豪ドル/円、“鬼門”の8月相場となるか

2021/07/30 09:51

テクニカル・ポイント

【注目ポイント】FR(フィボナッチ・リトレースメント)・38.2%水準(≒80.927円)下値サポート成否
【見通し1】同水準サポートなら、「81.730円」付近までの戻りも
【見通し2】同水準割れなら、「79.438円」付近までの下押しを想定
【注目アノマリー】『8月は豪ドル/円が下がりやすい』

豪ドル/円・21日エンベロープ+200日MA+フィボナッチ

先週20日、直近安値となる「79.792円」を付けた後、一旦200日MA(移動平均線)付近まで戻した後、上値の重い相場付きが継続している豪ドル/円。(※20日の当レポート[豪ドル/円、2つの重要線割れが示現!]もご参照ください。)

上図にある21日エンベロープ(乖離率:1.00%と2.00%)を見ると、以下のようなメルクマールが視認できます。

21日MAが右肩下がり形状となっている。
② ①に伴い、±1%乖離線および±2%乖離線が同様に右肩下がり形状となっている。
③ 直近ローソク足が-1%乖離線付近で推移している。

上記①~③より、現時点の豪ドル/円・日足チャートでは、下降トレンドを形成する中でのあや戻しの時間帯であると判断します。(※あや戻し:下落基調にある相場が一時的に上昇すること。)

喫緊の注目ポイントは、昨年から今年にかけての高安レート(安値:73.129円[20/10/30]、高値:85.747円[21/5/10])を基点とするFR(フィボナッチ・リトレースメント)・38.2%押し水準(≒80.927円、上図水色線)でローソク足が下支えされるか否か。

これからの時間にかけて、仮にローソク足が同水準で下支えされた場合は、「下値固め」→「一旦の反発フロー」となる可能性も。そのケースでは、約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MA(≒81.730円)付近までの戻りを想定すべきでしょう。ただし、上述した①および②の状態に変化が見られない場合は、その戻りは限定的かつ一時的なものと捉えるべきでしょう。

一方で、ローソク足が終値ベースで同水準を下回った場合は、「重要水準割れ」→「もう一段の下押し」となりそうです。そのケースでは、心理的水準である「80.000円」(上図緑色線、≒-2%乖離線)割れも伴いつつ、上述した高安レートを基準とするFR・50.0%押し水準、いわゆる“半値押し”水準(≒79.438円、上図朱色線)付近までの下押しを想定すべきでしょう。

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以下、補足ながら、季節的アノマリー※について。(※アノマリー:はっきりした理論的根拠を持つ訳ではないものの、よく当たるかもしれないとされる経験則や傾向・パターンのこと。)

次週からスタートする8月相場において、近年の為替相場では『8月は円高フローになりやすい』というアノマリーが存在します。以下、主要な対円通貨(米ドル/円・豪ドル/円・NZドル/円・カナダドル/円)の月別平均騰落率表(期間:1998-2020年)をご覧ください。

主要対円通貨の月別平均騰落率表

上図からも分かる通り、近年のデータでは、8月は主要な対円通貨の下落率が目立ち(上図黄色四角枠)、特にオセアニア通貨である豪ドル/円NZドル/円の下げ(率)が相対的に顕著である傾向が見られます。

ちなみに、過去10年(2011-2020年)における豪ドル/円の8月陰線確率は.800となっており、過去20年(2001-2020年)に遡っても、その陰線確率は.800の結果となっています。(※2001年以降の8月陽線引けは、02年・06年・14年・20年の4回。)

これを以て、今年の8月も豪ドル/円が必ず陰線引けになるという結論には至りませんが、あくまで季節的なアノマリーに従えば、『8月は豪ドル/円が下がりやすい』と捉えて良いのかもしれません。

その季節的なアノマリーの一つに『8月はショックイベントが発生しやすい』(ex.2007年:パリバショック、2015年:チャイナショック等)という側面もあることも考慮しつつ、「最善を願い、最悪の事態に備えよ」(帝政ローマの政治家 ルキウス・セネカ)というトレード姿勢が重要なのかもしれません。あくまで、季節的アノマリーをベースとする仮説として捉えていただければ幸いです。

※「8月の季節的アノマリー」詳細については、7/29(木)収録のM2TV・マーケットView虎視眈眈(『“魔の8月相場”に要警戒!?「豪ドル安アノマリー」について』)をご覧ください。


執筆者プロフィール
津田 隆光(つだ たかみつ)
チーフマーケットアドバイザー
日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA)。主にコモディティ分野のマーケットに従事し、2008年1月マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。各種テクニカル分析レポートを執筆する傍ら、セミナー講師やラジオ番組コメンテーターなどを務める。毎週木曜日、M2TV「マーケットView虎視眈眈」を担当。
【プロフィール】大阪府出身。元高校球児。
【趣味】読書(歴史小説)、ドライブ、温泉旅行
【好きな言葉】「Simplicity is the ultimate sophistication.」(単純は究極の洗練) 「不激、不躁、不競、不随」(激せず、躁がず、競わず、随わず)


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