パウエル議長のジャクソンホール講演、9月利下げを示唆
2025/08/23 07:52
【ポイント】
パウエル議長の講演の要旨は以下:
・雇用と物価のリスクバランスがシフトしている
・その結果、政策スタンスの調節(=利下げ)が正当化されるかも
・ただし、雇用統計は移民規制の影響を受けている
・レイオフや求人倍率などの指標は労働需給の急激な悪化を示していない
パウエルFRB議長は22日、ジャクソンホール会議で講演し、9月16-17日のFOMCでの利下げを示唆しました。
7月29-30日のFOMCでは、雇用下振れのリスクよりも物価上振れのリスクの方が大きいと多くの参加者が考えてきたことが明らかになっていました。しかし、8月1日発表の7月雇用統計が非常に悪かったこともあり、パウエル議長は、「雇用と物価のリスクバランスが変化しつつあるようだ」と指摘。そして、「政策金利が抑制的な領域にあるため、金融政策を調節することが正当化されるかもしれない」と述べました。
パウエル議長は9月の利下げを明言したわけではありませんが、利下げに向けた地ならしを行ったと言えるでしょう。
一方で、パウエル議長は雇用の下振れリスクが増大していることを認めつつも、7月雇用統計に過剰反応すべきでない点を強調しました。NFP(非農業部門雇用者数)の大幅なペースダウンは、移民規制による労働市場の縮小が一因であるとし、労働需給の大幅な緩和につながっていないと指摘。7月の失業率が4.2%と、歴史的にみて低い水準にとどまっており、自発的離職、レイオフ(一時解雇)、求人倍率などの労働関連指標はほとんど変化していないか、わずかに軟化しているに過ぎないと指摘しました。
物価に対する関税の影響について、パウエル議長は、関税が一時的に価格水準を引き上げることで、その影響は短期的だというのが基本的な見方だと述べました。関税がインフレ期待を押し上げることで影響が長引く可能性に言及しつつも、現在のところインフレ期待に関する指標は落ち着いていると指摘しました。
*******
パウエル議長の講演を受けて、市場の利下げ観測がやや高まりました。長期金利が大きく低下、NYダウは800ドル超上昇。米ドル(実効レート)は下落しました。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む9月FOMCでの利下げ確率は84%(前日時点で73%、以下同じ)。また、年内に0.25%×2.2回(1.9回)、26年7月までに0.25%×4.6回(4.2回)の利下げが織り込まれています。
パウエル議長の講演の要旨は以下:
・雇用と物価のリスクバランスがシフトしている
・その結果、政策スタンスの調節(=利下げ)が正当化されるかも
・ただし、雇用統計は移民規制の影響を受けている
・レイオフや求人倍率などの指標は労働需給の急激な悪化を示していない
パウエルFRB議長は22日、ジャクソンホール会議で講演し、9月16-17日のFOMCでの利下げを示唆しました。
7月29-30日のFOMCでは、雇用下振れのリスクよりも物価上振れのリスクの方が大きいと多くの参加者が考えてきたことが明らかになっていました。しかし、8月1日発表の7月雇用統計が非常に悪かったこともあり、パウエル議長は、「雇用と物価のリスクバランスが変化しつつあるようだ」と指摘。そして、「政策金利が抑制的な領域にあるため、金融政策を調節することが正当化されるかもしれない」と述べました。
パウエル議長は9月の利下げを明言したわけではありませんが、利下げに向けた地ならしを行ったと言えるでしょう。
一方で、パウエル議長は雇用の下振れリスクが増大していることを認めつつも、7月雇用統計に過剰反応すべきでない点を強調しました。NFP(非農業部門雇用者数)の大幅なペースダウンは、移民規制による労働市場の縮小が一因であるとし、労働需給の大幅な緩和につながっていないと指摘。7月の失業率が4.2%と、歴史的にみて低い水準にとどまっており、自発的離職、レイオフ(一時解雇)、求人倍率などの労働関連指標はほとんど変化していないか、わずかに軟化しているに過ぎないと指摘しました。
物価に対する関税の影響について、パウエル議長は、関税が一時的に価格水準を引き上げることで、その影響は短期的だというのが基本的な見方だと述べました。関税がインフレ期待を押し上げることで影響が長引く可能性に言及しつつも、現在のところインフレ期待に関する指標は落ち着いていると指摘しました。
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パウエル議長の講演を受けて、市場の利下げ観測がやや高まりました。長期金利が大きく低下、NYダウは800ドル超上昇。米ドル(実効レート)は下落しました。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む9月FOMCでの利下げ確率は84%(前日時点で73%、以下同じ)。また、年内に0.25%×2.2回(1.9回)、26年7月までに0.25%×4.6回(4.2回)の利下げが織り込まれています。
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