カナダドル堅調、中銀総裁寄稿に反応

2021/11/16 07:48

松島新の週刊2分でわかるカナダ

「利上げ期待」
15日の欧米の外国為替市場は米ドルが堅調でした。米国債利回りの上昇が米ドルを下支えしました。連邦準備理事会(FRB)高官の講演や小売売上高の発表を控えていることから全体的に様子見ムードが強い展開でした。円は対米ドルで軟調。ユーロが下落しました。英ポンドは横ばい。中国の堅調な経済指標を手掛かりに豪ドルとNZドルは続伸しました。

カナダドルは堅調に推移。対米ドルで0.3%上昇しました。クロス取引のカナダドル/円は0.5%高の91円20銭台で取引されました。

カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁の寄稿文がカナダドルの買い材料でした。15日付けフィナンシャル・タイムズに寄稿、利上げが近いことを示唆しました。「カナダ経済の緩みが解消されるまで政策金利を引き上げない」とした上で、「まだ至っていないものの、完全回復に近づきつつある」との認識を示しました。

アメリカの原油先物相場が0.1%上昇。カナダドルを支えました。カナダ10年物国債の利回りは1.725%に上昇。米10年物国債利回りとの格差が小幅ながら拡大したことがカナダドル買いを誘いました。

カナダの9月の製造業生産高確報値は前月比3%減でしたが、予想の3.2%減ほど落ち込みませんでした。10月の卸売売上高は前月比1%増。9月の新車販売台数は14万4000台と、8月の15万台から小幅減。カナダの10月の中古住宅販売は前月比8.6%増加しました。いずれもカナダドルへの影響は限定的でした。

「FRBとの比較」
カナダドルは先週軟調に推移しました。アメリカの消費者物価指数(CPI)が31年ぶりの高水準に上昇、米国債利回りが上昇したことが影響しました。原油相場が下落したこともカナダドルを圧迫しました。

今週のカナダドルは、17日発表のカナダの10月CPIが最大の材料になると予想されます。9月の前年同月比4.4%から4.7%上昇に加速するとの予想がコンセンサスです。19日発表のカナダの9月小売売上高は8月の2.1%増から1.9%減と、マイナスになると予想されています。

カナダ中銀の利上げ期待がカナダドルの対円、対ユーロ相場を支援するとの予想が優勢です。対米ドルに関しては、カナダ中銀とFRBの利上げペースをめぐる観測が影響するとみられます。

CIBCは、10日付け最新見通しで、市場はカナダ中銀の政策を過大評価する一方で、FRBの来年以降の動きを過小評価しているとコメント。カナダドルの対米ドル相場は来年第3四半期(7~9月)にかけて段階的に下落すると予想しました。カナダドル/円の年末は91円90銭、来年3月末は89円80銭とみています。

BMOは、カナダ中銀の来年の利上げペースがFRBを上回ると予想。12日付け最新見通しで、カナダドル/円の来年第1四半期(1~3月)平均は92円60銭と予想しました。来年末にかけて段階的にカナダドル高・円安が進むシナリオでした。

[NOVEMBER 15,2021 C079]

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