バイデン政権、長期経済プログラム第1弾を発表

2021/04/01 08:18

ファンダメ・ポイント

バイデン大統領が31日に発表したAmerican Jobs Planは長期経済プログラムの第1弾です。インフラ投資、国民生活の向上、高齢者や身障者支援、製造業振興などが中心で総額2.25兆ドル、財源は法人税増税。4月中旬には、医療、子育て、教育などを対象とした第2弾を発表する予定です。

3月上旬に成立したコロナ対策のAmerican Rescue Plan(総額1.9兆ドル)は、予算調整法を用いて民主党のサポートだけで議会を通過しました。しかし、American Jobs Planは少なくとも一部は共和党の協力が不可欠。今後、規模や内容が大きく修正される可能性があります。

今後の議会審議の行方、それに対する市場の反応に注目です。

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American Jobs Planは、所得格差の是正、対中国競争力の強化、気候変動への対応を主眼としており、50年代のインターステート・ハイウェイ(州間高速道路)整備、60年代の宇宙開発プログラムに匹敵する野心的・包括的な長期経済政策との位置づけです。



8年間で総額2.25兆ドルを支出し、それを15年かけて法人税増税で手当てする計画です。法人税増税は、法人税率21%⇒28%へ引き上げ(トランプ減税の巻き戻し)や多国籍企業の国外利益に対する21%の最低課税など。

今後の展開は・・・
ペロシ下院議長(民主党)は独立記念日(7月4日)までの下院での可決を目指しているようです。8月に夏休み入りする前に上院が下院案を受けて審議・採決できるようにするためです。

もっとも、議会審議は難航すると予想されます。American Rescue Planはフィリバスター(上院での少数派政党による採決妨害戦術)が使えない予算調整法の形で民主党だけで可決、バイデン大統領の発表から2カ月で成立しました。しかし、今回のAmerican Jobs Planは予算調整法案に盛り込めない項目も多数含まれているとみられ、共和党の協力なしでの成立は非常に難しいでしょう。

そのため、民主党はAmerican Jobs Planをいくつかの法案に分けて、可能なものは予算調整法案の形で成立させ、それ以外は共和党の協力を取り付ける戦術をとりそうです。ただし、その過程で規模や内容が大幅に修正されるかもしれません。とりわけ、財源としての増税には共和党の強い反対が予想されます。

市場の反応は・・・
議会審議の進展に応じて市場は反応しそうです。主な注目ポイントは、American Jobs Planが成立して米経済の活性化につながるのか(yesなら株価や長期金利の上昇要因)、法人税増税が企業利益に与える影響(悪影響大なら株安要因)、財政赤字が一段と拡大するのか(yesなら長期金利の上昇要因)、などでしょう。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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