一休み!?

2022/05/16 12:52

ウィークリー・アウトルック

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【今週のポイント】
・米長期金利3.0%割れ、米ドル/円130円割れは重要水準達成後の調整か
・米長期金利、米ドル/円も上を目指すと予想。ただし、米景気に要注意!
・豪経済指標を受けてRBAの利上げ観測は強まるか
・21日の豪総選挙の結果次第では、豪ドルが売られる可能性も
・カナダCPIはBOCの利上げ観測を補強するか

先週(5/9-)、米長期金利(10年物国債利回り)は3.0%を下回り、米ドル/円は130円を割り込みました。いずれも、重要な水準だったため、それらを突破したことでいったんの達成感からの調整であると判断します。先週や今週はもう一度上へ行くためのエネルギーをため込む局面かもしれません。

今週の主要経済指標・イベント

米景気は比較的底堅い状況が続いており、高インフレが持続するなか、FRBは利上げを継続するでしょう。13日時点のOIS(翌日物金利スワップ)によれば、市場は22年末の政策金利(FFレート誘導目標)を2.77%と予想しています。0.25%換算で7~8回の利上げ。パウエルFRB議長は5月4日のFOMC後の会見で、次の2回のFOMCでは0.50%の利上げが議題になると述べました。年内残り5回のFOMCのうち、2~3回で0.50%の利上げ、それも早い段階で実施される可能性が高そうです。

米S&P株価指数は先週一時、今年1月高値から20%近い下落となり、一般に言われる弱気相場(高値から15%超の下げ)入りをしました。高インフレ・高金利により家計や企業には下押しの圧力が加わっているため、米景気が大幅に減速したり、あるいはリセッション(景気後退)入りしないか注意は必要でしょう。

その意味で、米長期金利の行方を見守る必要がありそうです。米長期金利が一段と低下し、2年-10年でみたイールドカーブ(利回り局面)が逆転するような事態となれば、利上げ観測の後退によって米ドルに下落圧力が加わる可能性があります。<西田>

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米国など主要国の株価動向には注意が必要かもしれません。インフレを抑制するために米FRBが積極的に利上げを行うとの観測を背景に、米国株には下押し圧力が加わりやすいと考えられます。主要国株価が下落を続ける場合、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まって円高圧力や米ドル高圧力が加わりそうです。

豪ドルについては、豪州の賃金コスト指数(18日)や雇用統計(19日)、総選挙(21日)の結果も材料になる可能性があります。

SARB(南アフリカ中銀)は19日の政策会合を開きます。市場では、0.50%の利上げが決定されるとの見方が有力です。その通りの結果になれば、5人の政策メンバーの投票行動に注目。全会一致で0.50%の利上げが決定される、あるいはより大幅な利上げを主張したメンバーがいれば、南アフリカランド/円の支援材料になりそうです。なお、前回3月の会合での0.25%の利上げは3対2で決定され、決定に反対した2人は0.50%の利上げを主張しました。

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BOM(メキシコ中銀)は12日に政策会合を開き、0.50%の利上げを行うことを決定。政策金利を6.50%から7.00%へと引き上げました。

会合では、政策メンバー5人のうち4人が0.50%の利上げを支持し、エスピノサ副総裁はより大幅な0.75%の利上げを主張。BOMは声明で「インフレ目標を達成するために一段と強力な措置が検討される可能性がある」と表明。今後、利上げペースを加速する可能性を示しました。BOMの次回政策会合は6月23日です。BOMのタカ派な姿勢はメキシコペソにとってプラス材料であり、メキシコペソ/円は底固く推移する可能性があります。

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トルコリラは先週(5/9- )、対米ドルで21年12月以来、対円で3月下旬以来の安値をつけました。トルコではインフレが加速しているものの、低金利を志向するエルドアン大統領の圧力によってTCMB(トルコ中銀)が利上げするのは困難とみられていることが、トルコリラに対する下押し圧力となっています。トルコリラは対米ドルや対円で引き続き軟調に推移する可能性があります。<八代>

今週の注目通貨ペア①:<米ドル/円 予想レンジ:127.500円~132.500円>
米長期金利が再び3.0%を超えるか、米ドル/円が130円を超えるかが、重要なポイントとなりそうです。今週(5/16-)は、米経済指標に要注意。17日小売売上高(4月)、18日住宅着工件数(4月)、19日フィラデルフィア連銀製造業景況指数(5月)など。4月の自動車販売台数が前月から7.2%増加しており、小売売上高を押し上げる可能性が大。自動車を除く小売売上高もそこそこ増えれば、景気堅調との判断を維持できそう。一方、市場金利の上昇が住宅ローン金利の上昇を通じて住宅着工件数に悪影響を与える可能性があります。中国でのロックダウンによりサプライチェーン障害が懸念されるなか、フィラ連銀指数にも注目です。

FRB関係者の発言も気になります。16日ウイリアムズNY連銀総裁、17日ブラード・セントルイス連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、パウエル議長、メスター・クリーブランド連銀総裁、など。インフレ抑制を最重視する姿勢に変化がないか、要チェックでしょう。<西田>

今週の注目通貨ペア②:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000~1.12000NZドル>
RBA(豪中銀)は3日の政策会合で0.25%の利上げを行うことを決定。政策金利を0.10%から0.35%へと引き上げました。豪州の1-3月期賃金コスト指数が18日、4月雇用統計が19日に発表されます。それらが市場予想よりも強い結果になれば、RBAの利上げ観測が強まり、豪ドルの支援材料になりそうです。

豪州では、21日に総選挙が行われます。与党・保守連合は苦戦しており、世論調査で保守連合の支持率は労働党を下回っています。労働党が過半数を獲得する(政権が交代)、あるいはハングパーラメント(過半数を持つ政党がない状態)になれば、豪ドルが売られる可能性があります。豪ドル/NZドルのメドとして、下値が1.08248NZドル(4/25安値)、上値は1.11760NZドル(18年8月高値)が挙げられます。<八代>

今週の注目通貨ペア③:<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.27000~1.31000カナダドル
BOC(カナダ中銀)はインフレを抑制するため3月に0.25%、4月に0.50%の利上げを実施(現在の政策金利は1.00%)。BOCは2~3%の間と推計する中立金利(景気を冷やしも過熱もしない政策金利の水準)に向けて今後も利上げを続ける姿勢を示しており、市場ではBOCの政策金利は22年末までに2.75%になるとの見方が有力です。

カナダの4月CPI(消費者物価指数)が18日に発表されます。CPIが市場予想の前年比6.7%を上回る結果になれば、BOCの利上げ観測が一段と強まってカナダドルの支援材料となりそう。米ドル/カナダドルは軟調に推移する可能性があります。

ただ、米FRBも今後も利上げを続けるとみられます。米ドル/カナダドルについては、原油価格(米WTI原油先物)の動向にも目を向ける必要があるものの、BOCとFRBの金融政策の方向性を考えると(いずれも上向き)、米ドル/カナダドルは下落を続ける状況ではないかもしれません。米ドル/カナダドルは、1.27123カナダドル(5/5安値)が目先の下値メドです。<八代>

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。」

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。


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