消費者心理悪化、住宅価格高騰、鍵握る中銀5月会合

2022/04/25 07:33

松島新の週刊2分でわかるトルコ

「悪材料と支援材料」

トルコリラは小動きでした。先週の対米ドル相場は5日続落。1ドル=14.64リラから14.74リラに下落しました。市場全体の米ドル基調が影響しましたが、非常に緩やかな下げでした。対照的にクロス取引のトルコリラ/円はゆるやかに続伸。1リラ=8円60銭台から8円70銭台に上昇しました。円安地合いが背景で、トルコリラが買われたというより、円が売られたといえそう。

トルコリラのネガティブ材料は少なくありませんでした。トルコ統計庁が21日発表した4月の消費者信頼感指数は3月の72.5から7.3%低下し67.3でした。アナトリア通信によりますと、トルコの消費者信頼感指数は新型コロナウイルスのパンデミック(疾病の世界的流行)の影響で2020年春から低下基調となり、昨年10月以降に落ち着きました。指数の中で、家計の金融状況をめぐる心理は9.8%低下。最も大きな下げ。今後12カ月後の家計については前月比8.5%低下し49.1でした。

トルコ中央銀行が18日発表した住宅指数に関する報告書は、トルコが歴史的な住宅高騰危機に直面していることを示唆しました。全国の2月の住宅価格指数は前年同月比96.4%上昇。最大都市イスタンブールは前年比106.3%上昇でした。トルコの2月の消費者物価指数(CPI)は前年比54.4%上昇(3月は61.14%)だったので、インフレを考慮しても住宅価格は40%以上高くなったことになります。

国際通貨基金(IMF)は20日、世界経済の成長見通しを1月時点の4.4%から3.6%成長に下方修正しました。トルコの今年の成長率は2.7%と予想、当初の3.3%から引き下げました。来年の成長率は3.3%と、0.3ポイント下方修正しました。

トルコリラの支援材料もありました。トルコ中銀の統計によりますと、15日時点の外貨準備高は690.4億ドル。1週間前の677.2億ドルから増加しました。トルコリラ建て預金保護策の継続もトルコリラを下支えしています。

「中銀会合」

トルコ中銀は、高インフレにもかかわらず昨年12月まで利下げを続け政策金利は19%から14%に下がりました。1月会合以降は金利据え置き継続。「観光シーズンが本格化する5月に状況を判断する」と主張しました。次回会合は5月26日。利下げサイクルに戻るのか、それとも利上げに転じるか。投資家が注目、5月会合がトルコリラの方向を決める可能性があります。

市中銀行が中銀に預ける外貨建て及びトルコリラ建ての預金準備率を複数回変更されました。エルドアン政権はトルコリラ建て預金保護策や付加価値税(VAT)の税率変更などを相次いで打ち出しました。金利ではなく、他の措置で通貨安とインフレ抑制に動いていると言えます。強大な権限を持つエルドアン大統領は低金利を好んでいて、中銀政策に引き続き影響する可能性があります。

トルコリラは当面金融市場の心理と原油相場の影響を受けるとみられます。政策金利からインフレ率を差し引いたトルコの実質金利はマイナス47%。トルコリラの圧迫要因になると指摘されています。一方で、大統領・議会選挙を来年に控えエルドアン政権は通貨安とインフレの対策を強化することが予想されます。ロシアマネーの流入も寄与し外貨準備高は増加傾向にあります。強弱感が混在しトルコリラは動きにくくなっています。

[April 24 2022 T383]

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