「大予想」2019年の為替相場&予想に基づくトラリピの仕掛け方

2018年の回顧

2018年の為替相場総括

2018年は、米ドルと円が2強通貨となり、米ドル円は比較的狭いレンジで推移しました。米景気の堅調やFRBの利上げ継続が米ドルの支援材料となった一方で、トランプ大統領が仕掛けた貿易摩擦や株安がリスクオフを誘発して円が買われる局面がありました。欧州通貨は独自の政治要因に足を引っ張られました。米国をはじめ主要中銀が金融緩和を後退させたことで、資源・新興国通貨は総じて軟調な展開となりました。

米ドル:緩やかな利上げが継続

2017年1月のトランプ大統領就任前後から下落基調が続いていた米ドルは、18年春に底打ちし、その後は上昇基調となりました。17年末に成立したトランプ減税の効果もあって、米景気は堅調を持続、FRBは緩やかな利上げを継続しました。米国の政策金利は年央にNZを上回り、主要国中で最高となりました。

米ドル:長期金利は7年ぶり高値

もっとも、利上げの継続に加えて、財政赤字が拡大したことで、米長期金利(10年物国債利回り)は上昇、10月に約7年ぶりの高値をつけました。年末にかけては利上げ観測の後退により低下基調。「悪い金利上昇」を嫌気して年初や年終盤には株価が下落、リスクオフによって米ドルが対円で下落する局面がみられました。

米ドル:「アメリカ第一」主義

鉄鋼・アルミ関税や対中国関税を課し、NAFTAを再交渉するなど、トランプ大統領の「アメリカ第一」の言動は相変わらずでしたが、これに慣れて市場の反応は徐々に小さくなりました。6月に米朝首脳会談が実現し、朝鮮半島の非核化への動きが出たことは、トランプ外交の成功と言えるかもしれません。

欧州通貨:イタリア予算案とブレグジット交渉

欧州通貨は政治に足を引っ張られました。ブレグジット(英国のEU離脱)の条件交渉が暗礁に乗り上げ、「合意なき離脱」が意識されるなかで英ポンドは下落しました。一方、ユーロは、3月の総選挙を経て誕生したイタリアの連立政権が難民問題や予算案に関してEUと対立する動きをみせたことが不安材料となりました。

資源新興国通貨:細ったグローバルな資金フロー

グローバルな資金の流れが細るとの警戒感から資源・新興国通貨は軟調に推移しました。豪ドルやNZドルは、米中貿易摩擦が激化したことや自国の利上げ観測が後退したことも通貨安要因となりました。カナダドルは、10月以降に原油価格が急落すると一段の下落圧力が加わりました。南アフリカランドは、2月にズマ大統領からラマポーザ大統領に交代したことがプラス材料になりましたが、その後は他の新興国通貨と同様の動きでした。

トルコリラは、インフレ高進や、経常赤字、中央銀行の独立性に関する疑念などの自国の材料に加えて、米国との関係が悪化したことから8月に急落しました。その後、中央銀行が大幅な利上げを実施したことや、米国との関係改善の兆候などから反発に転じました。

(チーフエコノミスト 西田明弘)

2018年はトラリピにとってどんな年だった??

【1】2018年の各通貨ペアの動き

2018年は対円通貨ペア、ストレート通貨ペアいずれにとっても「売り有利」な年でした。
下記グラフは、2018年1月3日の終値を100(赤線)とした場合の、各通貨の騰落推移となります。11月14日時点で、100以上となっているのは、米ドル/円のみで、それ以外はドルストレート通貨含めて、すべて100以下となっています。
つまり、2018年年初付近のタイミングでトラリピを「買い」で設定した場合、仕掛けたレンジを下抜けてしまったり、算出時点(11/14)の価格が仕掛けレンジの下限付近にあり、評価損が膨らんだ状態にある通貨ペアが多かったりした、ということがいえます。

超短期取引であるデイトレードなどを除くと、トラリピに限らずFX取引は「新規買い」でスタートする投資家が多い傾向にあります。特に、複数通貨ペアを取引する場合は、「買い」一辺倒ではなく、「売り」で仕掛けるトラリピも混ぜておくことで、リスク軽減ができることを覚えておきましょう。
※スワップは考慮していません。

また、複数通貨ペアに分散しての取引を考える場合、例えば新興国通貨を一つ選択したのであれば、他は主要通貨を選ぶ、また、欧州通貨を一つ選択したのであれば、マーケットテーマが共通で似たような動きになりにくそうな他の地域の通貨ペアを組み合わせるなどを検討するとよいかもしれません。

注目ポイント 
「売り」も選択肢に!

・ドル建ても含めた通貨ペアの分散も大切、その場合さらに「売り」と「買い」の分散も!

【2】2018年のトラリピ分析

(1)トラリピ人気通貨ペア 発注件数第1位は、米ドル/円

2018年トラリピ新規発注件数ランキング
  通貨ペア   前年ランキング
1位 米ドル/円 - 1位
2位 豪ドル/円 - 2位
3位 カナダドル/円 10位
4位 トルコリラ/円 3位
5位 ユーロ/円 7位
6位 NZドル/円 4位
7位 英ポンド/円 5位
8位 ユーロ/米ドル - 8位
9位 NZドル/米ドル - 9位
10位 豪ドル/米ドル 6位
11位 南アランド/円 - 11位

※2018年最多トラリピ発注通貨ペアランキング(2018/1/3~11/16の新規発注件数)
※発注後取消しした注文も含みます。

2018年新規に発注されたトラリピ件数のランキング第1位は米ドル/円でした。
トラリピに限らず、FX取引全般においても人気通貨であることもありますが、特に2018年は米国に関連する政治・経済の話題が多く、マーケットテーマとして取引参加者の注目を集めたことも背景にあるかもしれません。
米ドル/円はメジャー通貨であり、マーケット情報も豊富、そして流動性も高く、はじめてトラリピを仕掛ける際、通貨ペアの選択に迷った場合は、まずは米ドル/円を検討してみるとよいかもしれません。

他には、カナダドル/円の発注件数が前年比で大きく順位を上げました。当社でキャンペーンを実施したこともその背景の一つかもしれませんが、中銀による利上げ、NAFTA(北米自由貿易協定)関連ニュース、原油価格の高騰など、旬のマーケットテーマとして取引参加者の注目を集めたことも大きな理由の一つといえるでしょう。
また、リスク軽減のために複数通貨ペアでの取引を想定する場合は、同じ材料で動きにくいと思われる組み合わせを検討するとよいかもしれません。

注目ポイント

・はじめてトラリピを仕掛ける場合など、通貨ペア選択に迷ったら米ドル/円を検討してみる
・一方向ではなく、上下に動きやすいマーケット材料が背景にあるかの確認が大切
・複数通貨ペアを検討する際は、高金利×主要通貨など組み合わせに配慮しましょう

(2)各通貨ペア総推移ランキング

総推移ランキング1位は英ポンド/円、しかしアノ通貨ペアが意外にも効率的だった!?

2018年 総推移(合計)ランキング
  通貨ペア 総推移(円)
1位 英ポンド/円 650.67
2位 ユーロ/円 497.99
3位 豪ドル/円 358.10
4位 カナダドル/円 353.98
5位 米ドル/円 343.64
6位 NZドル/円 334.01
7位 トルコリラ/円 235.13
8位 南アランド/円 54.42
2018年 1円あたり総推移ランキング
  通貨ペア 1円あたり総推移 年間高低差
1位 英ポンド/円 39.03 16.67
2位 ユーロ/円 38.75 12.85
3位 NZドル/円 36.15 9.24
4位 カナダドル/円 34.61 9.23
5位 豪ドル/円 34.20 10.47
6位 カナダドル/円 32.21 10.99
7位 南アランド/円 25.08 2.17
8位 トルコリラ/円 15.84 14.84

留意事項:対円通貨ペアのみの比較となります。

ここでは、トラリピが効率よくリピートしたかの目安として、各通貨ペアの総推移(=4時間足の高低差の合計)のランキングをみてみましょう。
まず、左表は総推移の合計(単位:円)のランキングです。一般的にも値動きが大きいといわれる英ポンド/円が1位となりました。2位にはユーロ/円がランクインしましたが、2018年は英国のブレグジット交渉問題、イタリア財政問題など、マーケット的に上下にぶれやすい材料が背景にありました。
2019年前半は、同様のマーケットテーマが話題になりそうなので、欧州通貨は引き続き注目かもしれません。

続いて、右表は、左表の総推移を、その通貨ペアの年間高低差で除すことで算出する、1円あたり総推移がどれくらいあったかを示すランキングです(単位:円)。動きのあった欧州通貨は順当に1、2位となりましたが、ここで注目したいのはNZドル/円です。総推移全体合計では6位(334.01円)でしたが、1円あたりに換算すると、欧州通貨に続いて3位(36.15円)となりました。1位英ポンド/円の高低差の半分強(約55%)のレンジで、上位に匹敵する1円あたりの総推移があったことになります。
つまり、高低差(=レンジ)は他よりも狭いが、そのレンジの中で上下の動きがより多く発生し、トラリピを仕掛ける際の資金効率がよかったということがいえます。
2019年も同様の結果となるかは値動き次第ですが、2018年は資金効率のよかった通貨ペアとして、NZドル/円を今後取引する際の選択肢として入れておいてもよいでしょう。

注目ポイント

・人気通貨ペアが、トラリピに効果的だったかは必ずしもイコールではない
・NZドル/円は、効率よくリピートしてくれる通貨ペアとしてインプット!

まとめ

(1)「売り」も選択肢に入れる
(2)FX取引の経験が浅い場合、通貨ペア選択に迷ったら米ドル/円を検討してみる
(3)組み合わせに注意して複数通貨ペアでリスク軽減も視野に
(4)マーケット材料が揃った、カナダドル/円の発注件数が大躍進
(5)上下にブレやすく、注目されるマーケット材料が背景にあるとリピート効率が高くなりやすい
(6)1円あたりの総推移からは、NZドル/円が健闘した