インフレ加速予想、追加利下げ見通し、米関係悪化

2021/10/04 07:25

松島新の週刊2分でわかるトルコ

「対ドル最安値圏」

トルコリラは引き続き軟調。トルコリラの対米ドル相場は先週、過去最安値圏で推移しました。クロス取引のトルコリラ/円は、米ドル/円が振れた影響を受けたものの、昨年11月以来の安値水準で取引されました。

トルコ中銀行が9月23日の金融政策委員会で予想外に1.0%の利下げに動いたことが引き続き意識されました。トルコとアメリカの関係がさらに悪化する可能性への警戒感が高まったこともトルコリラを圧迫する要因になりました。

トルコのエルドアン大統領は先週、ロシアのプーチン大統領と1年以上ぶりに対面で会談しました。ロシア南部ソチでの首脳会談で、トルコ政府がロシア製対空ミサイスシステム「S400」を追加購入することが話し合われたとみられます。

トルコがロシア製兵器を導入したことを受け、アメリカのトランプ前政権は最新鋭ステルス戦闘機F35の開発プロジェクトからトルコ軍を外しました。エルドアン大統領はトルコが拠出した14億ドルを返すようアメリカ政府に要求。アメリカのバイデン政権は、トルコがロシア製兵器をさらに購入すれば、追加制裁を辞さない構えを示しました。トルコがロシアに接近、アメリカと北大西洋条約機構(NATO)の関係がさらに悪化することを投資家が恐れています。

「CPI」

トルコ統計庁は4日、9月の消費者物価指数(CPI)を発表します。

ロイターによるエコノミスト17人を対象にした調査の予想中央値は19.7%でした。8月の19.25%から加速するとの予想。エコノミストの予想レンジは18.94~20.90%とバラつきがありました。アナトリア通信が23人のエコノミストを対象にした調査の予想中央値は19.69%。ロイターの調査とほぼ同じ結果でした。

アーヴァルは、トルコリラの下落で輸入品の価格が高騰したと報じました。アップル製iPhone12の64ギガは約1万リラと、独身世帯の最低月給の4倍近いとしています。8月に食品価格は前年同月比29%上昇、家具と日用品は22.9%上がったと伝えました。

トルコでは10月からガス料金が値上げされました。アーヴァルによりますと、国際金融協会(IIF)はトルコリラの対米ドル相場のフェアバリュー(適正価格)は現在のレートより5%超トルコリラ安水準の9.5としています。

トルコ中銀は、30日に公表した会合議事要旨で、インフレは供給側に問題があると指摘すると同時に、金融引き締めが融資や企業活動を圧迫しているとして、1%利下げを正当化しました。9月のCPIが予想通り加速しても追加利下げする可能性があります。

「売り圧力」

トルコリラは今週、金融市場の心理や米ドル地合いの影響を受けそう。4日発表のCPIと生産者物価指数(PPI)が相場を動かす可能性があります。

トルコ中銀のカブジュオール総裁は、総合CPIから変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数を重視する方針を表明しました。コアCPIの動向が注目です。

ファンダメンタルズとテクニカルはいずれもトルコリラが下落する可能性を示唆しています。高インフレの中で追加利下げ見通しが強まれば、下落基調が強まることも予想されます。アメリカとの関係に動きがあれば、敏感に反応するとみられます。

[OCTOBER 03, 2021 T354]

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