ビットコイン、ゲームストップ、そしてアルケゴス

2021/03/30 07:53

ファンダメ・ポイント

野村ホールディングスやクレディ・スイス・グループは、米投資会社に絡んで巨額の損失が発生する可能性があると発表しました。その額は20億ドル~40億ドルとされているようです。

発端は、米投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメントが保有株の下落で打撃を受けて資産を投げ売りしたこと。先週26日にゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーがアルケゴスの売買注文を受けて「ブロック取引(※)」で大量の株式を売却したことが明らかになっています。

(※)取引所外で特定の相手と同一銘柄の株式を大量に売買すること。

事態を複雑にしているのは、アルケゴスが投資家を募らないためにSEC(証券取引委員会)の規制対象とならないファミリーオフィスの形態をしていること、そして、保有株が実際には主にスワップや一部CFD(差金決済取引)などを用いて大きなレバレッジが掛けられていたこと、そのため当局への報告義務がなかったことなどです。

アルケゴスの運営者であるホワン氏の資産は50-100億ドル、ポジションの総額は500億ドル超との指摘もあります。低金利と金融市場に流入する大量の流動性がそうしたポジションを可能にしたのでしょう。過去に指摘したテスラやビットコイン、そしてゲームストップと形態は違うものの、本件もマネーゲームがもたらした現象ということができるかもしれません。

1月13日付け「テスラとビットコイン」
2月2日付け「ゲームストップ騒動の本質」

NYダウは30日に最高値をつけ、S&P500も26日に最高値をつけました(いずれも終値ベース)。現時点でアルケゴスの影響は限定的なようです。ただし、事態は進行中であり、今後も注意は必要でしょう。また、同様のケースで大手金融機関を含めてポジション解消の動きが広がらないとも限りません。

上述したゲームストップ株は、昨年末に20ドル弱だったものが、1月下旬には500ドル近くまで上昇。2月中旬には40ドル割れまで下落。ただ、その後も乱高下しており、3月29日時点で約180ドルと、昨年までに比べて依然として高水準です。

ビットコインは3月中旬には6万ドルを超えるなど、昨年末の2倍の水準を維持しています。テスラ株は昨年3月下旬の70ドルから今年1月下旬には一時900ドルに達し、現在も600ドル近辺です。全てが「投機」ではないかもしれませんが、主要中央銀行が金融緩和姿勢を堅持している状況下で、マネーゲームは続きそうです。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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