19

【ポイント】
・日銀総裁会見などで市場の金融政策見通しがどう変化するか
ECB総裁会見でECBによる利下げ打ち止め観測が高まるか
・豪CPIは強い結果、RBAによる利下げ観測が後退

(欧米市場レビュー)

29日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は153.012円、米ドル/シンガポールドルは1.29805シンガポールドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.15765ドル、英ポンド/米ドルは1.31381ドルへと下落しました。

FRB(米連邦準備制度理事会)はFOMC(米連邦公開市場委員会)を開き、0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を4.00~4.25%から3.75~4.00%へと引き下げました。この結果は市場予想どおりだったものの、パウエルFRB議長が会見で次回12月FOMCでの利下げは既定路線ではないなどと述べたことが、米ドルにとってのプラス材料となりました。

※詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCはタカ派的利下げ、長期金利&米ドル上昇!]をご覧ください。

豪ドルも対米ドルを除いて堅調。一時豪ドル/円は100.687円、豪ドル/NZドルは1.14239NZドルへと上昇しました。豪州の7-9月期CPI(消費者物価指数)が強い結果だったことでRBA(豪中銀)による利下げ観測が後退し、豪ドル高要因となりました。OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む次回11月3-4日のRBA会合での利下げ確率は約5%(日本時間30日07:50時点)。CPI発表前は4割程度でした。

豪州の7-9月期CPIの結果は以下のとおり。( )は市場予想です。
・総合(前期比):1.3%(1.1%)
・総合(前年比):3.2%(3.0%)
・トリム平均値(前期比):1.0%(0.8%)
・トリム平均値(前年比):3.0%(2.7%)

RBAのインフレ目標レンジは2~3%です。RBAがコアインフレとして重視するトリム平均値は、前年比で前期の2.7%から上昇率が高まって目標上限に達しました。

※豪ドルについては、29日収録の『M2TV 資源・新興国マーケットView』[豪ドル/NZドルの今後は? 注目は1.15!?]にて解説していますので、ご覧ください。

BOC(カナダ中銀)は0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を2.50%から2.25%へと引き下げました(*詳細は後述)。

(本日の相場見通し)

米中首脳会談が日本時間午前11時から開催される予定です。それを受けて両国の貿易摩擦への懸念が後退する場合、リスクオン(リスク選好)が強まるかもしれません。リスクオンはにとってのマイナス材料になる一方で、豪ドルNZドルにとってはプラス材料になると考えられます。

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本日は、日銀の金融政策決定会合が開かれます。会合の結果は通常正午前後に判明し、15時30分から植田日銀総裁が会見します。

政策金利は現行の0.50%に据え置かれると市場は予想しています。そのとおりの結果になれば、9人の政策委員の投票行動経済・物価情勢の展望(展望レポート)植田総裁の会見が材料になりそうです。

前回9月18-19日の会合では、7対2で政策金利の現状維持を決定。決定に反対した田村審議委員と高田審議委員は0.25%利上げすることを提案しました。本日の会合で田村委員と高田委員は引き続き利上げを主張するのか、そして利上げに同調する委員が増えるのか注目されます。

市場では、早ければ日銀は次回12月18-19日の会合で利上げを行うとの観測があります。政策委員の投票行動や展望レポート、植田総裁の会見内容を日銀は追加利上げを急いでいないと市場が受け止めれば、円が軟調に推移して米ドル/円や豪ドル/円、NZドル/円などの対円の通貨ペアは上値を試す展開になりそうです。

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ECB(欧州中銀)理事会が本日開かれます。理事会の結果は日本時間22時15分に判明し、22時45分からラガルドECB総裁が会見します。

ECBは24年6月から25年6月まで8回の利下げを実施。その後、7月・9月と2会合連続で政策金利を据え置きました。現在の政策金利は、ECBが最も重視している下限の中銀預金金利が2.00%、残りの2つ、主要リファイナンス金利が2.15%、限界貸出金利が2.40%です。

政策金利は今回も据え置かれると市場は予想しています。そのとおりの結果になれば、ラガルド総裁の会見が材料になりそうです。

市場では、ECBの利下げは打ち止めとの観測があります。ラガルド総裁の会見がその観測を高める内容になれば、ユーロが堅調に推移しそう。ユーロ/英ポンドの上値メドとして、23年2月高値の0.89744ポンドが挙げられます。

※ECB理事会については、29日の『ファンダメ・ポイント』[ECBは利下げ打ち止めか]をご覧ください。
※ユーロ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/円、相場の力を溜め込む時間帯!日欧中銀総裁会見が相場動意となりそう]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

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BOC(カナダ中銀)は29日に政策会合を開き、0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を2.50%から2.25%へと引き下げました。BOCによる利下げは2会合連続、24年6月以降で9回目です。

BOCは声明で利下げする理由を「(カナダ)経済の弱さが継続し、インフレ率が目標の2%近辺にとどまると予想されるため」と説明しました。

BOCの声明や会合後のマックレム総裁の会見では、24年6月に開始された利下げが打ち止めとなる可能性が示されました。声明は「インフレと経済活動が10月の予測とおおむね一致して推移する場合、現在の政策金利は、構造調整期(※)にある経済を支援しつつ、インフレ率を2%近辺に維持するうえでおおむね適切な水準にあると考えている」と表明。「見通しに変化が生じれば、我々は対応する用意がある」と付け加えました。

(※)マックレム総裁は会見で、「カナダ経済の弱さは、単なる景気循環にとどまらず、構造的な転換でもある」と述べました。「米国との貿易摩擦がカナダ経済の見通しを悪化させている」とし、「関税によって生じる構造的なダメージが生産能力を低下させ、コストを増加させている」との認識を示しました。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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