為替取引に経験則は通用しない⁉
2025/07/09 07:00
【ポイント】
・トランプ政権の政策により、過去の経験則が通用しなくなっている⁉
・米ドル/円と日米長期金利差の関係も4月以降に崩れた
・相場の方向性に予断を持たない方が良いかも
Bloombergで興味深い記事を発見しました。8日付け「為替取引は視界不良の時代に、ベテランも困惑―予測モデルが機能不全」というもの。
要約すると、トランプ政権の政策が米ドルに打撃となっており、金利差、リスクオン/オフ、原油価格などといった指標を基に、それらから想定される為替相場と実際の相場の動きが大きく異なっている。つまり、経験則が通用しなくなっていると。
筆者は経済ファンダメンタルズを基にマーケット情報を発信していますが、最近何となく違和感を持つこともありました。それが個人的な感覚だけではないと分かり、少しスッキリしました。
*******
さて、筆者が用いる米ドル/円の推計モデルもご多分に漏れず。日米長期金利(10年物国債利回り)の差を用いた回帰分析で米ドル/円を推計しています。今年1-3月は推計値が実勢値とかなりシンクロしていました(決定係数※0.91)。しかし、そのモデルを4月以降に用いると推計値と実勢値に大きな差が生じました。

改めて4月1日~7月7日の期間で回帰分析を行ってみましたが、両者の相関係数※はマイナス0.26と弱い逆相関でした。つまり、相関は弱いものの、日米金利差(米>日)が拡大すると米ドル/円が下落する、金利差が縮小すると米ドル/円が上昇するという関係がわずかにあるということ。ただ、決定係数は0.07とほぼゼロなので、新しい推計モデルには米ドル/円を説明する力はほとんどありません。

※相関係数と決定係数
相関係数は2つのデータがどれだけ同方向に動いているかをみるもの。値は、マイナス1(完全な逆相関)から1(完全な正相関)の範囲になります。決定係数は相関係数を2乗したもので、0から1の値をとります。これは各推計値がどれだけ実績値に近いか(うまく説明しているか)をみるもの。
なにか新しい材料が出て為替相場が大きく動くこともあるでしょう。ただ、その方向についてはあまり予断を持たない方が良いかもしれません。例えば、米長期金利が大きく上昇するとしても、それが米ドル高を招くのか、それとも米ドル安(悪い金利上昇)となるのか、十分に吟味する必要があるでしょう。
・トランプ政権の政策により、過去の経験則が通用しなくなっている⁉
・米ドル/円と日米長期金利差の関係も4月以降に崩れた
・相場の方向性に予断を持たない方が良いかも
Bloombergで興味深い記事を発見しました。8日付け「為替取引は視界不良の時代に、ベテランも困惑―予測モデルが機能不全」というもの。
要約すると、トランプ政権の政策が米ドルに打撃となっており、金利差、リスクオン/オフ、原油価格などといった指標を基に、それらから想定される為替相場と実際の相場の動きが大きく異なっている。つまり、経験則が通用しなくなっていると。
筆者は経済ファンダメンタルズを基にマーケット情報を発信していますが、最近何となく違和感を持つこともありました。それが個人的な感覚だけではないと分かり、少しスッキリしました。
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さて、筆者が用いる米ドル/円の推計モデルもご多分に漏れず。日米長期金利(10年物国債利回り)の差を用いた回帰分析で米ドル/円を推計しています。今年1-3月は推計値が実勢値とかなりシンクロしていました(決定係数※0.91)。しかし、そのモデルを4月以降に用いると推計値と実勢値に大きな差が生じました。

改めて4月1日~7月7日の期間で回帰分析を行ってみましたが、両者の相関係数※はマイナス0.26と弱い逆相関でした。つまり、相関は弱いものの、日米金利差(米>日)が拡大すると米ドル/円が下落する、金利差が縮小すると米ドル/円が上昇するという関係がわずかにあるということ。ただ、決定係数は0.07とほぼゼロなので、新しい推計モデルには米ドル/円を説明する力はほとんどありません。

※相関係数と決定係数
相関係数は2つのデータがどれだけ同方向に動いているかをみるもの。値は、マイナス1(完全な逆相関)から1(完全な正相関)の範囲になります。決定係数は相関係数を2乗したもので、0から1の値をとります。これは各推計値がどれだけ実績値に近いか(うまく説明しているか)をみるもの。
なにか新しい材料が出て為替相場が大きく動くこともあるでしょう。ただ、その方向についてはあまり予断を持たない方が良いかもしれません。例えば、米長期金利が大きく上昇するとしても、それが米ドル高を招くのか、それとも米ドル安(悪い金利上昇)となるのか、十分に吟味する必要があるでしょう。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
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- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。