リラ乱高下続くか、投資家の不信根強い

2022/01/03 07:35

松島新の週刊2分でわかるトルコ

「年間44%下落」

トルコリラの2021年の年間ベースの下落率は対米ドルで44%。ロイターによりますと、国際通貨基金(IMF)の支援で金融危機から脱した2001年以来の大幅な下落率でした。ここ数年の新興国通貨で最悪のパフォーマンス。

エルドアン大統領は年末、「我々の政策により外国為替市場のバブルが1日で崩壊した」と述べ、トルコリラ急落を受けたリラ建て預金保護措置の効果を強調。全ての貯蓄をリラ建てにするよう国民に要請しました。新年メッセージでは「トルコを世界のトップ10経済に押し上げる」と決意を表明しました。

エルドアン大統領がリラ建て預金保護政策を発表後の数日はトルコリラが急上昇しました。しかし、政策の実効性と持続性が疑問視されはじめ反落しました。クロス取引のトルコリラ/円も急騰後に下落に転じました。2021年最後の1週間は1リラ=10円10銭台から8円50銭台に大きく下げました。12月中旬につけた最安値からの上昇分の約50%を削った格好です。エルドアン大統領の新経済政策と中銀に対する投資家の不信感は根強く、トルコリラの圧力になっています。

トルコ中央銀行は12月に5回の米ドル売り・トルコリラ買いの直接介入を実施。リラ建て預金保護策発表後に介入したとの発表はありませんが、純外貨準備高が大幅に減少したことから国営銀行を通じて積極的な間接介入したと幅広くみられています。急上昇後に急落したことから、介入の効果は短期的だったといえます。

「インフレ」

トルコはエネルギーのほとんどを輸入に依存しています。通貨安で原油などの価格上昇が顕著。ロイターによりますと、商業向け電気代は1月から125%引き上げられ、使用量が少ない家庭向け電力は約50%値上げされました。天然ガスは1月から家庭向けが25%、企業用天然ガスは50%引き上げられました。ボスポラス海峡などの橋の通行料も1月1日付けで大幅値上げされました。

トルコ最大都市イスタンブールの12月の小売価格は前月比9.65%上昇。前年同月比は34.18%上昇しました。イスタンブールの生産者物価指数は前年比47.10%上昇したと商工会議所が発表しました。

トルコ統計庁は3日、12月の消費者物価指数(CPI)を発表します。アナトリア通信の21人のエコノミストを対象にした調査の予想中央値は前年同月比30.05%上昇でした。11月の21.31%からインフレが急加速するとの予想。ロイターの調査の予想中央値も30%を超えました。

トルコ中銀は、29日に発表した2022年金融政策報告で、中期インフレ目標を5%で据え置きました。同じ日、ネバティ財務相はCNNトルコのインタビューでインフレ率は2023年に1桁台に低下する見通しだと述べました。政府見通しと実体のギャップが広がる見通し。

トルコリラの不安定な動きは当面続くとの見方が優勢です。1月第1週はアメリカの雇用統計など重要指標の発表が多く市場全体が振れる可能性があり、トルコリラも影響を受ける可能性があります。3日のトルコCPIが注目。エルドアン大統領の金利と通貨に関する発言があれば、敏感に反応するとみられます。2023年半ばに予定される選挙が前倒しされるとの観測があります。選挙を意識したエルドアン大統領の行動がトルコリラの最大の材料になりそうです。

[JANUARY 02 T367]

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