「大予想」2019年の為替相場&予想に基づくトラリピの仕掛け方

2019年の大予想

2019年に関して、以下の3つのシナリオを想定しています。

メインシナリオ:
米ドルのピークアウト(年間想定レンジは105-115円)

18年春から続いてきた米ドル高の基調が転換します。2015年12月以降の断続的な利上げにより、政策金利は「中立金利※」に接近しています。そのため、FRBは追加利上げにますます慎重になり、利上げペースは遅くなるでしょう。そして、恐らく年央までに景気の減速感が強まって、利上げ打ち止めの観測が支配的になりそうです。経済情勢によっては「次の一手は利下げ」との見方が浮上するかもしれません。
※景気を刺激もせず、抑制もしない政策金利の水準

長期金利は3%割れの水準が定着し、株価は調整局面が続きそうです。トランプ大統領が2020年の大統領選挙をにらんで貿易相手国への圧力を一段と強めれば、リスクオフによって円高が進行する可能性もあります。英ポンドやユーロはそれぞれに政治不安を抱えていますが、米ドル安の裏返しで比較的堅調に推移しそうです。

イールドカーブ(利回り曲線)の逆転が顕著になるなどして米国での利下げ観測が強まれば、資源新興国通貨にとってプラスになるでしょうが、それまでには時間がかかるかもしれません。

サブシナリオ:
バンピーながらも緩やかな米ドル高(同110-120円)

米景気は底堅さを維持し、インフレ圧力が高まるなかでFRBは利上げを継続するでしょう。政策金利が「中立金利」に接近するため、2018年のような3カ月ごとの利上げといったパターンは崩れる可能性があるものの、利上げ観測は根強く残ります。そのため、長期金利は強含みで推移します。企業業績への期待がある一方で、株価は高金利環境の下で頭の重い展開が想定されます。

時折、株価が調整したり、通商摩擦が激化したりすることで、リスクオフが強まって、2018年のように米ドルが対円で軟化する局面はありそうです。

米ドル堅調の裏返しで、その他の通貨は円以上の軟調が想定されます。欧州通貨は、EU内の足並みの乱れやブレグジットの不透明感が重石になりそうです。とりわけ、「合意なき離脱」が現実となれば、英経済への悪影響は大きく、英ポンドに大きな下落圧力が加わりそうです。

FRBを筆頭に、日銀以外の主要中銀が金融政策の正常化を進めるため、資源新興国通貨への資金の流れは一段と細る可能性があります。また、米中貿易摩擦が一段と激化すれば、豪ドルやNZドルに悪影響が出そうです。

リスクシナリオ:
米ドルのクラッシュ(95-115円)

「適温相場」で高水準を維持してきた株価が大幅に下落するリスクがあります。インフレ加速で長期金利が急騰するケース、あるいは逆に景況悪化から企業の業績期待が一気にしぼむケースなどが考えられます。株価が大幅に下落すれば、景気にも一段のブレーキがかかるでしょう。
米国は緊急利下げに踏み切り、英国やカナダなども追随するかもしれません。強いリスクオフのなか、日本の金融緩和余地が乏しいこともあって、米ドルは対円でクラッシュ。米ドルが円以外の通貨に対して上昇すれば、クロス円は大幅に下落するでしょう。
このシナリオが実現すれば、米ドル円やクロス円の買場が比較的早くにやってくるということかもしれません。

※予想につきましては、各アナリストの分析であり、内容が異なる場合があります。

執筆者プロフィール

西田 明弘(にしだ あきひろ)
市場調査部 チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。 米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
【執筆レポート】
「スポットコメント」、「ウィークリー・アウトルック」など
【出演動画】
 M2TV マーケットViewチャンネル「グローバルView」(毎週金曜日担当)

各通貨の注目ポイントは、以下の通りです。

<豪ドル>

・米中貿易摩擦、中国経済の行方。中国は豪州最大の輸出先
・資源(主に鉄鉱石)の価格動向
・RBA(豪中銀)の金融政策。市場で利上げ観測が浮上するか
・豪総選挙(5月までに実施)

<NZドル>

・米中貿易摩擦、中国経済の行方。中国はNZの主要輸出先
・乳製品(NZ最大の輸出品)の価格動向
・RBNZ(NZ中銀)の金融政策。市場で利上げ(利下げ)観測が浮上するか

<カナダドル>

・BOC(カナダ中銀)の金融政策。次回利上げのタイミング&利上げの着地点は!?
・資源(特に原油)価格の動向
・カナダ総選挙(10月の予定)

<トルコリラ>

・CPI(消費者物価指数)上昇率の動向
・TCMB(トルコ中銀)の金融政策。TCMBは政策運営で難しい舵取りを迫られそう
・3月にトルコ地方選

<南アフリカランド>

・南アフリカ経済の動向。低迷が続くのか、それとも改善するか
・南アフリカの政局。5月に総選挙実施予定
・SARB(南アフリカ中銀)の金融政策。市場は、政策金利の変更なしと予想
・商品(金やプラチナなど)価格の動向

トルコリラの2019年の展望

ポイント

  • 2019年のトルコリラの鍵を握るのは、CPI上昇率や中銀の金融政策!?
  • CPI上昇率の動向次第では、TCMB(トルコ中銀)は難しい政策対応を迫られそう
  • トルコリラにとって好ましい状況は、CPI上昇率の鈍化、TCMBのインフレ抑制の姿勢堅持とみられる

トルコが抱える課題のひとつに、高インフレがあります。インフレ率(CPI上昇率)の動向はトルコリラを展望するうえで重要な要素とみられ、少なくともそれが改善しなければ、トルコリラには下落リスクが残るとみられます。

トルコの2018年11月のCPI(消費者物価指数)は前年比+21.62%と、約15年ぶりの強い伸びを記録した10月の同+25.24%から大幅に鈍化しました。

ただ、2018年11月のCPI上昇率の鈍化は、トルコ政府による措置が寄与した面が大きいとみられます。トルコ政府は2018年10月、インフレ対策として、企業に対して最低10%の値下げを実施させるなどの措置を開始しました。値下げは2018年末までとされているため、2019年に入ると、インフレ圧力が一気に強まる可能性があります。
CPI上昇率の動向次第では、TCMBは難しい政策対応を迫られそうです。

CPI上昇率が加速した場合、TCMBに対して市場からの利上げ圧力が強まるとともに、TCMBの独立性をめぐる懸念が再燃する可能性があります。エルドアン大統領は低金利を志向し、TCMBに利下げ圧力を加えてきたことは周知の事実だからです。市場では、“エルドアン大統領の圧力によってTCMBはインフレ抑制に十分な利上げができない”との見方が広がる可能性があり、その場合、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があります。

CPI上昇率の鈍化が続けば、TCMBは利下げを行うとみられます。その場合、タイミングが難しいかもしれません。エルドアン大統領の圧力に負けて利下げしたとの印象を市場に与えれば、トルコリラ売りが加速する可能性もあります。

トルコリラにとって好ましい状況は、CPI上昇率が鈍化し続け(トルコの課題のひとつが解消に向かう)、かつTCMBがインフレの抑制を重視する姿勢を見せ続けること、と考えられます。

2019年のトルコリラ/円15-30円のレンジを想定しています。15円は2018年8月安値(15.40円)水準、30円は同1月高値(30.24円)水準です。

※予想につきましては、各アナリストの分析であり、内容が異なる場合があります。

執筆者プロフィール

八代 和也(やしろ かずや)
市場調査部 シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。
豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランドを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【執筆レポート】
「Today's Flash!」、「オセアニア・レポート」、「ウィークリー・アウトルック」など
【出演動画】
 M2TV マーケットViewチャンネル「資源・新興国マーケットView」(毎週水曜日担当)

2019年の米ドル/円相場展望(テクニカル分析)

2019年の米ドル/円は?

  • 20ヵ月BB(ボリンジャーバンド)ではナローな範囲内でのレンジ相場を想定
  • 2019年の米ドル/円は、上値が重く、下値しっかりの相場展開となりそう
  • ただし、BB・±2σラインブレークなら、上下モメンタムが強まる可能性も

<メインシナリオ> 年間想定コアレンジ「106.80~115.20円」
<戦略アイデア> 売り・トラリピ

2018年11月時点の主要メルクマールで判断する米ドル/円の主体的なトレンド観測をすると、1) 20ヵ月MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態であること、3) ローソク足の上方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして、4) 各BB(ボリンジャーバンド)が20ヵ月MAに対してパラレルに推移していることから、当面の米ドル/円は、BB・±2σラインをベースとするレンジ相場が継続しそうです。

以上を概括すると、月足チャートレベルでは、米ドル/円はレンジ相場を指向し、そのコアレンジはBB・±2σライン(≒「106.80~115.20円」、上図黄色四角枠)と想定します。よって、当該レンジをベースとする「売り・トラリピ」を設定するのも一案でしょう。

<サブシナリオ> 年間想定コアレンジ「111.00~120.00円」
<戦略アイデア> 買い・トラリピ

上図チャートの主体的なトレンド観測は、前述通り「レンジ相場」であるものの、これからの時間において、ローソク足がBB・+2σライン(≒115.30円)を上抜けブレークした場合は、上昇モメンタムが強まる可能性も視野に入れるべきでしょう。

その場合は、パラボリック・SARが「買いサイン」となることも合わせ、「レンジブレーク」→「上昇トレンド発生」フローを想定し、上値追いの相場展開となりそうです。

以上を概括すると、米ドル/円の上値メドは2016年トランプラリー時に付けたレートをややオーバーシュートする水準である「120.00円」、下値メドは20ヵ月MAを基準とする「111.00円」と想定します。

よって、当該レンジ(=111.00~120.00円、上図黄色四角枠)をベースとする「買い・トラリピ」を設定するのも一案でしょう。

<リスクシナリオ> 年間想定コアレンジ「100.00~106.00円」
<戦略アイデア> 売り・逆指値・トラップ

これからの時間において、仮に、ローソク足がBB・-2σライン(≒106.80円)を終値ベースで下抜けブレークした場合は、下降モメンタムが強まりそうです。

その場合は、遅行スパンの対ローソク足下抜けブレーク(=逆転)も合わせて、「レンジブレーク」→「下降トレンド発生」フローを想定し、下値追いの相場展開となりそうです。

以上を概括すると、米ドル/円の上値メドBB・-2σライン下方を基準とする「106.00円」、下値メドは2016年トランプラリー発生前の水準を基準とする「100.00円」と想定します。

よって、当該レンジ(=100.00~106.00円、上図黄色四角枠)をベースとする「売り・逆指値・トラップトレード」を設定するのも一案でしょう。

※予想につきましては、各アナリストの分析であり、内容が異なる場合があります。

執筆者プロフィール

津田 隆光(つだ たかみつ)
市場調査部 チーフアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA)。主にコモディティ分野のマーケットに従事し、2008年1月マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。シニアテクニカルアナリストとして、各種テクニカル分析レポートを執筆する傍ら、セミナー講師やラジオ番組コメンテーターなどを務める。2016年4月市場調査部チーフアナリストに就任。
【執筆レポート】
「注目のチャート」、「ウィークリー・アウトルック」など
【出演動画】
 M2TV マーケットViewチャンネル「マーケットView虎視眈眈」(毎週木曜日担当)

2019年トラリピ設定提案 
メインシナリオ

メインシナリオ トラリピ設定

※ストップロスの設定値提案はございませんが、リスク管理につきましては、お客様ご自身で適宜ご判断ください。

メインシナリオ チャート

2019年トラリピ設定提案 
サブシナリオ

サブシナリオ トラリピ設定

※ストップロスの設定値提案はございませんが、リスク管理につきましては、お客様ご自身で適宜ご判断ください。

サブシナリオ チャート

※上記「メインシナリオ」と「サブシナリオ」におけるトラリピ設定は、当ページ内「2019年の米ドル/円相場展望(テクニカル分析)」におけるレンジに準拠しています。

当トラリピ設定に関する注意事項

上記の設定はあくまでお取引の一例であり、当該取引を推奨するものではなく、また、収益を保証するものでもありません。実際のお取引に際してはご自身の判断にてお願いいたします。