カナダドル軟調、外部環境に敏感

2022/05/10 07:27

松島新の週刊2分でわかるカナダ

「リスク回避ムード」

9日の欧米の外国為替市場の米ドルは堅調でした。連邦準備理事会(FRB)の会合(FOMC)の積極利上げがリセッション(景気後退)を招くとの警戒を背景にした逃避買いが米ドルを支えました。円とユーロは堅調。英ポンドは小幅安。資源国通貨のドルブロックは下落。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中国2大都市の厳格な規制への懸念も寄与、豪ドルの下げが目立ちました。NZドルも大幅安。

米ドル/カナダドルは1.1%米ドル高・カナダドル安水準でした。昨年12月20日以来5カ月ぶりの安値。クロス取引のカナダドル/円は1.2%カナダドル安・円高水準の100円10銭近辺で推移しました 。

市場全体のリスク回避ムードが影響しました。世界経済の成長が鈍化するとの懸念が景気に敏感なカナダドルにネガティブに影響しました。原油相場は6.1%安。カナダドル売りを誘いました。

カナダ統計庁が6日発表した4月雇用統計は、雇用者数が1万5000人増、予想の5万5000人増を大幅に下回りました。時間あたり平均時給は前月比3.4%増と、3月の3.7%から伸びが鈍化。労働参加率は小幅低下しました。失業率は5.4%で過去最低を更新したものの、全体的に弱い統計でした。

カナダのトルドー首相は8日、ウクライナを予告なしに訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。共同記者会見で首都キーウの大使館再開を表明。追加軍事支援とウクライナからの輸入品に対する1年間の関税免除を発表しました。

「買い越し幅縮小」

アメリカの商品先物取引委員会(CFTC)のIMM通貨先物の非商業(投機)部門の統計によりますと、3日までの1週間のカナダドルは9029枚の買い越し(1枚は10万カナダドル)。前週の2万7906枚から買い越し幅が縮小しました。カナダドルのバイアスはブル(強気)で変わらず。最新統計では米ドルのブルポジションが大幅に増えたのが目立ちました。

「カナダ中銀」

カナダドルは引き続き金融市場の心理、原油相場、アメリカ株式相場と米国債利回りの影響を受けるとみられます。中国経済の減速懸念が強まっていますが、中国への依存度が小さいため、豪ドルやNZドルと比べ影響は限定的になりそう。

CIBCのアナリストは、今週は相場を動かすカナダ国内の経済指標がなく、金融市場のボラティリティとアメリカなどのニュースがカナダドルに影響するとコメントしました。スコシアバンクのアナリストは、9日付けメモで、カナダドルは国内の強いファンダメンタルズの恩恵を受けるものの、外部環境が影響する可能性があるとコメントしました。株安や恐怖指数VIX上昇の環境では米ドルがレンジを超えて上昇する可能性があるとしています。BMOは5月6日付け見通しで緩やかな米ドル高・カナダドルを予想。カナダドル/円の4~6月平均は100円70銭とみています。

カナダ銀行(中央銀行)の次回会合は6月1日。カナダ中銀ナンバー2のロジャーズ首席副総裁は3日の講演で、信頼を得るためインフレを中銀目標まで抑制すると述べました。バンク・オブ・アメリカ証券のアナリストは、6月会合の0.50%利上げを予想、雇用統計が弱かったことで0.75%利上げの確率が低下したとコメントしました。

[MAY 09 2022 C104]

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