米FOMCとGDP、そしてPCE

2022/01/24 08:14

ファンダメ・ポイント

【ポイント】
・FOMCは3月の利上げに向けて地ならしか
・GDPは景気の減速を示唆も
・PCEはインフレの一段の加速を示すか
・米国の景気や物価を巡る思惑が相場材料となりそう

25-26日の米FOMCでは金融政策の現状維持が決定されそうです。注目は次回3月のFOMCに向けて、利上げの地ならしが一段と行われるか。過去数週間、FOMC参加者は異口同音に3月の利上げに言及しており、個人の見解というよりもコンセンサスとして既定路線になっているようです。

また、QT(量的引き締め ◆キーワード)に関して何らかのヒントが出されるでしょうか。早期のQT開始が示唆されるなら、市場は「タカ派的」と判断して長期金利の上昇要因となるかもしれません。

FOMCの結果判明(日本時間27日午前4時)の後に発表されるGDP(国内総生産)やPCE(個人消費支出)デフレーターなどの米経済指標も興味深いところ。

10-12月期GDP(同27日午後10時30分発表)は市場予想が前期比年率5.3%と、7-9月期の2.3%から伸びが高まる見通しです。ただし、アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)は5.1%を予測。昨年12月1日時点では9.7%を予測しており、新しい経済指標が発表されるたびに下方修正されてきた格好です。

アトランタ連銀 GDPNow

とりわけ、1月14日発表の12月小売売上高が大きく下ぶれたことで、GDPも大きく下方修正されました。10-12月期のGDPは在庫投資が成長率を押し上げた可能性があり、そうであれば1-3月期以降のGDPに下押し圧力が加わるかもしれません(※)。

(※)個人消費などの最終需要が弱かったために在庫が積み上がる、いわゆる「意図せざる在庫投資」だった場合、1-3月期以降の在庫投資の縮小や取り崩しがGDPのマイナス要因になる可能性があります。

12月PCEデフレーター(同28日午後10時30分発表)も要注目。ここもと各国のインフレ率は伸びが加速し続けています。米国の12月CPIも例外ではなく、FRBが重視するPCEデフレーターも市場予想は「加速」。FOMCのタカ派姿勢を裏付ける結果になるかもしれません。一方で、GDPが先行きの景気減速を示唆し、かつPCEデフレーターがインフレ圧力の後退を示せば、FRBによるオーバーキル(金融を引き締め過ぎて景気を落ち込ませること)が懸念されるかもしれません。その場合は、長期金利に下押し圧力が加わるでしょう。

米国 PCEデフレーター

今週はFOMCだけでなく、その後に発表されるGDPやPCEが市場の金融政策予想に影響を与えそうです。

◆キーワード
QT:
量的引き締め(Quantitative Tightening)。政策金利がゼロ%近辺で、かつ一段の金融緩和が必要な時に、中央銀行は国債などの資産を購入して資金を市中に放出する量的緩和(QE=Quantitative Easing)を行うことがある。QTはQEを巻き戻すことで、QEによって拡大したバランスシート(≑保有資産)を縮小させること。具体的には、満期を迎えた保有債券の再投資の停止(消極的なQT)、あるいは保有債券の売却(積極的なQT)によって行う。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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