カナダドル反発、新変異種確認もリスク選好

2021/11/30 08:03

松島新の週刊2分でわかるカナダ

「原油反発を好感」

29日の欧米の外国為替市場は米ドル高地合いでした。新型コロナウイルスのオミクロン型変異種をめぐる過度の警戒感が後退、米国債利回りが上昇したことも寄与。26日に急落した米ドルが買い戻されました。

円、ユーロ、英ポンドは対米ドルで小幅安。資源国通貨のドルブロックはまちまち。豪ドルは対米ドルで小幅高、NZドルは小幅安でした。カナダドルは反発。対米ドルで0.3%高。クロス取引のカナダドル/円は0.5%高の89円10銭台で取引されました。金融市場全体のリスク選好ムード、原油相場とアメリカ株式相場が反発したことがカナダドルの支援材料でした。

カナダのオンタリオ州の衛生当局者は28日、アフリカのナイジェリアに滞在した2人がオミクロン型変異種に感染したとする声明を発表しました。北米で初。29日には4人がさらに感染している可能性があると発表。ケベック州でも1人の感染が確認されました。衛生当局は感染者の行動ルートを確認していますが、カナダ国内の感染拡大が既に進んでいる恐れがあります。警戒感がカナダドルの上値を抑えたと指摘されました。

カナダ統計庁が29日発表した第3四半期(7~9月)の経常収支は13.7億カナダドルの黒字と、前期の改定値と同じ水準でした。予想の48億カナダドル黒字を大幅に下回りました。カナダの10月の原料価格指数は前年同月比38.4%上昇、前月比4.8%上昇と強い数字でした。10月の生産者物価指数(PPI)確報値は前年同月比16.7%上昇。予想と一致しました。

「売り越しに転じる」

アメリカの商品先物取引委員会(CFTC)のIMM通貨先物の非商業(投機)部門の統計によりますと、23日までの1週間のカナダドルは3135枚の売り越し(1枚は10万カナダドル)。前週の8709枚の買い越しから売り越しに転じました。カナダドルのバイアスはブル(強気)からニュートラル(中立)に変わりました。

「カナダ銀行」

カナダドルは当面、金融市場全体の心理、原油相場とコモディティ相場、米国債利回りと米ドル地合いの影響を受けるとみられます。30日発表のカナダの9月および第3四半期(7~9月)の実質国内総生産(GDP)が材料になる可能性があります。第2四半期は1.1%のマイナス成長でしたが、前期比3.3%増に回復するとの予想がコンセンサスです。

2日に開かれる石油輸出国機構(OPEC)と非加盟のロシアなどで構成されるOPECプラスの年内最後の会合にカナダドルが反応する可能性があります。来年1月の生産量について協議しますが、オミクロン型変異種の感染拡大を受けた規制強化の動きが影響すると予想されます。

カナダ銀行(中央銀行)が12月8日に開く金融政策委員会が注目。10月27日の会合で量的緩和政策を終了することを決めたカナダ中銀が、政策金利の引き上げ見通しについてどう言及するかが焦点です。

来年前半にもカナダ中銀が利上げに動くとの見方が一部ありますが、BMOは26日付けの見通しで、利上げサイクルは来年第3四半期(7~9月)に始まると予想。来年2回の利上げを見込んでいます。カナダドル/円の来年第1四半期(1~3月)平均は90円80銭と予想しました。来年前半はカナダドルが堅調に推移すると見方が優勢、カナダ中銀の金融政策をめぐる観測が方向を決めることになりそうです。

[NOVEMBER 29,2021 C081]

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