豪ドルとNZドルに下押し圧力

2021/12/02 09:25

松島新の週刊2分でわかる豪・NZ

「オミクロン警戒」

1日の欧米の外国為替市場の米ドルは小幅上昇。リスクオンの展開でしたが、アメリカの疾病対策センター(CDC)が南アフリカからカリフォルニア州サンフランシスコに帰国した1人が新型コロナウイルスのオミクロン型変異種に感染したことを確認したと発表。リスクオフに転じました。逃避買いで円は上昇。ユーロと英ポンドは対米ドルで小幅安でした。資源国通貨のドルブロックの一角であるカナダドルは反落しました。

オーストラリア(豪)ドルは軟調。対米ドルで0.3%安。クロス取引の豪ドル/円は80円10銭台の0.7%豪ドル安・円高水準で推移しました。ニュージーランド(NZ)ドルも軟調。対米ドルで小幅安。クロス取引のNZドル/円は0.5%安のNZドル安・円高水準で取引されました。金融市場のリスク回避ムードが影響しました。豪ドル/NZドルは小幅安でした。

豪ドルとNZドルの下落基調が続いています。アメリカの連邦準備理事会(FRB)の引き締めへの転換が影響、FRBのパウエル議長がテーパリング(量的緩和の縮小)ペースを加速し早期利上げを示唆したことが金利に敏感なオセアニア2通貨を圧迫。先週末からは新型コロナウイルスのオミクロン型変異種をめぐる警戒感が金融市場全体に広がり、リスクに敏感な豪ドルとNZドルを押し下げました。

ロイターは「豪ドルとNZドルに下押し圧力がある」と報じ、「FRB利上げに関するマーケットの織り込みと、オミクロン株をめぐるネガティブなニュースが豪ドル/米ドルを0.70米ドル割れの水準に押し下げる可能性がある」とするコモンウェルス銀行のアナリストのコメントを引用しました。

「豪ドル売り越し拡大」

アメリカの商品先物取引委員会(CFTC)のIMM通貨先物の非商業(投機)部門の統計によりますと、23日までの1週間の豪ドルは6万3265枚の売り越し。前週の6万1153枚から売り越し幅が小幅拡大。NZドルは1万3939枚の買い越し。前週の1万3965枚からほぼ横ばい。豪ドルのバイアスはベア(弱気)、NZドルはブル(強気)で変わらずでした。

「RBA会合」

豪ドルとNZドルは当面、金融市場全体の心理、FRB利上げをめぐる観測と米国債利回り、オミクロン株に関するニュースに反応すると予想されます。豪ドルは7日のオーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)の会合が材料になるとみられます。オーストラリアの第3四半期(7~9月)の国内総生産(GDP)は前期比1.9%減とマイナス成長でしたが、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州でコロナ規制が強化された影響と受け止められました。インフレ見通しとオミクロン株の影響をRBAがどう見ているのかが焦点です。

RBAは、2024年前の政策金利引き上げはないと繰り返し主張しています。ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のアナリストは、1日付けのメモで、RBAが2023年に利上げに動く可能性があるものの、RBAの主張が豪ドル売りを誘っているとコメントしました。

ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は利上げサイクルに入りました。金利先高感を背景に買われてきましたが、FRB、イングランド銀行、カナダ銀行が早期利上げに動く可能性があることなどから、金利を材料にしたNZドル買いが後退するとの見方が優勢です。今後はRBNZの利上げペースが加速するか、インフレ動向などがNZドルを動かす可能性があります。

不透明感が強く、オミクロン株とタカ派なFRBを手掛かりにした売り圧力はしばらく続く可能性があります。来年の豪ドルとNZドルはそれぞれ対米ドルで上昇、豪ドル/NZドルはレンジで推移するとの主要金融機関の見通しは修正されていません。ただ、オミクロン株とFRBの動きに加え、それぞれの国の経済状況次第で予想が変わるリスクがあるといえます。

[DECEMBER 01,2021 AN323]

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