「大予想」2022年の為替・株

2021年回顧

2021年の為替相場総括

21年の為替相場は、各国の金融政策の方向性の違いを強く反映しました。インフレ懸念から金融政策の正常化を模索し、あるいはそれを進めた国の通貨が総じて強く、金融緩和を継続、あるいは強化した国の通貨は下位に沈みました。

21年(12月16日まで)の主要通貨の騰落率をみると、景気堅調が続くなかで米FRBが11月にテーパリングを開始し、22年中の利上げが視野に入ったことで、米ドルが最上位。BOE(英中銀)が利上げに動いたことで、英ポンドも堅調でした。対照的に、ECBや日銀は「辛抱強く」金融緩和を続ける姿勢を示し、ユーロや円は軟調でした。

主要国の金融緩和縮小の観測は、資源国や新興国の通貨にとって弱気材料となりました。ただし、原油価格(WTI先物)が年初の1バレル=40ドル台から10月に一時80ドル台ミドルまで上昇したことで、カナダドルは恩恵を受けました。また、RBNZ(NZ中銀)が2度の利上げに踏み切ったことで、NZドルは比較的堅調でした。一方で、インフレの高騰を尻目に、大統領の圧力を受けてTCMB(トルコ中銀)は大幅な利下げに踏み切り、トルコリラは対米ドルで年初から50%超下落しました。

主要国はコロナ対策より経済を優先

21年に入っても多くの国が数度の新型コロナ感染の波を迎え、年前半はロックダウン(都市封鎖)や行動制限を強化する動きもありました。しかし、ワクチン接種が広がるにつれて、英国を筆頭に経済活動を優先させて規制を緩和・解除する国が増えました。

米国では1月に誕生した民主党のバイデン政権が、議会の協力を得て大型の財政出動(American Rescue Plan)を実施。一時金の給付や失業保険の上乗せ、州・地方政府支援などが景気回復を後押ししました。バイデン政権はインフラ投資法も成立させ、子育て支援やヘルスケアなどを含む包括的なBBB(ビルドバックベター)法案の成立も目指しました。

オミクロン株は新たなリスク要因?

11月下旬に新たに新型コロナのオミクロン株が確認されました。感染力が強い、ワクチンが効きにくいなどの指摘がある一方で、重症化しにくいともされており、詳細な分析結果が明らかになるまでは各国ともに対応に苦慮するところでしょう。オミクロン株は22年の経済・金融市場動向にも大きな影響を与えるかもしれません。

インフレは「一時的」でなくなった

20年のコロナ・ショックは世界の物価を大きく押し下げました。21年はその反動(いわゆるベース効果)に加えて、半導体不足などのサプライチェーン障害、物流の停滞、労働力不足、さらには原油など原材料価格の高騰が物価を押し上げました。主要中央銀行は当初、「高インフレは一時的」と楽観視していました。足もとでも、インフレはいずれ落ち着くとみているようですが、上述のインフレ要因がなかなか解消されず、企業や家計のインフレ心理が高まりかねないことから、主要中央銀行は対応を迫られつつあります。

米長期金利は急上昇後に揉み合い

20年3月のコロナ・ショック以降、低水準で推移していた米長期金利(10年物国債)は同年末にかけてジリジリと上昇した後、21年に入ると上げ足を速めました。ただ、3月にピークをつけるとその後は低下。高インフレ下で利上げ観測から短期金利(2年物国債利回り)が上昇するなか、長期金利は3月ピークを超えることなく、長短金利差は縮小しました。米長期金利に引っ張られて多くの主要国の長期金利が上昇しました。他方、日銀がゼロ%に誘導すべく無制限で国債購入を行っているため、日本の長期金利は変動が小さく、日米長期金利差は拡大しました。

2021年トラリピReview

【1】2021年の各通貨ペアの動き ―トラリピ向きだったのは「対円」「対円以外」どっち?―

2021年は、前年に引き続き「新型コロナウィルス」ヘの対応が世界的な課題となりました。コロナ禍における景気後退に対応するための強力な金融緩和から、ポストコロナを見据えた金融政策の正常化を模索する各国中央銀行の動向に注目が集まりました。

このような状況で各通貨ペアがどのように動いたのか、概観してみましょう。

マネースクエアで取り扱っている15通貨ペアを「対円通貨ペア」と「対円以外通貨ペア」に分け、2021年1月4日の終値を「100」として指数化しグラフにしました。期間は2021年1月4日~11月19日です。

まずは対円通貨ペアから。

対円通貨ペア騰落表

全体としては、年初から円安方向に動いていました。
変動幅こそ異なるものの似たような推移を見せ、集計最終日の11月19日時点ではいずれも年初比プラスになっています。これを見ると、「円」がほかの通貨に対していかに弱くなっていたかがよく分かります。
その中で唯一異なる動きをしたのは「トルコリラ/円(TRY/JPY)」。中央銀行の独立性に関する問題などをめぐり、過去最安値更新となりました。

次に、対円以外の通貨ペアを見てみましょう。

対円以外通貨ペア騰落表

対円通貨ペアでは±10%の変動に達するものも見られる一方で、対円以外の通貨ペアはおおむね±5%圏内に収まっています。はっきりした方向性、トレンドは出ていなかったということです。

トラリピがレンジに仕掛けるものである以上、方向性が見えにくかった対円以外の通貨ペアの方がトラリピの特性を活かしやすかったのかもしれません。

ちなみに、全通貨ペアの中で最も変動率が小さかった通貨ペアは「豪ドル/NZドル(AUD/NZD)」で、+2.2%~-3.5%でした。

【2】2021年のトラリピ分析 ―オセアニア通貨に熱視線!?の2021年―

(1)トラリピ人気通貨ペア

2021年トラリピ新規注文件数ランキング※2021年1月4日~2021年11月19日の新規注文件数。前年ランキングは2020年1月2日~2020年11月30日の新規注文件数
  通貨ペア   前年ランキング
1位 豪ドル/NZドル - -
2位 カナダドル/円 1位
3位 米ドル/円 2位
4位 NZドル/米ドル 8位
5位 豪ドル/円 3位
6位 ユーロ/円 4位
7位 NZドル/円 6位
8位 豪ドル/米ドル 9位
9位 英ポンド/円 7位
10位 メキシコペソ/円 5位
11位 ユーロ/米ドル 10位
12位 英ポンド/米ドル 11位
13位 トルコリラ/円 12位
14位 南アフリカランド/円 13位

※ユーロ/英ポンドは2021年5月取引開始のためランキングから除外
※豪ドル/NZドルは2020年9月取引開始のため前年ランキングから除外
※注文後取り消されたトラリピも含む

トラリピの新規注文件数が最も多かったのは豪ドル/NZドルでした。ほとんどの通貨ペアは豪ドル/NZドルの出現に押されて前年比でランクダウンしていますが、そんな中でもNZドル/米ドルと豪ドル/米ドルはランクアップしています。

豪ドル/NZドルはさることながら、2021年はオセアニア通貨が脚光を浴びた年だったと言えるのではないでしょうか?

ちなみに、今年5月に取引開始したユーロ/英ポンドはランキングから除外しましたが、もし入れるとすれば、5位の豪ドル/円に次ぐ6位に入っていました。やはりトラリピと相性がよいとされる通貨ペアとして人気があるようです。来年のランキングが楽しみですね。

(2)総推移ランキング

最後に、トラリピが効率よくリピートしたかの目安として、各通貨ペアの総推移(=4時間足の高低差の合計)と「100pipsあたり総推移※」のランキングを見てみましょう。
※100pipsあたり総推移: 100pipsの値幅内でどの程度の総推移があったのかがわかるもの(総推移÷高低差で算出)で、値動きの多さを判断する指標の1つ。

2021年 総推移(合計)ランキング
  通貨ペア 総推移(単位:pips)
1位 英ポンド/円 49,611.8
2位 英ポンド/米ドル 43,171.9
3位 NZドル/円 33,494.4
4位 豪ドル/円 33,273.4
5位 ユーロ/円 32,181.8
6位 NZドル/米ドル 31,451.0
7位 豪ドル/米ドル 31,232.9
8位 カナダドル/円 29,482.2
9位 ユーロ/米ドル 28,063.3
10位 米ドル/円 25,457.7
11位 豪ドル/NZドル 21,281.9
12位 トルコリラ/円 7,707.5
13位 南アフリカランド/円 3,981.2
14位 メキシコペソ/円 1,920.4

※1pips=対円通貨ペアの場合は0.01(円)、対円以外通貨ペアの場合は0.0001(各通貨単位)
※ユーロ/英ポンドは2021年5月取引開始のためランキングから除外

2021年 100pipsあたり総推移ランキング
  通貨ペア 100pipsあたり総推移
1位 英ポンド/米ドル 4,822.1
2位 NZドル/米ドル 4,798.7
3位 豪ドル/円 3,982.9
4位 NZドル/円 3,771.0
5位 ユーロ/円 3,569.4
6位 豪ドル/米ドル 3,469.2
7位 豪ドル/NZドル 3,220.1
8位 メキシコペソ/円 2,959.0
9位 英ポンド/円 2,651.2
10位 南アフリカランド/円 2,626.1
11位 ユーロ/米ドル 2,559.8
12位 カナダドル/円 2,359.1
13位 米ドル/円 2,058.7
14位 トルコリラ/円 1,473.4

※【参考】ユーロ/英ポンドは2021年5月取り扱い開始のためランキングから除外。2021年5月10日~11月19日の総推移は14,005.6pips、100pipsあたり総推移は4,130.2pips


総推移では英ポンド/円と英ポンド/米ドルの2通貨ペアが1位・2位となりました。英ポンドは変動が大きくなりやすいという通説通りです。

一方「100pipsあたり総推移」のランキングを見てみると、総推移では2位だった英ポンド/米ドルが1位、同6位だったNZドル/米ドルが2位にランクイン。1位の英ポンド/米ドル・5位のユーロ/円を除けば、上位7位までは軒並みオセアニア通貨が絡む通貨ペアになっています。

単に値動きの多さだけではなく値動きの「高低差」も考慮した「100pipsあたり総推移」が大きいということは、一定のレンジの中で活発に動いた(=よりトラリピ向きの値動きだった)ということを示しています。このことからも、やはり2021年のトラリピ運用は「オセアニア通貨」がカギを握っていたと言えそうです。

まとめ

● 2021年は「対円以外の通貨ペア」がおおむねトラリピを仕掛けやすい値動きだった
● オセアニア通貨絡みの通貨ペアに注目が集まっていた
● 新興国通貨には引き続き注意が必要

掲載している情報は、2021年1月4日~11月19日までの値動きを元に作成しております。その後の値動きによっては、傾向が変わる可能性がある点にご留意ください。

当社サービスに関しての注意事項

取引開始にあたっては契約締結前書面をよくお読みになり、リスク・取引等の内容をご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願いいたします。

当社の店頭外国為替証拠金取引および取引所株価指数証拠金取引は、元本および収益が保証されているものではありません。また、取引総代金に比較して少額の資金で取引を行うため、取引の対象となる金融商品の価格変動により、多額の利益となることもありますが、お客様が差し入れた証拠金を上回る損失が生じるおそれもあります。また、各金融市場の閉鎖等、不可抗力と認められる事由により店頭外国為替証拠金取引や取引所株価指数証拠金取引が不能となるおそれがあります。

店頭外国為替証拠金取引における取引手数料は無料です。

取引所株価指数証拠金取引における委託手数料は注文が成立した日の取引終了後の値洗い処理終了時に証拠金預託額より、新規および決済取引のそれぞれに徴収いたします。手数料額は、通常1枚あたり片道303円(税込)、NYダウリセット付証拠金取引およびNASDAQ-100リセット付証拠金取引は1枚あたり片道33円(税込)です(ただし、建玉整理における委託手数料は無料です)。

当社が提示するレートには、買値と売値に差(スプレッド)があります。流動性が低くなる場合や、天変地異または戦争等による相場の急激な変動が生じた場合、スプレッドが広がることがあります。

店頭外国為替証拠金取引に必要な証拠金額は、個人のお客様の場合、取引総代金の4%です。法人のお客様の場合、取引総代金に、金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの証拠金率(為替リスク想定比率)を取引の額に乗じて得た額となります。為替リスク想定比率は、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。なお、証拠金率(為替リスク想定比率)は変動いたします。取引所株価指数証拠金取引に必要な証拠金額は、商品ごとに当社が定める1枚あたりの必要証拠金の額に建玉数量を乗じる一律方式により計算されますが、1枚あたりの必要証拠金額は変動いたします。

ライセンサーに関する注意事項の詳細は下記をご参照下さい

https://www.m2j.co.jp/info/disclaimer#anc02

株式会社マネースクエア
金融商品取引業 関東財務局長(金商)第2797号【加入協会】日本証券業協会 一般社団法人 金融先物取引業協会