NZ中銀利上げも豪ドル高・NZドル安、地合い続くか

2021/10/07 07:25

松島新の週刊2分でわかる豪・NZ

「リスクオフ」

6日の欧米の外国為替市場で米ドルと円が買われました。幅広いモノとサービスのインフレ加速が表面化しスタグフレーション(景気低迷期のインフレ)の兆しがあることへの警戒感でややリスクオフの展開でした。

ユーロと英ポンドは下落。資源国通貨のドルブロックの中でカナダドルは底堅く推移しました。この日は原油先物相場が反落したものの上昇基調にあり、カナダ銀行(中央銀行)が来年利上げするとの観測が支えました。

オーストラリア(豪)ドルは反落しました。豪ドル/米ドルは小幅安。クロス取引の豪ドル/円は0.3%安の81円05銭近辺で推移しました。NZドル/米ドルは0.7%安。クロス取引のNZドル/円は77円05銭近辺のNZドル安・円高水準で取引されました。豪ドル/NZドルは小幅豪ドル高・NZドル安に振れました。

「豪ドルのベアポジション過去最大」

アメリカの商品先物取引委員会(CFTC)のIMM通貨先物の非商業(投機)部門の統計によりますと、28日までの1週間の豪ドルは8万6383枚の売り越し。前週の8万5584枚から売り越し幅が小幅拡大しました。NZドルは1万0246枚の買い越し。前週の8102枚から買い越し幅が小幅拡大しました。豪ドルのバイアスはベア(弱気)、NZドルはブル(強気)でそれぞれ変わらず。

スコシアバンクのアナリストは、4カ月前にニュートラル(中立)だった豪ドルのベア・ポジションは過去最大に積み上がったとコメント。NZドルについてはさらに強気に傾いたとしています。

「中銀とコロナ」

オセアニア2カ国で今週、市場関係者が注目したイベントがありました。中銀会合と新型コロナウイルス関連の2つ。

オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は5日の会合で0.10%の政策金利を据え置きました。住宅価格が高騰していますが、長期に渡り低金利を維持する意向をあらためて示しました。一方、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は6日、政策金利を0.25%から0.50%に引き上げました。7年ぶりの利上げ。一段の金融引き締めに動く可能性を示唆しました。

これより先の1日、オーストラリアのモリソン首相は、新型コロナウイルス対策として1年半に渡り実施している国境封鎖措置を11月から緩和する方針を明らかにしました。ニュージーランドのアーダーン首相は4日、「コロナ・ゼロ」戦略を断念し、規制を段階的に緩和していく方針を発表しました。予防にワクチン、感染者には治療薬、入院患者は抗体カクテルという3段階のコロナ対策がみえてきたことが背景だとみられます。経済活動への影響も考慮されたとみられます。

2つの中銀の決定はエコノミストの予想通り。INGのアナリストは、RBNZの追加利上げが予想されNZドルを支援するとみられる一方、燃料価格上昇の悪影響を受ける可能性があるとコメント。オーストラリアは天然ガスと石炭の輸出国であり、エネルギー価格高騰を受けたリスク回避ムードの豪ドルに対する売り圧力は限定的だとしています。CIBCのアナリストは、豪ドルは対米ドルで年内は低水準レンジで推移した後、来年は上昇すると予想。NZドルはユーロ圏とオーストラリアとの金利格差を背景に堅調に推移するとみています。

RBNZが利上げでRBAを少なくとも2年先行すると予想されるなか、市場関係者は新型コロナウイルスによる経済への影響を注視しています。それぞれの国のコロナ感染状況と規制の動きが豪ドルとNZドルに影響する可能性があります。豪ドルとNZドルはいずれも対米ドルと対円で上昇基調、豪ドル/NZドルはほぼ横ばいで推移するとの地元金融機関の予想は修正されていません。豪ドル先物が過剰な売り越しになっていて、どこかのタイミングで買い戻される可能性があり、豪ドルを動かすことも予想されます。

[OCTOBER 06,2021 AN315]

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