トルコリラ、米利回りに敏感

2021/05/17 09:31

松島新の週刊2分でわかるトルコ

「砂糖祭」

イスラム教の行事ラマダン(断食月)の終了を祝うシュケル・バイラム(砂糖祭)。連休の初日にあたる13日、トルコリラが大幅に下落しました。ロンドンをはじめオフショア・マーケットで積極的に売られました。

トルコリラの対米ドル相場は1ドル=8.5050リラまで売られ、去年11月につけた過去最安値に接近しました。クロス取引のトルコリラの対円は1リラ=12円80銭台に下落、年初来安値を更新しました。新興国通貨は概ね軟調でしたが、トルコリラは下落率トップでした。

きっかけは前日にアメリカ商務省が発表した4月の消費者物価指数(CPI)。エコノミストの予想を大幅に上振れ、米10年物国債の利回りが急上昇。米ドルが買われ、アメリカの株式相場が大幅下落しました。

前日の取引での相場織り込みが不完全だったこと、トルコの外貨準備高が急減し通貨防衛の限界があると観測されること、高インフレにもかかわらずエルドアン大統領の政治圧力でトルコ中央銀行が利上げに動けないとみられていることがトルコリラ売りを招いたと指摘されました。トルコが祝日のため薄商いとなったことで振れが大きくなりました。トルコリラがアメリカの長期金利に非常に敏感であることを示しました。

中東情報で定評があるアル・モニターによりますと、アメリカの大手金融機関ウェルズファーゴのアナリストは「トルコが対外債務危機に陥る可能性がある」とするレポートを顧客に配布、国際金融協会(IIF)はトルコリラの対米ドル相場のフェアバリュー(適正価格)は1ドル=9.50リラと、去年6月時点の7.5リラから大幅な米ドル高・リラ安方向に修正しました。

「夜間禁止令維持」

エルドアン大統領は14日、全国に導入したロックダウン(都市封鎖)を17日に解除すると発表しました。ただ、夜間外出禁止令など規制の多くの解除は見送りました。

トルコの新型コロナウイルスの1日あたり新規感染者はロックダウン前が6万人超。1万1千人に急減したものの、1日あたり5千人の目標を依然上回っています。感染が収まらないため、F1は中止され、サッカーのチャンピオンズ・リーグ決勝の開催地はイスタンブールからポルトガルのポルトに変更されました。

「パレスティナ情勢」

イスラエル軍とパレスティナ自治区ガザのイスラム原理教組織ハマスとの交戦が激化、連日多数の死傷者が出ています。エルドアン大統領が国連に停戦の重要性を訴え、アメリカのバイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相に冷静な対応を求めましたが、状況は深刻化するばかり。トルコリラの地政学リスクが意識される可能性があります。

トルコリラは当面、金融市場の心理と米国債利回りに敏感に反応する可能性があります。ファンダメンタルズとテクニカルの両面からトルコリラに弱気な見方が少なくありません。

INGのアナリストは、10日付けのレポートで、トルコ中銀の利下げタイミングが焦点だとコメント。今後12カ月で米ドル高・リラ安が進むと予想しました。

[May 16, 2021 T334]

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