米CPI上昇率は鈍化、長期金利は小幅低下

2021/09/15 07:54

ファンダメ・ポイント

【ポイント】
・8月CPI、CPIコアとも7月から小幅鈍化
・テーパリング観測がやや後退
・米長期金利が低下して米ドルの重石に
・雇用関連指標が一段と重要になりそう

米国の8月CPIは前年比5.3%と、市場予想(5.3%)と同じで前月(5.4%)から小幅鈍化。エネルギーと食料を除くCPIコアは前年比4.0%と、市場予想(4.2%)と前月(4.3%)を下回りました。とりわけ、8月CPIコアは前月比0.1%の上昇にとどまっており、今年に入って強まっていた物価上昇圧力が低下に向かっている可能性を示しました。

米国CPI 消費者物価指数

もっとも、CPI、CPIコアとも高水準であることに変わりはありません。CPIコアの3カ月前比年率、6カ月前比年率をみても、落ち着いているとは言い難い状況でしょう。

米国CPIコア 前年比 6カ月前比 3カ月前比

サプライチェーン障害による原材料や部品の不足、労働力不足に伴う賃金上昇圧力などは続いているとみられるため、8月の物価の減速が一時的なのか、トレンドの変化なのかを慎重に見極める必要がありそうです。米長期金利は低下して支持ラインを下回っており、緩やかな上昇基調が変化するのか注目されるところです。 

米長期金利 10年物国債利回り
                                               
CPIの鈍化を受けて、今月21-22日のFOMCなど早い段階でテーパリング開始を決定するとの観測は後退しました。ただし、8月27日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演では、テーパリングを開始するための「物価」条件はすでに満たされたとの判断が示されました。「雇用」については改善しているものの、更なる改善の余地ありとの判断でした。パウエル議長の言葉に従えば、テーパリング開始の是非は「雇用」にかかっていることになります。今後の雇用関連指標が一段と重要になりそうです。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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