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円が反発、為替介入への警戒感が強まる

2024/03/28 09:15

【ポイント】
・鈴木財務相と神田財務官が円安をけん制
・米ドル/円の上昇に弾みがつく場合の本邦当局の対応
FRB理事の発言で利下げ観測が後退するか

(欧米市場レビュー)

27日の欧米時間の外為市場では、が反発。一時、米ドル/円は151.015円、ユーロ/円は163.435円、豪ドル/円は98.461円、NZドル/円は90.599円へと下落しました。財務省・金融庁・日銀は臨時の情報交換会(3者会合)を開き、また神田財務官は3者会合後に「最近の円安(米ドル/円の上昇)はファンダメンタルズに沿ったものとは到底いえない」、「円安の背景に投機的な動きがあることは明らか」、「行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せず、適切な対応をとる」などと述べました。それらを受けて市場では本邦当局による為替介入(米ドル売り・円買い)への警戒感が強まり、そのことが円の支援材料となりました。米ドル/円は東京時間に一時151.940円へと上昇し、1990年7月以来およそ34年ぶりの高値をつけていました。

本日28日の『ファンダメ・ポイント』は、[3者会合は為替介入の前触れ??]です。

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SARB(南アフリカ中銀)は、政策金利を8.25%に据え置くことを決定。据え置きは5会合連続で、据え置くとの決定は5人の政策メンバー全員一致でした。

SARBは24年のインフレ見通しを1月時点から上方修正し、CPI(消費者物価指数)上昇率は24年に5.1%(1月時点は5.0%)、コアCPI上昇率は4.8%(同4.6%)との見通しを示しました。また、CPI上昇率がSARBのインフレ目標レンジ(3~6%)の中間値である4.5%に到達する時期の見通しは、1月時点の25年7-9月期から同10-12月期へと1四半期後ズレさせました。

クガニャゴ総裁は会合後の会見で、「最新のインフレ統計(※)は、目標レンジ中間値の4.5%への到達が遅れることを示唆している」と指摘。CPI上昇率は4.5%へと鈍化すると引き続き予想しているとしつつも、「政策金利の正常化(=利下げ)の開始は遅れる可能性がある」と述べました。

(※)南アフリカの2月CPIは前年比5.6%と、上昇率は1月の5.3%から高まり、コアCPI上昇率も1月の4.6%から5.0%へと高まりました。

市場ではSARBは7-9月期に利下げを行うとの観測があります。SARBがタカ派的な姿勢を示したことで、利下げ観測は後退する可能性があります。

(本日の相場見通し)

鈴木財務相や神田財務官が円安をけん制しました。鈴木財務相は27日、為替相場について「行き過ぎた動きがある場合にはあらゆる選択肢を排除せず、断固たる措置をとる」と述べました(神田財務官の発言は上述)。米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局の対応に注目です。

ウォラーFRB(米連邦準備制度理事会)理事は27日(日本時間28日)に講演し、(FRBは)利下げを急ぐ必要はないとの認識を示しました。ウォラー理事は講演で、「現在の政策金利(の水準)を予想よりも長期間維持する必要がある可能性がある」、「米経済指標は、年内の利下げ回数を減少させるのが可能なことを示唆している」、「利下げを支持するには、インフレ率のさらなる改善を確認する必要がある」などと述べました。

市場では、FRBは6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うとの見方が有力です。CMEのFedWatchツールによると、26日時点で市場が織り込む利下げの確率は、次回4月30日-5月1日のFOMCで10%程度、6月11-12日までで70%程度です。

ウォラー理事の発言を受けて利下げ観測は後退する可能性があります。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わり、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルには下落圧力が加わりそうです。

本日は、米国の先週分の新規失業保険申請件数や3月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値、3月シカゴ購買部協会景気指数が発表されます。それらが市場予想からかい離する結果になれば、材料になる可能性があります。ミシガン大学消費者信頼感指数については、ヘッドラインの数値だけでなく、1年先や5年先のインフレ期待が前回から上昇あるいは低下するのかにも注目です。

市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・新規失業保険申請件数:21.2万件(21.0万件)
・シカゴ購買部協会景気指数:46.0(44.0)
・ミシガン大学消費者信頼感指数:76.5(76.5)
・同1年先のインフレ期待:予想なし(3.0%)
・同5年先のインフレ期待:予想なし(2.9%)

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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