マーケットの最前線で活躍中のプロが注目する日経225証拠金取引の魅力とは インデックスのパフォーマンスはほとんどのプロを上回る運用を始めるなら、後発の金融商品で、合理的に。現役ファンドマネージャー 西山 孝四郎

株式運用の種類

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株式投資といえば、一般的には自分が気に入った銘柄(個別株)を売買するというイメージであろう。しかしながら、売買する個別株を選定するのはかなり難しい作業なのである。仕手株情報とか証券会社から情報を仕入れるとか、或いは自分がよく知っている会社の株式とか色々な方法があると思われるが、情報の面に関しては他人よりも早く有利な情報を入手することは実際には難しい。

そこで、個別株投資においても現実的にはテクニカル・アプローチを取る投資家が多い。すなわち、自分が得意とするテクニカル手法で複数の銘柄をフォローし続けて、その中からテクニカル分析(チャート分析など)で特定の個別株にシグナルが出れば、それを売買するといった方法である。

一方、ファンダメンタルズ・アプローチでは、会社四季報などを使って投資する銘柄を選定するといったやり方がある。例えば、四季報に掲載された業績予想が事前の予想を上回る銘柄などを見つけ出して投資する、といった方法だ。

しかしながら、テクニカル・アプローチもファンダメンタルズ・アプローチも、時間に余裕のある人でないと難しいし、かなりの経験や試行錯誤が必要となる。

では、株式投資を行うに当たって、一般的にどんな投資のやり方があるのか、まずは株式運用の種類について見ておこう。

①アクティブ運用

「インデックス(日経平均やTOPIXなど)のパフォーマンス(利回り)を上回ろう」とする運用で、投信や年金など、大きなファンドの運用でよく採用される(割安株投信とか成長株投信といったもの)。とはいえ実際には、ファンドの半分以上でインデックスに連動するポートフォリオを組み、残りの部分でインデックスを上回るためのポートフォリオを作るのが一般的。個別銘柄の選定や売買頻度が高いことなどから、コストが高い

②パッシブ運用

インデックス通りのパフォーマンスでよいとする運用。インデックス投信やETF、株式先物の買い持ちなど。一旦インデックスに連動するようポートフォリオを組めば、後は若干の入れ替えがある程度なのでコストは安い

③ディーリング的運用

いわゆるデイトレーダーと呼ばれる人たちのスタイル。具体的には株式の先物取引や、個別株では材料株などを短期間に売買して収益を上げようとするハイリスク・ハイリターン運用。テクニカル・アプローチが主流になるが、自分の投資スタイル(使用するテクニカル指標など)を確立することが必要。また、ストップロスの設定も重要になる。

④自分でポートフォリオを組む運用

高配当利回り銘柄とか純資産倍率1倍以下の銘柄、或いはPER10倍以下の銘柄、といった自分独自の基準でポートフォリオを組む運用。組入れや入れ替えの基準が重要で、また十分なリスク分散を行うには(多数の銘柄を手広く買うなど)比較的大きな資金が必要になる。

⑤ファンドに投資する運用

いわゆる他人任せ。資金が少額だとかノウハウがないなどの理由で、自分でポートフォリオを作るのが難しいために既存のファンド(投資信託など)に出資する形の運用。大手の運用会社でもノウハウや調査能力がないためにファンド・オブ・ファンズのような形で販売用のファンドを作っている。過去のパフォーマンスや運用者の評判などから投資するファンドを選ぶケースが多いが、これらは将来を保証するものでは決してないので、どうやってファンドを選ぶのか、その選定基準が最も重要となる。

プロでもインデックスには及ばない?もう、株式運用の答えは出ている。

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さて前述した株式運用の種類だが、筆者の独断と偏見では、もう、株式運用の答えは出ているのである。
チャールズ・エリスの『敗者のゲーム』やバートン・マルキールの『ウォール街のランダムウォーク』が指摘しているように、アクティブ運用の投信やファンドの4分の3はインデックス運用(つまりパッシブ運用)に負けているのである。
これは日本だけのことではなく世界的な傾向で、時期によって多少の上下はあっても平均するとそうなる。

2014年の全ヘッジファンドの平均リターンは3.78%に過ぎない。ゼロ金利の環境を考えると、3.78%でも立派だが、高い運用報酬を取っていることを考えると割が合わない。2015年も米国株のアクティブ運用ファンドは、S&P500のパフォーマンスを大きく下回っている。

相場でギャンブルのような臨場感やスリルを味わいたいというのでなく、長期にわたって事業として収益をあげたいのであれば、運用コストが安い株価指数先物および株価指数証拠金取引を行うのが有利となる。現物投資であれば株式インデックス連動型のETFを買うべきだろう。

ファンドが株を運用する場合、大きくはアクティブ運用とパッシブ運用に区別される。くり返しになるが、アクティブ運用とは、定められた株価指数(SP500やTOPIXなどのいわゆるインデックス)のベンチマーク(投資パフォーマンス)を上回る運用成績を目指す運用だ。一方、パッシブ運用とは定められた株価指数のベンチマークから乖離することがないように運用する手法である。

アクティブ運用は、個別銘柄の投資判断を運用者が判断するが、パッシブ運用は運用者が銘柄を決めるのではなく、株価指数に沿うような銘柄を組み入れて運用を行う。早い話が、パッシブ運用を行うには、株価指数を買えばよい

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苦労して企業評価という個別銘柄の分析を行ってアクティブ運用を行っても、アクティブ運用がパッシブ運用に勝つ確率は4分の1である。「プロもインデックス(のパフォーマンス)には勝てない」とよく言われるように、4分の3の運用者はパッシブ運用に勝てないのである。

その結果、個人投資家が一発勝負で将来性のある個別株を買うのはともかく、ファンドや年金などの長期の株式運用では、アクティブ運用はいらないという話になる。

まったく夢もロマンもない無味乾燥の世界だが、筆者はある株式ファンドの幹部に「夢やロマンで運用していては、カネがいくらあっても足りないよ!」と、戒められたことがある。これがファンドの株式運用の実態である。

運用コストを考えよう「インデックス投信 > ETF > 株価指数証拠金取引」

投資家はインデックス投信よりも上場投資信託(ETF)に投資した方が有利である。ETFも投信の一種だが、取引所に上場されており、株式と同じようにリアルタイムで売買できるし、信託報酬がインデックス投信の3分の1から10分の1と安い。

ETFよりさらにコストが安いのは、株価指数証拠金取引である。これを使えばETFより更に有利にインデックスどおりの株式運用が行える。何よりも株価指数証拠金取引でインデックス運用を行うことのメリットは、運用資金の3%から10%程度の証拠金(株式市場のボラティリティによって変わります)を差し入れるだけで取引を行えることで、残りの9割近い資金を金利での運用などに別途利用できることであろう。

日経225証拠金取引の特徴

・取引期限のない取引
保有する建玉を決済しない限り、自動的に翌取引日にロールオーバーされるため、取引期限を気にせず取引ができる。

・日経225の取引がほぼ24時間可能
現物の株式市場とは異なり、日本の祝日も取引ができ、またほぼ24時間の取引が可能。

・「買い」からも「売り」からも取引が可能
「買い」だけでなく、「売り」から取引することもできるため、株価指数の上昇局面でも下降局面でも取引機会をねらうことが可能。

・配当を受け取ることができる
現物株と同じように、権利確定日に買建玉を保有していれば、株価指数を基にした配当相当額を受け取ることが期待できる。

・親しみやすい日経平均が対象
ニュースでも報道される日経平均が対象なので、初心者の型でも銘柄選択に迷うことなく取引に参加することができる。

結論としては、株式で資産の運用を行う場合、アクティブ投信やETFよりも株価指数証拠金取引を使ったインデックス運用の方が合理的なのである。

長期の株式投資はプラスサムのゲーム

プラスサムゲーム(Plus Sum Game)とは、ゲームに参加しているプレイヤーの利得の合計がプラスになること。なお、プラマイゼロのゲームを「ゼロサムゲーム」。マイナスになるゲームを「マイナスサムゲーム」という。

プラスサムゲームとは長期の株式投資を考えるとわかりやすい。FX市場などは、一方が勝つ=誰かが負けるというゲームであり両者の損と利益の合計がゼロになる。株式市場の場合には、株価が上昇すればその分の価値が創造されることになり、プラスサムゲームとなる。一方で、株価が下がり続ける場合はマイナスサムゲームとなる。

たとえば、30年前にポンド/ドルを買うのとNYダウを買った場合、ポンド/ドルは1.0000〜2.0000の間の往来相場だが、NYダウは基本的に右肩上がりの相場になっている。企業業績が上がらなくても、株式市場はインフレ分だけ上がっていく構造を持っている。失われた20年と言われた日本の株式市場も3 年前に比べれば大幅に上昇している。

筆者は資産運用において、株式での運用は欠かせないものだと考えている。FX取引だけを行っている投資家は、株式投資も検討していただきたい。投資する国にもよるが、株の長期投資は基本的にプラスサムのゲームであると筆者は考えている。

(西山 孝四郎)

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【筆者プロフィール】

86年証券会社に入社、長い金融生活のスタートを切る。
その後、通貨先物、債券、株式、商品市場とあらゆる金融商品の取引に従事、 生き馬の目を抜く世界と言われる金融市場で、四半世紀にわたり活躍。 現在も"現役"で根っからのディールホリック。
実際の取引手法を惜しみなく公開する懐の深さは誰にも真似できません。
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