米短期金利と米ドル/円

2021/10/19 08:12

ファンダメ・ポイント

【ポイント】
・米長期金利に代わって短期金利が米ドル/円との相関強める
・利上げのタイミングが相場材料だからか
・短期金利が0.45%に達すれば米ドルは115円台も
・予測のブレが大きくなりうることに要注意

米ドル/円と米長期金利(10年物国債利回り)は7月以降に強い相関を取り戻していましたが(※)、10月に入って相関がやや弱まっています。長期金利に代わって米ドル/円との相関を強めているのが短期金利(2年物国債利回り)です。米ドル/円と長期金利の相関係数は9月の0.92から10月(18日まで)の0.59に低下。一方で、米ドル/円と短期金利の相関係数は同期間に0.89から0.93に上昇しています。

※9月28日付け「米長期金利との相関を取り戻した米ドル/円」をご参照。

米長期金利と米ドル/円

米短期金利と米ドル/円

後講釈的に考えれば、米金融政策の見方が大きく影響しているのでしょう。長期国債を含む国債の需給に影響を与えるテーパリング(量的緩和の段階的縮小)については、年内に開始して来年半ばごろに終了するとのシナリオが市場で共有(=材料として消化)されつつあります。一方で、短期金利が強く反映する政策金利見通しについては、利上げ開始時期の予想にバラツキがあります。

9月のFOMC後に公表された「ドット・プロット(参加者各個人の政策金利見通し)」では、18人中9人が22年中の利上げを予想し(6人が1回、3人が2回の利上げ)、9人が据え置き予想でした(そのうち8人は23年中の利上げ予想)。そして、FOMC内部でも予想が割れていました。そして、市場が政策金利予想の変化に注目しており、それが短期金利と米ドル/円の強い相関の背景にあるのではないでしょうか。

短期金利は18日にコロナショック後初めて0.40%を超えました。高インフレが長期化するとの懸念から利上げを早めるべきとの声も増えているようです。そうした見方が米ドルをサポートしているのでしょう。

さて、9月以降(※)の米ドル/円と短期金利の回帰分析を用いて推計式を導くと、短期金利の各水準に対応する米ドル/円の推計値は以下の表の通り。なお、推計式の説明力は決定係数R2(相関係数の2乗)で表わされます。

※分析期間を10月1日~18日とすると、データが少なく有意な結果が出ない可能性があるため、9月1日~10月18日としました。

米ドル円と短期金利の推計結果

短期金利が0.45%に向けて上昇すれば、115円は達成できそうです。ただし、米ドル/円と長期金利の関係に比べて米ドル/円と短期金利の関係は不安定で簡単に変化しうること、そして推計式(上図)における短期金利の係数が24.1と非常に大きいために予測のブレが大きくなりうること、などに注意は必要でしょう。(本稿の推計式は18日のデータを反映しているため、18日配信のウィークリー・アウトルックにおける推計結果と若干異なります)

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執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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