売り一色のトルコリラ、利下げ義務化との見方

2021/10/18 07:26

松島新の週刊2分でわかるトルコ

「対ドル最安値」

トルコリラの下げが止まりません。トルコ中央銀行をめぐる不安、不信感、警戒感がトルコリラを圧迫しました。

先週の取引で5日続落。対米ドル相場は4日連続で過去最安値を更新、1米ドル=9.2790リラまで売られました。新興国通貨の中で最悪のパフォーマンスでした。トルコリラは対ユーロでも最安値を更新しました。

先週の外国為替市場では円の下落も目立ったものの、クロス取引のトルコリラ/円は続落。1リラ=12円60銭近辺から12円30銭近辺まで下がりました。昨年11月につけた最安値12円04銭が意識されました。

トルコのエルドアン大統領は13日夜、トルコ中央銀行のカブジュオール総裁と会談。会談後の13日深夜に異例の官報が出され、2人の副総裁と政策委員1人の3人が解任されたことが公になりました。

エルドアン大統領の側近は、カブジュオール総裁との会談で経済情勢について話し合ったと説明しましたが、金融政策委員会メンバーの交代を協議したことは明らかでした。解任された2人は9月会合での1%利下げに反対、その内の1人は国営銀行を経由して外貨準備による為替介入に反対し続けていたと報じられました。カブジュオール総裁は報道を否定したものの、トルコ中銀の独立性への疑問は高まるばかりでした。

エルドアン大統領は過去2年半で3人の中銀総裁を更迭。頻繁な政策当局者の交代で中銀の独立性がなくなったとみなされ、投資家はトルコリラを投げ売りました。中銀の調査によりますと、市場関係者は今後3カ月で合計1.4%の利下げがあることを見込んでいます。

「中銀会合」

トルコ中銀は21日に金融政策を決める会合を開きます。

ロイターの初期の調査ではエコノミストの多くが追加利下げを予想していることがわかりました。クレディスイスのアナリストは、政治圧力を受け1%の利下げがある可能性があるとコメントしました。ブルームバーグの調査の予想中央値は1%利下げでした。

アナトリア通信が26人のエコノミストを対象にした調査はバラツキがありました。8人は0.5%の利下げを予想、1人が0.75%、11人は1.0%の利下げがあると予想しました。年末の政策金利見通し中央値は17%でした。

ロンドン拠点のブルーベイ・アセットマネジメントのティモシー・アッシュ氏は独自に中銀会合予想の調査を実施。参加した877人の45%が今週の会合で中銀が0.51~1.0%の利下げがあると予想しました。アッシュ氏は「利下げがカブジュオール総裁の義務になったとほとんどの人が考えているようだ」とツイッター上でコメントしました。

現在の政策金利は18%。今月初めに発表された最新の消費者物価指数(CPI)は19.58%でした。中銀のカブジュオール総裁が重視すると表明した変動の大きい食品とエネルギ―などを除いた9月のコアCPIは16.98%。政策金利はコアCPIを上回る水準に維持する可能性があるとみられます。

「エルドアン大統領の体調」

「金利の敵」と自称するエルドアン大統領の利下げを求める政治圧力は強大。エルドアン大統領は体調がすぐれないため2023年予定の選挙の前倒しを検討、利下げ圧力は継続するとの報道があります。カブジュオール総裁はインフレ抑制のため利上げしたくても手足が縛られて要求に従うしかない状況です。中銀の決定次第で、トルコリラ売り圧力が一段進む可能性があります。外貨準備を使った為替介入に動く可能性があり、一定の支えになりそうですが、トレンドはトルコリラ安方向にあります。トルコリラは目先、金融市場全体の地合いと連動しない展開になる可能性があります。

原油相場は上昇基調にあります。INGのアナリストは、資源を輸入に依存する日本とトルコの通貨が売られやすいとコメントしました。クロス取引のトルコリラ/円については、このところ変動の大きい米ドル/円の動向に左右されることも予想されます。

[OCTOBER 17, 2021 T356]

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