トルコリラ最安値、中銀めぐる観測・思惑

2021/10/11 07:26

松島新の週刊2分でわかるトルコ

「対ドル最安値圏」

トルコリラは先週10日の取引で対米ドル相場が1%下落。過去最安値の1ドル=8.97リラまで売られました。クロス取引のトルコリラ/円は、米国債利回り上昇を受け米ドル高・円安が進んだ影響で小幅な下げに留まりました。1リラ=12円50銭近辺で先週の取引を終えました。

ロイターの報道がトルコリラ売りを誘いました。「エルドアン大統領が、トルコ中央銀行のカブジュオール総裁に対する信頼を失っている」とする事情に詳しい関係筋3人の話を報じました。ここ数週間はほとんどやり取りがなく、中銀が利下げを9月まで遅らせたことにエルドアン大統領が不満を抱いているとしています。ロイターは「関係筋は4回目の総裁交代もあり得るとの認識を示した」と伝えました。

トルコ中銀総裁は過去2年半で3人解任されました。利下げを要求するエルドアン大統領の政治圧力に反発、政策金利を引き上げ、もしくは据え置いたことが更迭された理由でした。エルドアン大統領の側近は「フェイクニュース」だとロイター報道を否定したものの、警戒感は消えませんでした。

ブルーベイ・アセットマネージメントのアッシュ氏は、「もしカブジュオール総裁が解任されたら、新総裁は年末までに5%利下げが義務付けられる、もしくはアーバル総裁のように5%利上げするかもしれない。トルコの金融政策はサーカスやコメディのようだ」とツイッターに投稿しました。

4日に発表された9月の消費者物価指数(CPI)は前月の19.25%から19.58%上昇に加速、食品とエネルギーなどを除いたコアCPIは16.76%から16.98%上昇に上がりました。インフレ加速が懸念される中、利上げではなく、「利下げが遅い」という理由で中銀総裁が更迭されるとの警戒感が広がり、外国人投資家を中心にトルコリラが積極的に売られました。

「中銀総裁」

ロイターの7日の報道もトルコリラを圧迫しました。カブジュオール中銀総裁が前日の国内投資家との電話会見で、コアCPIが短期的に低下する見通しを示したと報じました。追加緩和があるかどうかは明確に示唆しませんでしたが、追加利下げの可能性があるとの思惑が広がりトルコリラ売り材料になりました。

フィナンシャル・タイムズによりますと、エルドアン大統領は7日、金利を引き下げるとあらためて公約しました。「インフレを引き下げる。過去同様に金利を引き下げる。ただ、1日では達成できない」と述べました。

「売り圧力」

トルコリラは当面、金融市場の心理、米国債利回りと米ドル地合いの影響を受けるとみられます。原油相場が上昇基調にあり、トルコリラにネガティブに影響する可能性があります。トルコは石油のほぼすべてを輸入に依存しています。テクニカルとファンダメンタルズはいずれもトルコリラが軟調に推移する可能性を示唆しています。

中銀の政策と総裁人事に関する不透明感がトルコリラの重荷になるとみられます。トルコ中銀の金融政策を決める次回会合は10月21日に予定されています。

[OCTOBER 10, 2021 T355]

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