トルコリラ揺れる、中銀めぐる心理で

2021/04/05 09:27

週刊2分でわかるトルコ

「振れる」

月と四半期をまたいだ先週の外国為替市場はアメリカの長期金利の動向に揺れました。

長期金利の指標である米10年物国債の利回りが14カ月ぶりの高水準に上昇。金利格差が開き、米ドルが対円や対ユーロなどで上昇しました。新興国通貨は米10年物国債の利回りに敏感に反応して振れました。

トルコリラも新興国通貨に連動。週前半はトルコ中銀のチェティンカヤ副総裁が総裁に続く形で更迭されたこともトルコリラ売りに寄与しました。

トルコ株とトルコ国債も売られました。ブルームバーグによりますと、外国人投資家は先週、19億ドル相当の株式と国債を売却しました。一方で、トルコ国内の投資家は米ドルを売却しました。エルドアン大統領が通貨防衛のためトルコリラを積極的に購入するよう国民に呼びかけた効果がでたようです。

1日木曜日にトルコリラが買い戻される局面がありました。対米ドル相場は1ドル=8.35リラ近辺から8.1リラ台に上昇。クロス取引のトルコリラの対円相場は1リラ=13円20銭台から一時13円60銭台に買い戻されました。

トルコ中央銀行のカブジュオール総裁の発言が材料。カブジュオール総裁は1日の国内投資家との初会合で政策の継続性に言及。5%のインフレ目標は引き続き有効で、高いインフレ期待には引き締め政策で対応する必要があると述べました。

アーバル前総裁は市場予想を上回る2%の利上げを決めたことがエルドアン大統領の怒りを買い、解任されました。後任に起用されたカブジュオール総裁は就任前、高い金利がインフレ率を押し上げるとコラムなどで主張。世界の主流のエコノミストと反対の見解ですが、エルドアン大統領とは一致します。前任者が合計8.75%引き上げた政策金利を早期に引き下げるとの観測が強まりました。

しかし、国内投資家との会合での発言はこれまでの主張に反するものでした。カブジュオール総裁は、ブルームバーグTVのインタビューでは、早期に利下げするとの市場の見方は偏見だと述べました。

カブジュオール総裁は引き締め策を維持するのか、それとも利下げに転じるのか。市場が混乱しています。仮に高い政策金利を維持する場合、中銀を事実上支配するエルドアン大統領が認めるのかも不透明です。15日のトルコ中銀の次回会合まで総裁の意図をめぐる思惑・観測がトルコリラ相場を揺らしそうです。

「インフレ加速見通し」

トルコ統計庁は5日、3月の消費者物価指数(CPI)を発表します。

アナトリア通信が20人のエコノミストを対象にした調査では、前年同月比16.21%上昇が予想中央値。ロイターが16人のエコノミストを対象にした調査の中央値は16.11%、予想レンジは15.92~16.97%でした。

2月のCPIは15.61%で、いずれの調査もインフレが加速すると予想されていることを示しました。トルコのデイリーサバ―によりますと、シティグループは3月のCPIは16.2%上昇と予想、コア指数は17%上昇すると予想しました。ゴールドマン・サックスは4月にインフレ率が18%まで上昇、その後に落ち着くとみています。

いずれにせよ、トルコのインフレ率が目先加速すると幅広くみられています。CPIが発表される5日は、イースターマンデーで欧米の市場が薄商いになることが予想され、内容次第で振れが大きくなる可能性があります。

トルコリラは当面、金融市場の心理、米国債利回り、そしてトルコ中銀の政策をめぐる観測の影響を受けるとみられます。エルドアン大統領と側近、カブジュオール中銀総裁の発言があれば、敏感に反応しそう。トルコ中銀の信頼感が揺らいでいて、トルコリラを圧迫する可能性があります。

[April 04, 2021 T328]

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