中国恒大デフォルト、秩序か無秩序か

2021/12/10 07:41

ファンダメ・ポイント

【ポイント】
・大手格付け会社が中国恒大のデフォルトを認定
・当局の監視下で債務リストラが加速も
・秩序だった債務リストラが進めば、影響は限定的
・債務リストラに失敗すれば、金融市場に悪影響も

9日、大手格付け会社のフィッチは、中国の恒大集団(エバーグランデ)の米ドル建てオフショア債をデフォルト(債務不履行)と認定しました。6日に猶予期限が到来した利払いの履行が確認できなかったためで、「一部デフォルト(RD)」としました。フィッチは同時に、7日に償還ができなかった佳兆業集団(カイサ)のオフショア債も「一部デフォルト」と認定しました。

「一部デフォルト」は特定の債券の利払いや償還を停止した場合に適用され、利払いや償還が不可能であることが判明したり、拒否したりした場合の「デフォルト」と区別されています。同様にS&P社は「選択的デフォルト(SD)」と定義していますが、ムーディーズは一律に「デフォルト」としているようです。

クロスデフォルト条項
恒大集団の全ての債務がデフォルト扱いとなるクロスデフォルト条項が発動される可能性が高く、恒大集団は全ての債権者と協議して債務のリストラクチャリング(再編)を行う必要があるようです。

秩序だった債務リストラ
当局はすでに監視団を派遣しており、デフォルト認定を契機に債務リストラが加速する可能性もあります。秩序だった債務リストラが進めば、恒大集団は生き残ることも可能ですし、仮に清算されたとしても、金融市場への影響は限定的となりそうです。

無秩序な破たん
一方で、当局は恒大集団の金融商品に投資した国内の個人投資家を優先するように指示しているともされ、その場合に債権の大幅な減免を求められるだろう国外投資家が協議で合意しない可能性もあるでしょう。

恒大集団が無秩序に破たんするような事態となれば、取引先の連鎖破たん、金融機関の不良債権の増大、業界他社や信用力の低い企業への貸し渋りといったクレジットクランチなどのコンテイジョン(危機の伝播)が起こる可能性もあります。

コンテイジョンは回避されるか
当局が恒大集団を救済する可能性は低く、PBOC(中国人民銀行=中央銀行)は「(恒大集団の問題は)市場メカニズムを通じて解決される」としています。一方で、PBOCはコンテイジョンの封じ込めには自信をみせているようです。

金融市場は恒大集団のデフォルトをほぼ織り込んでおり、今のところ冷静に反応しているようです。それでも想定外の事態に発展しないか注意は怠れません。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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