米FOMC、パウエル議長がタカ派発言を連発⁉

2022/01/27 07:24

ファンダメ・ポイント

【ポイント】
・FOMCは3月利上げを強く示唆
・テーパリングは3月上旬に完了
・パウエル議長の記者会見はかなりタカ派的
・市場の反応は、株安、金利高、米ドル高

米FOMCの結果はほぼ予想通りながら、パウエル議長の記者会見はかなり「タカ派的」でした。米長期金利(10年物国債利回り)は、約1週間ぶりとなる1.80%台に乗せ、一時1.87%をつけました。米ドル実効レート、米ドル/円ともに上昇しました。NYダウはFOMCの結果判明直後にいったん上昇したものの、パウエル議長の会見中に急落しました(日本時間27日午前6時時点)。

FOMCの利上げ予想 OIS

もちろん、金融政策は決められたコースに沿って運営されるわけではありません。景気が堅調を維持するなかでインフレ高騰が続けば、22年中に5回以上(≒1.00%超)の利上げをしたり、QT(量的引き締め)を早期かつ速いペースで実施したりする可能性はあるでしょう。一方で、景気失速懸念が強まってインフレのピークアウトが期待されれば、金融政策の正常化は慎重に進められるでしょう。

今後の経済・物価情勢やそれらを受けた金融政策見通し(の変化)に引き続き注目です。

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FOMC声明文では、利上げをすることが「間もなく(soon)」適切になるとし、根拠として「インフレが2%を大幅に上回っており、労働市場が強い」ためとしています。前回12月時点では、「ここのところインフレが2%を超えているなか、労働市場が最大雇用とみなす水準に達するまで政策金利を維持するのが適切である」でした。文言の変更は、FOMCの基本線が「据え置き」から「利上げ」へと明確にシフトしたことを示しています。実際、パウエル議長は会見で「3月の利上げを念頭に置いている」と明言しました。

「バランスシート縮小の原則」
テーパリングに関しては「3月上旬に完了する」と声明文に明記されましたが、QTに関する記述はありませんでした。ただし、パウエル議長は会見で、「(17年に開始した前回に比べて)早く、そして恐らく速く行う」と述べました。声明文とは別に「バランスシート縮小の原則」が発表され、QTに関して主として以下の点が記されています。

・金融政策の主要手段は政策金利の変更である。
・バランスシートの縮小は利上げの開始後に始める。
・バランスシートの縮小は、債券再投資の縮小を通じて予測可能な方法で行う。
・長期的には保有債券を主に国債とする。

パウエル議長の記者会見はタカ派的
株価が一番ネガティブに反応したのは、質問に対して「労働市場に悪影響を与えずに利上げする相当な余地(quite a bit of room)がある」と回答したことでしょう。22年中の数回の利上げと年後半のQT開始という市場予想に違和感はないとし、「全てのFOMCが政策変更の対象となりうるか」との質問には、これを否定しませんでした。

リーマン・ショック後の利上げを開始した2015年と今回は経済状況が異なるとも述べました(だから当時ほどゆっくりした正常化ではないという意味か)。また、会見中に株価が急落していることについて質問されて、金融政策の目的は最大雇用と物価安定であり、金融政策を運営するうえで、株価は多くの情報の一つに過ぎないと回答しました。

金融政策の正常化 

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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