リラ下落基調、中銀・与党への不信感

2022/05/23 07:29

松島新の週刊2分でわかるトルコ

トルコリラは下落基調。トルコリラは先週、対米ドルで一時1ドル=15.98リラへと下落しました。外国為替市場全体の米ドル安地合いを受け週後半に一時戻したものの、20日に再び軟化しました。クロス取引のトルコリラ/円も下落基調。トルコリラは1リラ=8円ちょうど近辺まで売られました。

決め手となる材料はありませんでした。トルコ統計庁が17日発表した農業部門の生産者物価指数は前年同月比118.53%。先に発表されたトルコの4月の消費者信頼感指数(CPI)は前年比69.97%上昇。トルコ中央銀行の予想を上回るペースでインフレが高進しているにもかかわらず、エルドアン大統領の政治圧力で効果が期待できる対応に動かないことへの不信感が高まりました。通貨安も寄与して生活に欠かせない食料品と燃料の価格は高騰、統計以上に物価は上昇していると指摘されています。独立系の調査会社ENAグループのまとめでは4月のCPIは前年比157%上昇しました。

ブルームバーグによりますと、トルコ統計庁の物価統計の責任者が健康上の理由で辞任しました。先に統計庁トップは就任後1年足らずで解任されています。CPIは実体より低く操作されている恐れがあるとの懸念を呼びました。

トルコ中央銀行が20日発表した13日時点の外貨準備は115億3000万ドルでした。前週比で約350億ドル減少。ほぼ横ばいが続いていましたが、急減しました。外貨準備の減少は中銀の為替介入の余力が低下したことを示しています。

「中銀会合」

トルコリラは金融市場の心理、原油と天然ガス相場、米国債利回りと米ドル地合いの影響を引き続き受けるとみられます。今週の国内注目材料はトルコ中銀の会合。トルコ中銀は観光業が活発化する5月の会合で政策を見直すと表明しており、判断が注目を集めています。

ロイターのエコノミスト15人を対象にした調査で全員が政策金利を14%で据え置かれると予想しました。過半数は年末まで現行の金利が維持されると予想。高インフレと通貨安を背景に2人は年後半の利上げを予想しました。

アメリカのシンクタンク、ストラトフォーは「インフレがトルコ与党の脅威になっている」とのレポートを発表しました。与党の公正発展党(AKP)支持者の半数は景気低迷の原因は外部要因と答えた調査がありますが、市民の約8割は景気は悪いと考えているとの調査結果もあります。大統領選と議会選挙を来年に控えるエルドアン大統領とAKPへの不信感が高まっています。

エコノミストの予想通り中銀が金利を据え置けば、市場はあらためて大幅なマイナスの実質金利を意識する可能性があります。政策金利からインフレ率を引いた単純計算の実質金利はマイナス50%超えと異例の水準。外国人投資家がトルコへの投資を躊躇する要因になっています。トルコ中銀もしくはエルアン大統領が方針を転換しない限り、トルコリラの売り圧力は続くとの見方が優勢です。米ドル地合いと米ドル/円相場がトルコリラに影響する可能性があります。

[May 22 2022 T387]

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