トルコリラ/円は円次第、相場崩れるとの見方も

2022/05/02 07:30

松島新の週刊2分でわかるトルコ

「インフレ予想」

トルコリラ相場は対米ドルと対円で方向が違いました。トルコリラの対米ドル相場は緩やかな下落基調。先週は1ドル=14.77~14.85リラの狭いレンジで推移しました。クロス取引のトルコリラ/円相場は上下に振れました。トルコの裁判所が反政府デモを支援し国家転覆を企てたとしてトルコ人実業家に終身刑を言い渡したことを材料に25日はトルコリラが売られました。それを除くと米ドル/円に連動した動きでした。29日の取引で米ドル買い・円売りが一服したことを受け1リラ=8円70銭台に下げて先週の取引を終えました。

トルコ中央銀行の最新インフレ見通しが注目を集めました。トルコ中銀は28日、インフレ率が6月に前年比70%前後のピークに達し、それ以降は低下基調となり今年末は42.8%前後に低下するとの見通しを発表しました。前回の年末予想23.2%を倍近く上方修正した形。カブジュオール中銀総裁は、物価安定には輸出主導の経済成長と経常収支が重要だと主張しました。

トルコ国内メディアによりますと、エルドアン大統領は30日、「我々のゴールはインフレ抑制」とした上で、政策の効果がでる5月以降に状況が改善することを期待している」と述べました。

ブルベイ・アセットマネジメントのアッシュ氏は、「トルコ中銀のインフレ報告書は、インフレは一時的要因の影響で市場の歪みは経済の実態を反映していないと指摘。おとぎ話のようだ」とツイッターに投稿しました。

トルコ文化観光省が29日発表した3月の観光客数は前年同月比129%増でした。ロシア人観光客は前年の約半分になりましたが、ウクライナ人の減少は約3分の1にとどまりました。ロシア人の一部は富裕層、ウクライナ人の多くは避難民と推測されます。トルコの3月の貿易赤字は82億ドルと、前年の約倍に拡大しました。

「4月CPI」

トルコリラは引き続き金融市場の心理、原油相場、米国債利回りと米ドル地合いの影響を受けるとみられます。連邦準備理事会(FRB)の会合が3~4日に予定されています。米ドル/円の振れが大きくなる可能性があります。クロス取引のトルコリラ/円は、トルコの対米ドル相場と異なる方向に動く可能性があります。

国内の注目材料は5日発表のトルコの4月消費者物価指数(CPI)。ロイターが14の機関投資家を対象にした調査の予想中央値は前年同月比68%でした。予想レンジは64.20~70.85%。予想通りであれば2002年2月に記録した73.1%以来の高水準になります。

トルコリラは安定しているようにみえます。ただ、ファンダメンタルズを反映していないとの指摘が少なくありません。ウクライナにおける戦争は長期化する可能性があり、トルコが輸入に依存する石油、天然ガス、小麦などは高止まりすることが予想されます。政策金利(14%)からインフレ率を差し引いた単純計算の実質金利はマイナス50%を超える見通し。エルドアン大統領は低金利重視を変える兆しはありません。経常赤字は拡大傾向。外貨準備は通貨防衛に十分と言えません。何かをきっかけに相場が崩れるとの見方が一部あります。

[May 01 2022 T384]

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