豪ドル/円上昇基調、利回り格差と資源高騰

2021/10/14 07:29

松島新の週刊2分でわかる豪・NZ

「堅調」

13日の欧米の外国為替市場は米ドル安地合いでした。アメリカの9月消費者物価指数(CPI)が予想を小幅上振れましたが、材料出尽くし感で米ドル買いが一服しました。円は対米ドルで小幅反発。ユーロと英ポンドが堅調に推移しました。資源国通貨のカナダドルは続伸しました。

オーストラリア(豪)ドルも堅調。豪ドル/米ドルは0.4%続伸。クロス取引の豪ドル/円は0.1%高の83円60銭近辺で取引されました。ニュージーランド(NZ)ドルも高く推移。NZドル/米ドルは0.5%上昇。クロス取引のNZドル/円は78円90銭台の0.2%NZドル高・円安水準でした。豪ドル/円はほぼ横ばい、小幅ながらNZドル高でした。

アメリカの長期金利の指標である米10年物国債の利回りが低下したことが材料視されました。コモディティ相場が上昇基調にあることがオセアニア通貨を支えました。

「豪ドルのベアポジション過去最大」

アメリカの商品先物取引委員会(CFTC)のIMM通貨先物の非商業(投機)部門の統計によりますと、5日までの1週間の豪ドルは8万9979枚の売り越し。前週の8万6383枚から売り越し幅が小幅拡大しました。豪ドルのショート(売り)ポジションは2週連続で過去最大を更新。NZドルは8056枚の買い越し。前週の1万0246枚から買い越し幅が小幅縮小しました。豪ドルのバイアスはベア(弱気)、NZドルはブル(強気)でそれぞれ変わらず。

INGのアナリストは、豪ドルとNZドルのポジション格差が縮小したと指摘。次の統計では、豪ドルがエネルギー価格高騰の恩恵を受けるだろうとコメントしました。オーストラリアは燃料資源の主要輸出国で、NZドルと異なり燃料費上昇は豪ドルの買い材料になるとしています。

「利回り上昇基調」

豪ドルの上昇がこのところ目立ちます。特にクロス取引の豪ドル/円は、米ドル高・円安も寄与して今週3日間で約1.9%上昇。7月初め以来3カ月ぶりの高値水準で推移しています。

エネルギー価格高騰の恩恵を受ける通貨と打撃になる通貨。高インフレに対応し引き締め方向にある中央銀行の国の通貨と超緩和スタンスを維持する中銀の通貨。外国為替市場で勝ち組と負け組の選別が進んでいます。液化天然ガスや石炭を輸出するオーストラリアと燃料のほとんどを輸入に依存する日本の違いが豪ドル高・円安が進んだ背景と指摘されました。

今月はじめから豪国債利回りの上昇が顕著です。9月に1~1.2%で推移した豪10年物国債利回りは今週1.7%台に上昇。一時1.735%まで上がりました。13日時点の日本の10年物国債の利回りは0.09%。ドイツ10年物国債利回りはマイナス0.12%。米10年物国債の利回りは1.54%です。

NZ10年物国債利回りは2.1%台。ニュージーランド準備銀行(中央銀行、RBNZ)が今月初めの会合で0.25%利上げ。追加利上げが織り込まれました。豪国債利回りはNZ国債利回りより低いものの、オーストラリア準備銀行(RBA)の利上げは織り込みが始まったばかりです。RBAは2024年まで利上げはないとの見通しを示していますが、市場は高インフレを背景に利上げが前倒しされるリスクがあると考えています。

豪ドルとNZドルは当面、金融市場の心理、米国債利回りと米ドル地合い、コモディティ相場、中国経済の影響を引き続き受けるとみられます。金利見通しを背景にやや豪ドル安・NZドル高に振れるとの予想が優勢でしたが、エネルギー価格上昇を受け豪ドルが見直されています。天然ガスなどが大幅上昇する局面で豪ドルのパフォーマンスはNZドルを上回る可能性があります。

バンク・オブ・ニュージーランド(BNZ)は最新見通しで豪ドルとNZドルのペアはレンジで推移する予想。INGのアナリストは、豪ドルは以前ほど市場のリスク心理に影響せず堅調に推移すると予想。NZドルについてはRBNZが来年0.9%利上げすることを織り込み済み、短期的な利上げ期待による押上げ効果は限定的になりそうだとコメントしました。

[OCTOBER 13,2021 AN316]

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