米小売売上高は大幅増加、FOMCはどうなる?

2021/09/17 08:34

ファンダメ・ポイント

【ポイント】
・8月小売売上高は減少予想に反して大幅増加
・コロナショックの反動+財政出動が効きすぎ?
・テーパリング開始のカギを握る雇用情勢
・9月21-22日のFOMCではテーパリング開始を見送り?

米国の8月小売売上高は前月比0.7%と、市場予想(マイナス0.7%)に反して大幅に増加しました。ただし、7月分は当初発表の前月比マイナス1.1%からマイナス1.8%へ下方修正されました。

半導体不足による生産縮小の影響から自動車・部品が前月比マイナス3.6%と4カ月連続で減少。自動車・部品を除いた小売売上高は前月比1.8%と、大幅増加でした。

小売売上高の好調は、行動制限の緩和・解除によるペントアップ・ディマンド(先送りされた需要)の発現と、コロナ対策の財政出動による家計支援が背景だとみられます。ただし、足もとの小売売上高はコロナ前のトレンドを大きく上回っており、いずれペースダウンは避けられないでしょう。

米国の小売売上高

フィラデルフィア連銀指数も予想比上振れ
9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は30.7と、市場予想(19.0)や前月(19.4)を上回りました。サプライチェーン障害や労働力不足は続いているとみられるなかで、製造業も堅調を維持しているようです。

9月21-22日のFOMC
21-22日のFOMCでは、テーパリング(QE=量的緩和の段階的縮小)の開始が決定される可能性があります。ただし、テーパリング開始のカギを握るのは雇用情勢のはず。8月27日のジャクソンホール会議の講演で、パウエルFRB議長は「雇用と物価の目標に向けた著しい前進」というテーパリング開始の条件に関して、物価の基準は満たされた一方で、雇用については改善の余地があると明言しました。

議長講演より後に発表された8月雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が前月比23.5万人増と、市場予想(前月比73.3万人増)を大きく下回りました。そのため、FRBは失業保険上乗せ給付が失効した9月の雇用統計(10月8日発表)をみてから11月2-3日のFOMCで判断しようとするかもしれません。そのころには不透明感が増している予算交渉やデットシーリング(債務上限)の問題も決着している可能性があります。

あるいは12月14-15日のFOMCまで待って10-11月の2カ月分の雇用統計を見たいと思うでしょうか。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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