対ドル最安値に接近、売り圧力強い

2022/05/16 07:26

松島新の週刊2分でわかるトルコ

「7日続落」

トルコリラの対米ドル相場は7日続落しました。7日間の下落率は約5%。昨年12月につけた最安値に接近しました。クロス取引のトルコリラ/円も下落基調。13日の取引で小幅反発したものの、米ドル高・円安に振れた影響を受けたもので、トルコリラ売り圧力は根強くあります。

70%近い高インフレとトルコ中央銀行の金融政策が背景。ブルームバーグによりますと、トルコのネバティ財務相は12日、イスタンブールの製造業や小売店と非公開の会合を開き、幅広い品目の価格凍結を要請しました。エルドアン大統領の意向を反映し金利を引き上げずインフレを抑制する計画の一環だとブルームバーグは伝えました。

トルコ中央銀行は昨年9月以降に政策金利を19%から14%に引き下げました。カブジュオール総裁は、アメリカの連邦準備理事会(FRB)をはじめ世界の中銀の利上げに連動する必要はない主張しています。トルコ政府は中銀の低金利政策が経済を刺激するため、インフレ抑制を目的にした利上げは不要と考えています。政策金利からインフレ率を引いた単純計算の実質金利はマイナス50%を超え、投資家はトルコへの投資を躊躇しています。

「北欧2国NATO加盟に異議」

トルコのエルドアン大統領は15日までに、北欧のフィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟申請に関し、反対する意向を示しました。トルコ政府が敵視する少数民族クルド系武装組織の退避を北欧が認めているため、「テロ組織のゲストハウスのようになっている」と批判しました。NATO加盟国であるトルコはウクライナを支持、同時にロシアとの仲介役に乗り出しています。

欧米の経済制裁を受けトルコに移動するロシア人が増えました。トルコは経済制裁に参加せず、ロシア人の入国条件は緩い。ロシア版グーグルと呼ばれるヤンデックスの従業員は、トルコ、アルメニア、タイに移動しリモートで業務を継続。オリガルヒ(新興財閥)の幹部や元政府高官の多くはロシアを出国、トルコに滞在しているとされています。

「外貨買い制限」

ロイターは、トルコリラの下落が続く中、トルコ当局はトルコリラの対米ドル相場目標レンジを1ドル=15.0~15.5リラに設定するとトレーダーが予想していると報じました。トルコリラ一段安方向の15.5~16.0リラを目標レンジにすると予想するトレーダーもいるとしています。トルコ当局は、法人の外貨取引時間を午前10時から午後4時に限定、外貨買いの制限を要請したとも伝えられました。

通貨防衛に動いたものの、トルコリラ売り圧力は根強くあります。外国中銀との外貨スワップ分を除くと外貨準備は実質マイナス。介入による防衛は限界に来ています。エネルギーや小麦などの価格は高止まり、通貨安で輸入品価格は高騰。インフレ高進が続くと幅広くみられています。

トルコリラは引き続き金融市場の心理、原油相場、米国債利回りと米ドル地合いの影響を受けるとみられます。トルコ経済のファンダメンタルズは脆弱。トルコ中銀が利上げに動かない限り、トルコリラ売り圧力は続くとの見方が優勢です。クロス取引のトルコリラ/円は、米ドル/円の振れが大きくなっているため、対米ドル相場と異なる方向に動く可能性があります。

[May 15 2022 T386]

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