米長期金利、リフレ・トレードは終わったか

2021/04/16 08:22

ファンダメ・ポイント

15日のNY市場で長期金利(10年物国債利回り)が大きく低下しました。注目されたのは、
(1)ダブルトップのネックラインとみなせる1.60%を下回ったこと(下図)
(2)長期金利低下が、力強い経済指標が発表されるなかで起こったこと

経済指標については、鉱工業生産以外は全て市場予想より良好でした。
 3月小売売上高 前月比9.8% (市場予想5.8%)
 4月NY連銀製造業景気指数 26.3 (市場予想20.0)
 4月フィラ連銀製造業景気指数 50.2 (市場予想41.5)
 新規失業保険申請件数(4/10の週) 57.6万件 (市場予想70.0万件)
 3月鉱工業生産 前月比1.4% (市場予想2.5%)



経済指標が良好だったにもかかわらず、長期金利が重要な節目を下回ったことで、3月まで市場のテーマだったリフレ・トレード(※)が終わったとみることができるかもしれません。

(※)リフレ/リフレーションとは、デフレ(物価下落)を脱却し、程良いインフレ(物価上昇)になること。リフレ・トレードとは金融緩和や財政出動などのリフレ政策の効果に期待して、リフレで利益が出るポジションを持つこと。景気敏感株への投資や、債券(主に長期国債など)のショート(売り)など。

もっとも、NYダウやS&P500株価指数は景気回復期待から最高値を更新しました。また、通常国債の利回りとインフレ連動国債の利回り格差でみた市場の期待インフレ率(ブレークイーブン・インフレ率)は高止まりしています。



長期金利の13週移動平均からの乖離率は3月に40%近くに拡大しており、少なくとも過去10年では最大でした。そのため、現在の局面は短期間での上がり過ぎの調整とみることができそうです。



長期金利がこのまま低下基調するのか、再び上昇に転じるか。それは足もとの景気回復が、American Rescue Plan(バイデン政権の景気対策)によってブーストされた一時的なものに終わるか、それとも雇用の増加を伴った持続的なものとなるかによって決まりそうです。後者の可能性が高いとみていますが、それは今後の経済指標で確認される必要があるでしょう。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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