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エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※6月16日更新

2023/06/16 11:09

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[日経平均]
【当面の想定レンジ】 32,500~34,000円

[NYダウ] 
【当面の想定レンジ】 33,800~35,500ドル

[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 12,600~14,200

[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~142.000円


[日経平均]
世界金融危機の底値を付けた08年10月以降、日経平均はおよそ4年周期で底入れしており、現在の相場はコロナショック底(20年3月)を起点とする4年サイクルの中にあります。この4年サイクルは、二つの2年サイクル(2年+2年)で構成されています。22年3月からは後半の2年サイクルに入っており、さらに今年3月(彼岸底)からは現行2年サイクル後半(1年サイクル)に入っています。

筆者の想定では、現行1年サイクルの高値を付けるのは今年10月以降。それまで日経平均は上値追いの展開が期待できます。


【週足・エリオット波動分析】
21年9月からの第(2)波による調整は、今年の大発会安値(25,661円)を以て完了したとみています。
それはコロナショック底(20年3月)から34ヵ月後(フィボナッチ数)に付けた、重要な二番底に当たり、そこから日経平均は第(3)波に入った、というのが基本観です。

日経平均は今年の「彼岸底」から第➂波中の第(3)波=「サード・オブ・サード」強気相場が進行中です。
このサード・オブ・サードは、日経平均を4万円レベルに押し上げる、力強くダイナミックな強気波動に育っていくでしょう。

海外投資家は10週連続の買い越し
6月第1週(6/5-6/9)に海外投資家は、日本株を現物先物合計で9928億円買い越しました。

買い越しは10週連続で、この間の買い越し額は7兆3900億円(うち現物は5兆5300億円)に上ります。アベノミクス相場を大きく上回るペースで、海外マネーの流入が続いています。

プライム市場時価総額は4月から100兆円増
今週の日本株市場では、他にも銘記すべき動きがみられました。
13日に東証プライム市場の時価総額が800兆円台に乗せました。これは東証1部時代を含めて初めてのことです。

3月末の時価総額は713兆円、直近(6/15)は813兆円。海外投資家が本格出動した4月からの僅か2カ月半で、時価総額は一気に100兆円増えたわけです。

これまでも繰り返してきたことですが、デフレ時代の経験則が通用しない歴史的な強気相場が進行している、という認識が必要です。


日経500平均が最高値更新
日経平均は89年高値までにまだ距離がありますが、日経500平均は14日に、21年9月に付けた3033.45を上回り、史上最高値を更新しています(翌15日には一時3042まで上昇)。

日経平均やTOPIXの33年ぶり高値という点ばかりが注目されていますが、日経500平均をみれば、日本株相場及び日本経済が、今まさに空前の領域に一方を踏み出し、新たな成長ステージに入ったことがわかります。



【時間足・エリオット波動分析】
目先波動カウントを少し修正します。
26,632円(3/16安値)を起点とするマルiii波の上昇局面のうち、第(v)波上昇が31,420円(6/8安値)から進行中とカウントします。

後述しますが、15日には一時33,767円まで上昇した後に値を消す動きとなりました。この日の日経平均は200日MAからのかい離が一時20%を超え、利食い売りが出やすいところでした。仮にマルiii波が終わったのであれば、当面はマルiv波の調整となるでしょう。下値メドは[32,708円-31,420円]、マルiii波のレッサー・ディグリー(iv)波の領域です。

目先の上昇が続くようなら、心理的節目の3万4000円を打診し、さらには[34,677円]へ目先一段高となるかもしれません。

[34,677円]…マルi波の上昇幅とマルiii波の上昇幅が1:2.618になる水準のこと

「もうはまだなり」か、それとも「まだはもうなり」なのか
15日の日中には、日経平均と200日MAのかい離が一時20%超に広がりました。
経験則的に、日経平均200日MAかい離が20%程度に広がると「上がり過ぎ」とみられますので、この日の高値(33,767円)から日経平均が急速に値を消したことに違和感はありません。結局この日の日経平均は5日ぶりに小反落し、200日MAかい離は20%未満(19.49%)にとどまりました。

もっとも過去を振り返ると、200日MAかい離が20%を大きく超えてしばらく推移することが、まれにありました。

例えば3年前の米大統領選挙手前から始まったラリーのとき。20年12月29日に日経平均と200日MAのかい離が20%を超えました。その後は何度か20%割れの日を挟みつつも、21年2月16日に最大かい離(26.3%)を記録しています。そしてこの32営業日で日経平均は10.5%高となっています。

また今から10年前、「アベノミクス相場」開始まもなくのとき。200日MAかい離が13年1月30日に20%超に広がり(21.19%)、14年5月22日の最大かい離(47.3%)まで、実に76営業日の長きにわたり、かい離は20%を上回り続けました。この76日間を通じ、日経平均は何と40.6%もの大幅高を演じたのでした。

相場はときに、普通の道理や常識で説明が付かない「理外の理」で動くものです。歴史的な強気相場が進行する中で、200日MAかい離が20%超で高止まりし、株高が続くことも今後はあり得るでしょう。
【6月16日 8:34更新】



[NYダウ]

【NYダウ日足・エリオット波動分析】 
NYダウは22年1月高値(36,952ドル)から同年10月安値(28,660ドル)までの下げ半値戻り水準(32,806ドル)を大きく上回っています。「半値戻りは全値戻り」との相場格言に従えば、今後NYダウは過去最高値へ向けての上昇が期待できることになります。NYダウに限れば、年内にも史上最高値更新があるかもしれません。

NYダウは、22年10月から大きなリバウンド局面・(B)波が進行中とみられ、(B)波は三波構成(A-B-C)が想定されます。

22年12月高値(34,712ドル)からの(B)-B波による下げは、31,429ドル(3/15安値)を以て終了し、そこからは(B)-C波の上昇に入った可能性が高いとみています。それはNYダウを過去最高値圏に押し上げることになるでしょう。
3月末から200日MAが上昇基調を続けていることは、NYダウが中期上昇トレンドに入ったことを証左しています。

6月15日にNYダウは1.26%高となり半年ぶり高値を回復しました。ここからは上値試しの基調がさらに強まる可能性があります。


【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
6月15日にNYダウは一時34,488ドルまで上昇。これは昨年12月以来となる、半年ぶり高値です。

昨年10月安値(28,660ドル)以来の上昇(B)波において、A波は昨年12月高値(34,712ドル)で、B波は31,492ドル(3/15安値)で各々終了し、そこからC波が展開中とみています。

さらにC波中最初の上昇第(i)波は34,257ドル(5/1高値)で、調整第(ii)波は32,586ドル(5/25安値)を以て終了し、そこからは上昇第(iii)波に入ったと読めます。

この波動カウントが正しければ、現行第(iii)波は短期的にも34,712ドルを上回る可能性があります。そして近い将来、心理的節目の3万5000ドルを試すことでしょう。なお3万5000ドル付近には以下に示すチャート節目があります。

[34,995ドル]…22年1月高値から10月安値までの下げに対する76.4%戻り
[35,178ドル]…同78.6%戻り
【6月15日 9:08更新】

[ナスダック]

【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
21年11月高値からの調整は、プライマリー級第➃波に位置付けられます。この第➃波の全体像としては複雑な、時間がかかるパターン(トライアングルなど)になることが見込まれます。例えば➃波がトライアングルなら、その完成まである程度の期間が必要でしょう。

22年12月安値・10,207を起点とする上昇は、➃-(B)波に位置付けられます。(B)波は基本的に、三波構成(A-B-C)で展開していきます。この見方に基づくと、今年後半にナスダックは、14,646(22年3月高値、ダイアゴナル始点水準)を打診する強基調となりそうです。

6月15日には一時13,828まで上昇しました。
いよいよ注目節目の[13,873](21年からの下落に対する61.8%戻り水準)を試す局面を迎え、早々のブレイクなるかが注目されます。

一方、200日MAとのかい離が20%に接近しており(15日現在19.33%)、急ピッチの上昇に対する調整がそろそろ入ってもおかしくありません。

【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・エリオット波動分析】
昨年10月安値(2089)以来の上昇は、➃波中(B)波の上昇に位置付けられます。この(B)波は基本的にA(↗)-B(↘)-C(↗)の三波構成となります。

6月13日にSOX指数は、22年高値からの下落に対する78.6%戻り水準[3644]を上抜きました。14日には一時3740と、22年1月以来1年半ぶり高値まで上昇しています。

実はSOX指数と200日MAのかい離は直近で30%を上回っており(15日時点で30.6%)、通常なら相応の調整があってしかるべきですが、そうなっていません。見方を変えれば、尋常ではない強気相場が進行中ともいえ、そう遠くない将来に22年1月に付けた過去最高値を更新する展開も想定されます。
【6月16日 9:34更新】


[米ドル/円]

2011年10月に付けた75.570円を起点とする、(A)-(B)-(C)”ジグザグ”パターンによる円安は、151.899円(22/10/21)を以て終わったとみています。この先はおそらく2028年頃まで、米ドル/円はレンジ相場を形成していくでしょう。

【月足・エリオット波動分析】 
通算11年間の(A)-(B)-(C)円安は一括りでⓌ波とラベリングされ、10月以来の円高局面はⓍ波とカウントされます。このⓍ波が将来的に、例えば1ドル=100円を大きく下回る(米ドル安・円高)可能性は低いでしょう。

もっとも、Ⓦ波が通算で75円幅という大きなスケールの米ドル高・円安となった以上、それに対する反動としてのⓍ波のスケールも相応に大きなものになります。

具体的には2015年6月の[125.860円]、Ⓦ波の38.2%戻り水準である[122.741円]、これらはⓍ波のメドとして射程圏内にあります。

ちなみに(A)波(2011年10月⇒2015年6月)はおよそ50円幅上昇し、2016年6月(英国国民投票でEU離脱決定)まで25円程度を引き返しています(半値戻り)。今回も(C)波の上昇幅はおよそ50円ですから、以前のように25円程度の円高が起きるとみれば125円辺りが適当なメド、ということになります。

【週足・エリオット波動分析】 
今年年間のレンジとして筆者は[125円-150円](中央値137.500円)を想定しています。
1月16日に付けた127.158円は、21年1月-22年10月の米ドル高・円安(C)波の半値押し水準(127.239円)に相当し、そして想定レンジ下限に近いものでした。

127.158円(1/16)を以て、Ⓧ波における最初の米ドル安・円高局面(A波)は完了し、以降でB波(米ドル高・円安)が展開中とみています。

足元の米ドル/円は52週MAを大きく上回っています。
既に26週MAと52週MAのデッドクロスは無効になり、13週MAと26週MAのゴールデンクロスによって米ドル/円買いシグナルが点灯しています。

さらに直近では、3つの移動平均線が揃って上昇基調となっています。米ドル/円の短中期トレンドが上向きであることを(少なくとも下向きではない)示唆するものといえます。

近づく円買い介入ライン
5月30日の財務省・金融庁・日銀による3者臨時会合をきっかけに、円買い介入の可能性がちらつくようになり、米ドル/円を買い進むことに躊躇する空気が、市場参加者の間に醸成されています。同様のことは、本日16日の日本経済新聞の「ポジション」欄でも、「近づく円買い介入ライン」という見出しで取り上げられていました。

やはり介入警戒感があるのでしょうか、6月15日には一時141.476円と米ドル/円は年初来高値を更新しましたが、すぐに140円処へ戻りました。

【時間足・エリオット波動分析】 
133.677円(5/11)からの米ドル高・円安はⓒ波に位置付けられます。

まだこれという確信はありませんが、15日に付けた141.476円を以てⓒ波が終わったとみることも可能です。当面は137円-138円への円高への動きに注意が必要かもしれません。
【6月16日10:13更新】


エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。





宮田直彦

執筆者プロフィール

宮田直彦(ミヤタナオヒコ)

チーフ・テクニカルアナリスト、マネースクエアアカデミア学長

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