トルコリラ売り圧力、中銀めぐる再利下げ観測

2021/11/08 07:26

松島新の週刊2分でわかるトルコ

「コアCPI小幅低下」

主要国通貨と新興国通貨は先週、アメリカの連邦準備理事会(FRB)を含む主要中央銀行の政策に関する発表や見通しに揺れました。トルコリラは全体の動きに連動せず、自国事情が相場の材料になりました。

トルコ統計庁が3日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比19.89%上昇。9月の19.58%から加速したものの、予想中央値20.35%を下回りました。食品価格が前年比28.8%上昇したことが指数全体を押し上げました。食品やエネルギーなど変動の激しい品目を除いたコアCPIは16.82%と、前月の16.98%から小幅低下しました。

統計庁が同時に発表した10月の生産者物価指数(PPI)は前年同期比46.31%上昇。9月の43.96%から大幅加速しました。エネルギーは72.63%上昇。製造業は45.94%上昇。PPIは将来のCPI加速を示唆、PPIとCPIの格差が大きいことからCPIの統計に対する不信感が一部で広がりました。ブルーベイ・アセット・マネジメントのアッシュ氏は、「トルコ統計庁のインフレ指標を信用している人は5%しかいない」とツイッターに投稿しました。

トルコ中央銀行は翌4日、月間物価報告を公表。依然高水準としながらも、コアCPIが鈍化傾向にあるとの認識を示しました。報告書を受け、トルコ中銀がエルドアン大統領の要求に従い追加利下げに動くとの観測が広がりました。アーヴァルは、エコノミストの一部は中銀が11月会合での追加利下げを予想、キャピタル・エコノミストは、主要政策金利の1週間物レポ金利を16%から15%に1%利下げするとみていると伝えました。トルコ中銀は過去2回の会合で合計3%利下げしています。

トルコリラは先週、コアCPI低下と中銀の物価報告を受け軟調に推移しました。クロス取引のトルコリラ/円は11円90銭台から11円70銭近辺に下落しました。

「悪い地合い」

トルコリラを取り巻く投資環境は悪く、ファンダメンタルズとテクニカルはいずれもトルコリラがさらに下落する可能性を示唆しています。当面は、11月18日に予定される中銀の金融政策決定会合をにらんだ展開になるとみられます。エルドアン大統領やカブジュオール総裁ら要人による物価や金利に関する発言があれば、敏感に反応すると予想されます。

INGは、5日付けの最新経済見通しで、トルコの年末の政策金利は15%と予想。来年は据え置き、2023年は13%に低下するとみています。トルコリラの対米ドル相場は今年末から2023年末まで段階的に下落すると予想しました。

S&Pグローバル・レーティングスのアナリストは、トルコ紙のインタビューで、中銀に対する投資家の信頼感の低下によりトルコリラは不安定になり、トルコ国民が生活防衛のため米ドルをさらに買い進める「米ドル化」のリスクがあると述べました。

[NOVEMBER 07, 2021 T359]

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