米PPIは上振れ、CPIは?

2021/04/12 07:03

ファンダメ・ポイント

9日に発表された3月の米PPI(生産者物価指数)は、最終需要の総合が前年比4.2%、食料とエネルギーを除く同コアが同3.1%と、いずれも市場予想(3.8%、2.7%)から上振れしました。

労働省のWebサイトのトラブルでPPIの発表は予定時間(日本時間9日午後9時30分)から30分程度遅れました。PPI発表前後に長期金利(10年物国債利回り)は1.685%まで上昇し、その後やや低下して1.659%で引けました。米ドル/円は110円ちょうど近くまで上昇した後にやや軟化しました。

日本時間13日午後9時30分に発表予定の3月のCPI(消費者物価指数)は一段と注目されます。PPIは生産者が求めるモノの価格のみですが、CPIは消費者段階でのモノとサービスの価格であり、FRBが最も重視するPCE(個人消費支出)デフレーターに近い概念の統計だからです(※)。

(※)PCEのほうがCPIよりも対象範囲が広く、消費者の生活実感に近い統計ですが、発表が遅いという難点があります。



昨年春にコロナ・ショックの影響で物価が大きく下押しされたため、今年春の物価統計は前年比でみた上昇率が高くなる傾向があります。いわゆる「ベース効果」です。ベース効果は3月にも生じますが、4-6月に一段と大きくなる見通しです。それでも、3月CPIの市場予想は、総合が前年比2.5%(←2月1.7%)、コアが同1.5%(←同1.3%)と加速が見込まれています。

パウエル議長をはじめFRB関係者は、足もとの物価上振れは「一時的に過ぎない」と繰り返し強調しています。それでも、CPIが市場予想以上に上振れするようなら、長期金利が上昇して米ドル/円を押し上げる可能性があります。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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