中銀利下げはいつか、先読む投資家

2021/05/03 08:54

松島新の週刊2分でわかるトルコ

「制裁法案」

アメリカ連邦議会の上院議員3人は29日、対トルコ制裁を求める法案をインターネット上で公開しました。
2016年のクーデター未遂事件のあと、エルドアン大統領は非常事態を宣言、多数のジャーナリスト、教育関係者、法曹関係者、野党議員と政府職員を「粛清」しました。アメリカの上院議員は「トルコ政府が人権を侵害した」と主張しました。

アメリカのバイデン大統領が第1次世界大戦中のオスマン帝国によるアルメニア人大量殺害は「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定した5日後に対トルコ制裁法案は再提出されました。

トルコ政府がロシア製ミサイルシステム「S400」を導入したことを受け、バイデン政権は「F35開発プロジェクト」からトルコを完全に外しました。アメリカとトルコの関係悪化につながる動きが目立って増加、トルコリラの上値を抑えています。

「全国ロックダウン」

エルドアン大統領は26日、新型コロナウイルスの感染を抑制するため、29日から5月17日まで全国規模のロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表しました。イスラム教国のトルコはラマダン(断食月)の真最中、ラマダン期間と重なるロックダウンとなりました。

トルコ政府はこれまで週末の外出規制など部分的な対策をとってきましたが、イギリス型変異ウイルスの感染拡大が深刻化したことを受け初の全国規模のロックダウンに踏み切ったものです。ロックダウン初日の29日、トルコ衛生当局は過去24時間でコロナ感染者3万7647人、死者339人が確認されたと発表しました。ジョンズ・ホプキンス大学のまとめでは、トルコ国内の感染者累計は2日時点で485万人と世界で5番目に多く、死者は4万504人です。

「トルコ中銀」

トルコ中央銀行は29日、四半期に1度のインフレ報告を公表しました。年末の消費者物価指数(CPI)見通しは12.2%と、1月時点の予想9.4%から引き上げました。2022年予想は7%から7.5%上昇に修正しました。カブジュオール総裁は「確固たる決意と忍耐で金融引き締め政策を維持する」と述べました。

トルコリラの対米ドル相場は、先週前半は堅調でしたが、週後半に上げ幅を全て消しました。クロス取引のトルコリラの対円相場も類似した動き。ただ、米ドル高・円安が進んだ影響を受け週後半の下げは限定的でした。1リラ=13円10銭台で先週の取引を終えました。

トルコ中銀は6日に金融政策決定会合を開きます。ロイターがエコノミストを対象に実施した調査では、18人全員が金利据え置きを予想しました。また、10人は第3四半期(7~9月)に最初の利下げがあると予想していることもわかりました。4月がインフレのピークになるとみられることが背景です。

ロイターによりますと、モルガン・スタンレーのアナリストは、トルコ中銀が第4四半期(10~12月)まで金利を据え置くと予想。「早すぎる利下げはトルコリラを強く圧迫する」とコメントしました。

トルコリラは6日の中銀会合の声明に反応する可能性があります。前回4月会合では声明からタカ派な文言が削除され、「利下げに道を開いた」と受け止められました。29日の記者会見でカブジュオール総裁は引き締めを維持する姿勢を示しましたが、声明にどう反映されるか注目されます。

アメリカとの関係に関する新たな動きがあれば、トルコリラが敏感に反応することが予想されます。ロックダウンによる経済への影響をめぐる懸念もトルコリラの圧迫要因になる可能性がありそうです。

[May 02, 2021 T332]


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