米財政赤字は問題ではないか

2021/04/02 07:44

ファンダメ・ポイント

米国の今年2月時点(12カ月累計)の財政赤字は3.55兆ドルで、コロナショック前の昨年2月時点(同)の1.06兆ドルから急激に拡大しています。同期間に歳入が減少したことも一因ですが、ほとんどが歳出の急増で説明できます。昨年3月のCARES法(2.2兆ドル)や12月の追加景気対策(9,000億ドル)などのコロナ対策の影響でしょう。




今年3月11日に成立したバイデン大統領のAmerican Rescue Plan(1.9兆ドル)の影響が出るのはこれから。さらに、3月31日に発表されたAmerican Job Plan(2.25兆ドル)も、法人税増税などにより財源を確保するとしていますが、支出は向こう8年間、それに見合う増税分は同15年間なので、当初は財政赤字拡大要因になりそうです。共和党の反対により増税が実現しなければ、財政赤字の拡大に歯止めがかからなくなるかもしれません。

財政赤字の拡大により国債の発行額も増大しています。景気低迷により流動性が高まっていること、そしてFRBがQE(量的緩和=債券購入)を続けていることで、長期金利は上昇傾向にあるとはいえ、依然として低水準です。

もっとも、製造業を中心に景気回復が強まるなか、金利先高観が強まっているのも事実でしょう。財政赤字が野放図に拡大すると市場が判断すれば、いずれかの時点で明確な「悪い金利上昇」が起こるかもしれません。その場合は、米ドルにとってもプラスにはならないでしょう。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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