インフレと通貨安のスパイラル、トルコ中銀どう動く

2022/01/17 07:30

松島新の週刊2分でわかるトルコ

「高インフレ見通し」

トルコリラは方向感に欠ける展開でした。トルコリラの対米ドル相場は12日に3%程度急上昇したものの、翌13日に急落し前日の上げ幅のほとんどを消すなど不安定に推移。方向感は出ませんでした。クロス取引のトルコリラ/円も同様。1リラ=8円30銭近辺~60銭近辺で推移、年末と比べレンジは狭くなったものの、上がったら売られる、下がったら買い支えられる展開でした。

エルドアン大統領の12日の発言が注目を集めました。「外国の金融ツールがトルコの金融システムの阻害」と批判。12月に36%を超えたインフレについて「早期に物価を引き下げる」と与党・公正発展党(AKP)の議員の集会で演説しました。政府の一連の措置がインフレ抑制に効果を発揮すると強調、「低い金利でインフレを封じこめる」と独自の新経済政策を継続する意向をあらためて示しました。

続く形でネバティ財務相は15日、大統領と議会の選挙が実施される2023年中旬までにインフレ率は1桁台に低下するとの見通しを示しました。ロイターによりますと、ネバティ財務相は、トルコリラの相場は落ち着いたとした上で、トルコが抱える唯一の問題は高インフレだと述べました。今年第1四半期(4~6月)後に違いがわかるだろうと語りました。

インフレが早期に落ち着くとのエルドアン大統領やネバティ財務相の主張にもかかわらず、エコノミストはトルコのインフレ率が50%を超える可能性があると警戒しています。

JPモルガンはトルコのインフレ率が5月に55%に達すると予想。ロイターによりますと、ゴールドマン・サックスは、インフレ率が1月に40%を超え、その後50%を超える水準に上昇すると予想。トルコ政府は一段の措置を導入し、最終的には金融政策を転換させるだろうとみています。世界銀行は、今年のトルコの経済成長率を2%と予想、従来の4.5%を大幅に下方修正しました。

「トルコ中銀」

トルコ中央銀行は20日に金融政策を決める会合を開きます。トルコ中銀は12月まで4会合連続で利下げ、政策金利は19%から14%に下がりました。政策金利(14%)からインフレ率(36.08%)を差し引いた単純計算の実質金利はマイナス22.08%と、異例と言える水準に下がりました。トルコリラ安の主な要因の1つで、中銀がエルドアン大統領の意向に反し利上げに動かない限り圧迫が継続すると幅広く予想されています。

アナトリア通信がエコノミスト23人を対象にした20日会合に関する調査の予想中央値は「金利据え置き」でした。トルコ中銀は12月会合で利下げを一旦停止する可能性を示唆していました。エコノミストは政策金利の年末水準は12%と予想しました。

トルコリラは目先、金融市場の心理、原油相場、米国債利回りと米ドル地合いの影響を受けると予想されます。中銀会合の声明が相場に影響する見通し。会合前後のエルドアン大統領の発言に敏感に反応する可能性があります。

トルコリラが大幅に下落すると中銀は国営銀行経由で米ドル売り・リラ買い介入しているとみられています。12月末の外貨準備高が2002年以来の低水準になったことが裏付けています。民間銀行や外国中銀からの借り入れを除くと外貨準備高は事実上マイナスと分析されていて、介入余力はなくなりつつあります。ブルーベイ・アセットマネジメントのアッシュ氏は、「トルコの外貨準備の状況は通貨危機前のレバノンよりひどい」とツイッターに投稿しました。

[JANUARY 16 2022 T369]

topへ